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ネロタウン 3

5話 ネロタウン 3


 夜の保安官事務所。


「ジジィたちは、やれそうか。ウチのモンには派手にやるようにと、けしかけておいた。保安官なら心配いらねぇとも」

「ああ、町長は手下に。判事は俺が。夜襲でこっちの銃声はかくせるな。あのジジィどもを殺っちまえば町は俺とあんたのモンだ」


「あの元保安官の助手はどうする?」

「ジョンソンか、野郎は体をこわしてる、いくら腕がたってもみんなで殺っちまえば、朝に始末する」


  ガタッ!


「誰か居るのか?」

「牢番のジジィだ。あと、酔っぱらいの流れ者をぶち込んである。心配ねぇ」


 深夜、町の大通りに十数頭の馬に乗った男たちが、町はずれの牧場からやって来た。


 銃声がした。


「なんだい、夜中に」


 雑貨屋の老婆が二階の窓から顔を出した。


 ズキューン!


「ババァには用はねぇひっこんでな!」

 

 集団は、宿屋の前で止まり。男たちは銃を抜いた。

 5人の男がたいまつに火をつけ、3人がアルコールの入ったビンを宿屋に投げたビンが割れるとたいまつが投げられた。


「先住民のガキ、出てこい!」

「出て来ないと丸焼けだぞ!」

「そしたら喰ってやら!」


 アハハハハ


 火はひろがり、入り口から客や宿の主人が出て来た。


 ズキューン! ズキューン!


 牧場から来た暴徒の男たちは宿から出て来た人間を確認もせず撃った。


「おい、いいのか? 関係ない奴らだ」

「かまあねぇ。ボスのゆるしが出ている。派手に殺ってこいとよ」


 火は隣の馬小屋にも燃え移って。馬が逃げ出した。


 はじめに飛び出した馬を撃とうとした男を止め。


「馬は撃つな、捕まえて牧場に」


 二匹目の馬を捕まえようとした男が。


 グアタッ!


 馬に近づいた男が倒れるとすぐに近くに居た男も。倒れた。


「気をつけろ、あの小娘が馬に隠れてやがった!」


 ダキュン、ダキュン、ダキュン


 男たちの後ろからの攻撃で数人が撃たれた。

 最初に見逃した馬が戻り、鞍のように付いてた影から撃ってきた。

 鞍に潜んでいた小さな影が確実に男たちを倒した。


 リーダー格の包帯で手首を巻いた男が、振り返ると馬上の仲間が次々と落ちていく。


「やべぇあの小娘が」


 馬小屋から最後に馬車が。


 宿の裏戸をダイゴの怪力で壊し、客たちを逃して、ボクらは馬車で出た。


「ウギャー!」

「こいつ、昼間、アスカに手首落とされた奴だ」


 ボクは逃げようとした男を馬車から飛び降り捕らえた。


「そうか、オマエ昼間の仕返しに来たのか」


 アスカは棒手裏剣を男の額につけて聞いた。


「そ、そうだ」

「なら、なぜ他の客や宿まで焼く必要がある」

「ボスが、派手に騒ぎを起こしてこいって」


「ボス、ボスって牧場主か? アスカ、こいつらただボクらを襲っただけじゃなさそうだ」


 ズキュン、ズキュン


 何処かの家から銃声が。


 腕と脚を撃たれたらしい二人の男が通りの真ん中の家から飛び出した。


 二人は互いに傷をかばいながら、よたよたと逃げてく。


「ダイゴ、あの二人を捕まえて!」


 馬上のメロディに言われ、あのデカいなりで素早く走り二人の男をダイゴが捕まえた。


 撃たれた男たちが出て来た家から老人が、二人出て来た。


 一人は赤い顔した町長だ。呑んでたのか?

 もう一人は片方だけ色のついたメガネをかけ、棒キレのような杖をついた物乞いのようなヒゲだらけの顔の老人。

 身なりからしたら町長の仲間とは見えない。


「おお、あんた昼間に酒場で」


 町長がボクを見て手を上げた。

 派手に燃えてる宿の明かりで深夜でもよく見える。


 暴徒が静まったので町の消防団が動き火を消しはじめた。


「モンコ爺!」


 あのメガネの爺さん、アスカの知り合いか?。


「昔なじみのライアンと呑んでたら、あの若ぞうらが押入って来てな。返り討ちにしてやった」

「オイ、モンコ。一人でやったようなことを。一人はわしが撃った」

「ああ、腕をな。逃がさなんだら脚を撃て」


「こいつら保安官事務所で見た。おまえらあの悪党保安官の助手だろう。て、ことは……」


「ちくしょう。なんで今日にかぎって起きてたんだ。あんたは早寝早起きじゃなかったのか」


「わし、通りで、おまえさんらの話しを聞いてしまっての。なじみの友を救うために会いに行ったんじゃ」

「モンコ、それならそうと」

「ちょっと楽しもうとな。サプライズだ。あんたの腕もまだ落ちてないのぉ。だが、やっぱりあんときは脚だ」


「貴様らにわしの命をねらわせたのは誰だ」


 町長は縛り上げた保安官助手の股関のタマを踏み付け。


「グウッやめてくれ、ウグ」

「おまえらに殺しを命じたのは誰だ! 女と遊べなくしてやろうか」

「ギグッやめてくれ、言う。保安官だ!」


 けっこうあっさり吐いたな。


「男にはコレが一番効く」


 あの悪党か、まあ奴だと思ってたが。


「へへへ、今頃保安官が判事を」


 開き直ったなこいつ。


「ギャウ!」


 町長が股間に蹴りを入れた。


 バカなヤローだ。とうぶん遊べないな。


 ボクらは、モンコという爺さんに言われて助手二人を保安官事務所に連れて行くと。


 判事は大丈夫なのか?


 事務所の牢の中に顔を腫らした保安官と見知らぬ中年男が倒れていた。

 中年は牧場主か?


 牢の前には見知らぬおっさんと老人がカードをしていた。


「ビリーさん、見えないと思ったら」


 チコが。

 このおっさんも仲間か?


「そっちも片付いたようだな。モンコ爺の話しを聞いて、ココに入ってた。牢番の爺さんがモンコ爺の知り合いで助かった」


 ビリーというおっさんは30代の無精ヒゲ面。

 西部では、モテそうなハンサムだ。


 牢番の爺さんはボクらに親指を立てて見せてニヤリと笑った。前歯が二本しか無かった。


                 つづく

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