1.ラングスバーン国-1-
【まえがき】
先に第0章を上げています。
そちらを見てから、こちらをご覧ください。
よろしくお願いします。
<中央草原>
颯太が目を開けると、緑色の草がたくさん生えてている。草原だった。
「ここが、ラングスバーンか…世界地図を確認してみても中央草原と表示されているな。えっと、大精霊の住処があるシルフィ大森林は、表示がされているが、また表示が赤だな。」
世界地図には、目標場所の適正レベルを色と数字で教えている。
「適正レベルは、20。腕輪があるから行くことは出来るだろうか、周辺でレベルを上げたほうがいいだろう。近くに中央都市もあるようだし、宿泊できる宿屋と
周辺の魔物の情報も知りたいから、冒険者ギルドも探すか…あるよな?」
疑問に思いながらも、王都ルトナに向けて歩き出した颯太。周囲には、魔物はいないようだった。街道を見つけたので、そこに向かって歩き出す。
「さてと、街道に出たのはいいが…世界地図を見てみると王都まで、5kmか、ゆっくり目で歩いてみるか。」
1kmをだいたい15分で歩いていく、1時間くらい歩いていると少し先に中央都市のゲートが見えた。距離にして残り1.5kmといったところだった。
「ゲートに兵士が見えるな。とりあえず、見せられない物はアイテムボックスにしまって、鎧は、冒険者に見えるように変更しとくか。お金の巾着と偽装のネックレスは付けておこう。」
兵士に近づき声をかける。
「王都ルトナに入りたいのだが(言語スキルちゃんと働いているか?」
「おぅ、その格好は冒険者か?」
「ああ、ラズールから来たんだ。」
ラズールというのは、颯太が歩いてきた反対側にある、王都より少し小さめな都市である。この国には、都市が4つあり、国王がいる王都ルトナ、農業都市ラズール、近くにダンジョンがある冒険都市セルドナ、海が近くにあり漁業が活発な海洋都市ハクレーンだ。
「そうか、王都は初めてか?簡単荷物チェックと15zlもらえるなら、3ヶ月の通行手形発行できるが。」
「ああ、初めてだ。お金はあるのでお願いしたい。」
「わかった、荷物チェックするからこちらに…ふむ、大丈夫そうだな。」
兵士に15zl(銀貨1枚、銅貨5枚)を渡した。
「これが通行手形だ、期限は今日から3ヶ月な。長くいたいなら、警備隊詰め所に行けば、延長できるからな。」
「ああ、この王都のどこに、冒険者ギルドはあるんだ?」
「あぁ、ここを真っ直ぐに歩いて、左に150mくらい先にある。分からないことがあったら聞けば大体教えてくれるだろうよ。」
「ありがとう、助かった。」
こうして、門番との話も済み、颯太は、王都の中央へ向けて歩いて行った。
<冒険者ギルド>
ゲートから、左に150mくらい進みと、木造の建物が見えてきた。ここが冒険者ギルドなのだろう。扉を開けて中に入る、受付カウンターらしき物が目に入った。カウンターに居る女性に近づき、声をかける。
「ちょっといいか、ここが冒険者ギルドであってるか?」
「はい、ここは冒険者ギルドです。何のご用でしょうか?」
「冒険者登録をお願いしたい」
「はい、分かりました。申し伝え忘れてました、受付のリルファと申します。こちらの紙に、お名前、性別、お書きください。代筆が必要な場合は、おっしゃっていただければこちらで記入します。」
「いや、大丈夫だ。自分で書ける。」
名前と性別を書いた紙をリルファに渡した。
「冒険者ギルドは、各国にあり、一度どこかで登録すれば、他の国でも活動できます。ギルドランクは、Eから始まって、D、C、B、A、Sと上がります。ギルドの依頼を達成させると貢献度が上がり、一定数値に貢献度が達すると試験を受けることが出来ます。昇格試験は、実技と学科に分かれており、ボーダーを超えれば合格となります。ここまでで、わからないことはありますか?」
「いや、大丈夫だ。」
「後ろにあるボードは、各ランクの依頼を貼ってあります。Eランクのボードは、一番右にあります。原則、同じランクの依頼まで受けることができます、パーティを組んでいる場合で、メンバーに上のランクがいる場合は、1つ上のランクを受けることが可能です。このギルドは、1Fが受付カウンター、奥に酒場があります。2Fには、この周辺の情報が記載された本などを保管している情報室とギルドマスターの部屋、昇格試験やその勉強や緊急の会議などに使われる雑務室が2つ。情報室や雑務室は、ギルド登録してある方なら誰でも使えます。使う場合は、この受付カウンターに申し出てください。外は、魔物の解体室と、訓練や昇格試験に使われる訓練場があります。魔物解体の受付もこのカウンターで行います。訓練場の使用は、申し出しないでも大丈夫ですが、周りに影響を及ぼす行為は迷惑になるので、おやめください。」
「あぁ、分かった。」
「次に、ギルドカードを作ります。依頼受ける時、達成報告をする際に、ギルドカードをお出しください。更新事項があった場合に記入します。ランクEがブロンズカード、ランクDがアイアンカード、ランクCがスチールカード、ランクBがシルバーカード、ランクAがゴールドカード、ランクSは、プラチナカードになっています。この大陸には、6つの国がありますが、ランクSは、この大陸全部を含めて5名しかいません。」
「なるほど、、、」
「依頼は、基本的に受けたらキャンセル出来ないのでご注意ください。依頼人がキャンセルした場合は、別です。依頼を達成できない場合は、評価のマイナスや罰金が発生します。上位ランクの依頼ほど、評価マイナスや罰金は大きくなります。評価マイナスが一定値まで上がると、ランク落ちが発生するので、注意してください。罰金が大きくって支払ない場合は、奴隷落ちもありえるので注意してください。」
「あぁ、いろいろ大変なんだな。」
「はい、出来上がりました、ブロンズカカードです。ランクと氏名と評価ポイントが記入されています。無くなさないようにしてくださいね。」
リルファは、ギルドカードを颯太に渡した。
「ギルドに関しては、これで終わりですが、他に聞きたいことはありますか?」
「お勧めな宿を出来れば、お風呂がある宿を紹介して欲しい。あと、武器屋と防具屋と冒険者が使いそうな物を売ってるお店の紹介も頼む。」
「お風呂がある宿ねぇ、値が張るけど大丈夫かしら?」
「ああ、問題ない。」
「んじゃあ、冒険者ギルドを出て左に50mくらいいくと、大きい噴水が見つかるわ。冒険者ギルドがある方面を東と見て、そのまま西に20mくらい歩くと「春風の宿」という宿があるわ、値が張るけど、お風呂もあるし、いい宿よ。武器屋と防具屋と冒険者用のお店は、噴水から南方面に20mくらいいくとあるわ。「武器屋ダント」「防具屋ガルム」「道具屋ナハト」という名前よ」
ちなみに、魔法屋もその近くにあるわ。
「ありがとう、助かる。情報室って今からって借りれるのか?」
「大丈夫よ、これ、情報室の鍵ね。」
「ああ、終わったら返す。」
リルファから情報室の鍵を借り、2階に上がって、右にある情報室に入る。ちなみに、左には、雑務室。奥に行って右の扉がギルドマスターの部屋、左が雑務室2となっている。
(このあたりの魔物のことを書いてある本を探そう、後、物理スキルとかか?)
いくつか本を見つけ出し、書いてあったことは、こんな情報だった。
魔物と動物の違いは、魔石があるかどうかで、強い魔物ほど、色が濃い魔石が取れる。魔石には、Eランク〜Sランクまである。魔石は、燃料、武器や防具の材料等に使われる。
魔物討伐依頼の提出部位は、魔物によって異なる。
物理スキルを覚えるためには、魔物を倒したときに、稀にドロップする、スキル玉が必要になる。スキル玉にも、EランクからSランクがある。上のランクになるほど、ドロップしにくい。
魔法スキルを覚えるためには、魔法の書が必要になる。書は、魔法都市や、魔法屋、古本屋などで見つかることが多い。ただし、適正がない者は、練習しても覚えられないことが多い。
どこに何が分布しているのか、本を取っては読み、また戻していく。腕輪型の世界地図には、情報を記入することができる機能があり、それを利用して記載していく。
(魔物の分布とか情報は、このぐらいでいいか。あとは、宿を取って、明日、武器屋と防具屋と道具屋に行くか。)
情報室を片付け、外に出て、扉に鍵をかける。1Fに降りると、受付嬢リルファに絡んでいる酔っ払いの冒険者がいた。
「いいじゃねぇか、嬢ちゃん。そんな仕事してないで、俺と遊んでくれよ。」
「いやですー、離してください!!」
「そんなこと言わねぇでよ、遊んでくれよ。」
「いやぁ!」
厄介ごとは、なるべく遠慮したかったがそうも言ってられなそうだ。
「おいっ!嫌がってるだろうが、離してやれっ」
「あんっ?何だてめぇは、よそ者が話しかけてくんじゃねぇ。」
「調子づいた大人が、みっともねぇんだよ、こんな女の子に手を挙げやがって。」
「あんだてめぇ!」
クズ男が右手で殴りかかってきたが、颯太は、手を広げて受け止め、威力を殺した後、クズ男の腕を背負いで投げ放った。
「グハッ」
クズ男は、直ぐに起き上がったが、よろめいており、相当なダメージがあることは明らかだった。
「覚えてやがれっ!」
捨て台詞を吐いて、クズ男は、よろよろと逃げていった。
「ありがとうございます、フウタさん!助かりました、怖かったです〜」
「いいってことよ、見逃せなかっただけだから。」
「フウタさーん〜」
「あ、情報室の鍵返すよ。今日はありがと、宿取りに行くからまたな。」
「あ、はい。またいらしてください。」
「ああ、またくる。」
<春風の宿>
冒険者ギルドを出た颯太は、教えてもらった通りに、大きい噴水のどこまで行き、西20m行ったところに「春風の宿」はあった。
(ここか…。部屋空いてるといいが)
チャリンチャリーン♪(扉開ける音)
「はーい、お泊まりですか?」
「あぁ、この宿には、お風呂が付いていると聞いたが本当か?」
「はい、本当ですよ。お風呂付き、一日朝夕食付きで5zlになります。部屋は空いてます。」
「んじゃ、とりあえず。30日分頼む」
「分かりました、前払いでいただきます。150zlとなります。」
巾着から、金貨1枚と銀貨5枚を取り出し、テーブルに置く。
「これでいいか?」
「これで、大丈夫です。あ、私、宿の女将をやっている。リオといいます。あと、娘のミヤと旦那のローグです。」
「ローグです、よろしくお願いします。」
「ミヤ…よろしく…です。」
「あぁ、よろしくな。リオさん、ローグさん、ミヤちゃん。俺の名前は、フウタだ。」
「フウタさんですね、こちらこそよろしくお願いします。これが、部屋の鍵になります。部屋は、2F上がって、右側のいちばん手前です。夕食と朝食は、1Fの大部屋で。朝は、8時で、夜は、19時です。」
「あぁ、わかった。今日の夕食はまだ間に合うか?」
「大丈夫ですよ、荷物を部屋に置いたらお越しください。」
「了解した。」
言われた通り、荷物を置いて、1Fに下り、大部屋まで行く。
「お待ちしておりました、料理はテーブルに並べておりますので。」
「ああ、頂くよ。」
テーブルには、サラダ、ライス、肉料理の炒め物、スープが並べられている。どれもとっても美味しそうだ。
「うまいなっ、これは、何の肉だ?」
「えっと…ラクーという動物のムネ肉…」
自信なさげに、ミヤが答える。ちなみに、ラクーというのは、地球で言う豚みたいな生き物だ。
「そっか、全部食べてみたけど、美味しいな。あ、ミヤちゃん。エールはあるか?」
「うん、あるよ…。お母さんに頼んでくるね。」
この国には、ラガーはなく、エールが一般的である。颯太は、地球では未成年だか、この世界では、15歳で成人となるので、既に大人の年齢だった。
「お待ちしました…エールです…」
「ありがとう、んっ、エールも上手い。」
ミヤは、少し照れながら、颯太を見つめている。
しばらくして、全て食べおわり、席を立つ。
「部屋に戻って、お風呂にするよ。ご馳走様」
「「はーい」」
その後、一度部屋まで戻り風呂支度をしてお風呂にゆっくり浸かる。一日の疲れが取れていくようだった。お風呂を上がり、服をきて、部屋に戻り、寝る支度をして、布団に潜り込む。
「1日目終了か、また明日がんばろ」
颯太は、深い眠りに落ちていく…。
【あとがき】
お読みにいただき、誠にありがとうございます。
マイペース投稿になりそうですが、
頑張って投稿していきたいと思います。
応援よろしくお願いします。
カクヨムでも連載しています。
誤字脱字がありましたら、
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自分のほうでも、シナリオ内容を
訂正させていただく場合がございます。
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