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テーマ詩集:ホームセンター

スポイト

作者: 歌川 詩季

 吸いあげるの、楽しい。

 いつだってそう

 あなただってそう

 わたしのなかにいてくれるのは

 ほんの みじかいあいだだけ


 翼をもたないあなたが

 そこにたどりつくために

 蛇口をもたないあなたが

 そこにそそぎこむために

 ほんの みじかいあいだだけ

 あなたはわたしのなかにいてくれる



 あなたがたどりついてしまったあと

 あなたがそそぎこんでしまったあと

 わたしはまた からっぽになってしまうというのに

 あなたが ほんの みじかいあいだだけ

 わたしのなかにいてくれたことが

 こんなにもうれしいって おもってしまうなんて

 ほんと すくいようがないかもしれないけど


 ありがとう

 いくらわたしでも

 ずっと からっぽのままでなんて

 それじゃ さみしすぎたから


 ありがとう

 ほんの みじかいあいだだけど

 わたしのなかにいてくれたこと


 たぶん あなたは

 わたしのことを忘れてしまうだろうし

 たぶん わたしも

 あなたのことを忘れてしまうでしょう


 だれも かも

 ほんの みじかいあいだしか

 わたしのなかにはいてくれない


 そのかわりに

 わたしはまた

 ほかのだれかを

 わたしのなかに まねきいれよう



 いつだってそう

 だれだってそう

 わたしのなかにいてくれるのは

 ほんの みじかいあいだだけ

 翼をもたないだれかが

 そこにたどりつくために

 蛇口をもたないだれかが

 そこにそそぎこむために

 ほんの みじかいあいだだけ

 だれかがわたしのなかにいてくれる



 わたしはそれを

 こんなにもうれしいって おもってしまうなんて

 ほんと すくいようがないかもしれない

 こんなふうに思ってたら、どうしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 或る意味で官能的な表現と捉えられる文言であるはずなのに、それよりも先にせつなさがストレートに読む側に突き刺さってくる作品ですね。 「わたし」がいつか愛情に満たされたと感じることのできる日はく…
[良い点] 深くて、とても切ない詩ですね。 感想のご返信で、道具を擬人化して心情を描かれたとあるのですが、自分は次から次へと新しい恋愛を求めてしまう、若い頃の記憶に重ねて拝読致しました。 >翼をも…
[一言]  あなたにとっては手段であり、わたしにとっては自己肯定感を得られるための方法であり。  互いに利用しあう関係。  それでも私の言葉は自分に言い聞かせるようでいて、なんだか切なくなります。
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