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リンゴタウン 2

7話 リンゴタウン 2


「おにいさん、それは無理ってもんだ。金も払えないんじや身請けは出来ないね」


 まあそうは思ったが。

 さすがにネロタウンでは小遣い程度しかもらってない、馬車を売るのはきつい。


「何か困ってる事はないか? この町は男手がないだろ」

「特に……ない。男が居なくてもなんとかなってるのが、この町だ」


 と、言われてハンナはまだ、この店の娼婦だ。

ハンナのプライベートルームが店の奥に。


「どうだった?」

「人が良さそうな女将なんだけど、そこはきびしかった」

「ええ、あの人はイイ人よ。娼婦のテクニックを教えてくれて、男があたしを抱く前にヘナヘナにする方法を沢山教えてくれた。おかげで、あたしまだヴァージンなの」


 あのカワイイブロンドの女の子がテクを使って男をヘナヘナにしてたのか。

 さすがに十数年は長かったかな、僕には二年ほどにしか感じてなかったけど。

 小さな女の子がむかえてくれると思った。

 子どもが大きくなるのは早い。


 ハンナの口から妙なコトを聞いた。

 町に男が居ないのは、皆鉱山へ行ったからだと。

 ハーバード社の鉱山で男たちは働いて稼いで帰る予定だったが二年目の今も誰一人帰らない。

 あの店で呑んでた連中は社員で鉱夫たちとは違うと。


 どーも怪しい会社だなハーバード社。


「ジャン、あたしジャンにヴァージンあげるために頑張ったの」


 と、ハンナが、抱きついてきた。


「ゴメン、ハンナ。今はそんな気分になれないんだ。ちょっと用があるんだ、夜にまたくる」

「待ってるわ、ダーリン」

「そうだ、コレ護身用に」

「ナニこれ?」

「スタンガンといって、このボタン押すとカミナリみたいな電気が流れて相手を気絶させる」

「カミナリデンキ? ふーん」


 ボクはシルバー・プールを出て町のハズレにあると聞いたハーバード社に来た。

 他の建物は木造だが、ココは石と鉄が使われている三階建てだ。


「いらっしゃいませ、ご要件は?」


 行くだけ無駄だった。偉そうな奴は皆、鉱山の出張所で。

 あそこは事務的な仕事がメインのホントにただの事務所だった。

 あの3階建ての建物では大き過ぎないか。おそらく社長室とか会議室とかあるんだろうが。


 なんて考えてたら、先に保安官事務所が。入口の前にライフルを持った巨漢の女が椅子に揺られている。


「あんたハーバードの社員? そうは見えないけど」


 わかるならなぜ聞く?


「あんたこそ、保安官には見えないが」


 女は大きな胸のバッジを見せてニャリと笑った。


 どういう成り行きかボクは保安官事務所で保安官とお茶してた。


 薄いコーヒーを出してくれたのは助手という双子の姉妹だ。二人は常に並んで行動していた。あれってもしや。

 黒いロングヘアーにふたりとも同じメガネに黒いワンピースにガンベルトをしているが銃は持ってない。


「鉱山は町の東にある。歩くと半日以上かかるが、途中難所がある」


 双子が保安官の前にパンと豆のスープを置いた


「難所?」

「ああ、蛮族が、出るんだ。先住民も怖れる人喰い蛮族だ。町の物も何人も襲われてる」

「鉱山から酒を呑みに来るハーバードの社員がいるだろ、連中は命がけで来てるのか?」

「あつらの馬車には護衛がついてる。連射砲やらナニやら武器も豊富で、一度襲った蛮族も次から警戒して動かないそうだ」

「わからないでもないが、話が出来すぎてるな」

「ああ、鉱山に行き旦那や子供の様子を見に行った女で帰ったのもいないんだ。おそらく蛮族に」


 保安官は堅そうなパンを豆のスープにひたし口に入れた。


「子供と言ったが、小さな子は何人か見たが……」

「十歳以上の男子も働き手として連れていかれた」

「子供が……。そりゃおかしい。アンタの前には男の保安官も居たんだろ」


 今度はコーヒーだけ一気飲みをし。


「町のお偉い連中は何者かに殺されたんだ。女だけになった町で仕方なく私は保安官をしている。よけいなコトをしなければ殺されないし、ハーバード社から給金もわずかだが出る」

「それはどう考えてもハーバード社が怪しいじゃないか」

「稼ぎ手のいない、家のたくわえもギリギリで皆生きてる。時々ハーバード社から援助が出るがろくなもんじゃない」

「まるで家畜だ、いや家畜以下だ」

「町で繁盛してるのはシルバー・プールだけだ」


 困り事があるわけないな、あの女将。


 さて、コレは鉱山に行って見るしかないな。


               つづく

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