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リンゴタウン 4

9話 リンゴタウン 4


 鉱山事務所の社長室


「そろそろ銀も限界です。社長」

「聞いてる。収入無しでは鉱夫どもには無駄飯だな。明日にでも落盤事故を……」

「はい社長」


 銀鉱山のハーバード社事務所の会議室に。


「マイケル・ハーバード久しぶりだな。三年前に別れて以来だな」

「だな、サム・バートン。私は、そろそろココは引き上げようと思ってるんだ。もう掘っても銀が出ない」

「そうなのかマイケル。しかし、ココでずいぶん稼いだそうじゃないか」

「サム、あっちの鉱山では、金が出たと聞いたぞ」

「ああ向こうは文字通り宝の山だった。いいクジを引いたよ。君と別れた時は、ハズレを引いちまったと思ったが。しかし、マイケル、ココの鉱夫は皆、ヤセ細っている。しかも子供が居るじゃないか」


 社長のマイケル・ハーバードはハマキに火をつけて、口にくわえた。


「町のモンがひと稼ぎしようとガキまで連れて来た。欲張りな連中だよ」


「しかし、あの鉱夫たちを見ると……」


「まえに決めた事だ、こっちのやり方には口を出さない……。だが、私は君の山には手を出したい」



 鉱山の中、トロッコに掘った土を入れている鉱夫。


「もう銀が出ねぇ。廃坑は近いだろう。俺たちは町に帰れるのかな?」

「どうかな。帰れるなら、もう何度も帰してもらってるだろう。まさか廃坑になったら俺ら」


「オイ、そこ黙って仕事しろ!」


  バシッ!


 ムチがなった。



「ジョー、この山からそろそろ引き上げるらしいぜ」


 ジョーと呼ばれた黒い眼帯を付けた男はデカい鼻をほじりながら。


「そうか、もうあの店には行けねえのか」

「まだ、未練があんのか、あの女に」


 ジョーの横で居眠りをしていたやせた男だ。


「ゴードン、てめぇはあの年増の女将が好みなんだろう。ものにしたいんじやないのか?」

「確かにあのケツはたまらねぇ」


「二人共やめとけ、あんな田舎町の商売女相手にするよか、次に行く金鉱山のある国境のリーヴァンの方が美人揃いだぜ、ホレ」


 スキンヘッドの髭面が胸ポケットから写真を数枚出しジョーとゴードンに見せた。


「おっすげーなジェイソン! これどうやって手に入れた」


 眼帯のジョーが眼帯を上げ両目で写真を見た。


「へへへ、秘密だ」

「ジェイソン、一枚くれよ、あ売ってくれ!」

「コレは大事な戦利品だ売らねぇ」

「たのむ、このオッパイ出したのだけでイイ売ってくれ!」



「バカどもが騒いでるな」

「聞こえるの?」

「いや、見ればわかる」


 双眼鏡を渡されたハンナは初めて見る双眼鏡に興奮した。


「スゴい、あんなに遠いのがすぐ近くに見える。あ、アレまえに店に来た男だ。眼帯のヤツ」


 ボクとハンナは鉱山の近くに馬車を隠し、裏山に登り銀坑の様子をうかがった。


「聞いてジャン、あの眼帯の男、眼帯はカッコつけで両目見えるんだよ。でさ、ママのオッパイが好きな変態なの」


 時間からして昼食は終わって間もない。明るいうちに。ボクは暗いのが苦手だし武器のコトもある。


 日陰がある小屋の前のガンマンらしい三人は社長か誰かの、お偉いさんの用心棒だろう。

 要注意だ。


 ハンナが言うように鉱夫たちがムチ打たれながら働いているのも見えた。


 見張りのやぐらが四つ。下を警戒してるのでまさか裏山から見られてるとは思ってないんだろ。


「見張りやら監視やらがけっこう居るな武器があっても多勢に無勢……」

「ジャン、あたしが居るじゃない武器の使い方教えてよ」

「ああ……ん、なんだやけに身なりの良い男が縛られて、外の小屋に入れられたぞ。誰なんだアレは」


 偉そうなのが出て来た。あの用心棒ぽい三人と話している。あの小屋の男を見張れと?


「よし、ハンナ馬車に戻って武器を持ってこよう」

「オーケイ! 派手にやろうジャン」


               つづく

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