ねらわれた町 2
33話 ねらわれた町 2
奴は誰を狙ったのか、銃弾はカウンターの椅子に当たった。
ボクは横っ飛びでワイヤーガンを撃ち、店に入ってきた男の銃を持つ手に当てた。スイッチを入れて電撃!
男が倒れると、痙攣して泡を吹いた。って、こんな作用無いはずだこのガンには。
痙攣がおさまった男の口から、菓子から出たのと同じトカゲみたいのが。
ゆっくり這い出でて床に落ちた。
「死んでる?」
「このトカゲみたいなのが、この人に寄生してたんだ」
「なんですかねこいつ。白いオタマジャクシに手足が六本。こんなのはじめて見た」
「ボブやたらにさわるんじゃないよ」
「なぜ来ない」
「あら、洗濯屋のワンじゃないの」
「女将、こいつも!」
ワンという男は包丁を振り上げた。
が、前の男同様、電撃で、同じ結果が。
またトカゲモドキが。
「大変だ女将さん、町の連中がこっちに」
「裏口から逃げよう」
「待って、いい考えがバケツに水を用意しておいて下さい」
二階の部屋へ行き、棺を。
ガチャン
窓ガラスのわれる音が。大勢が店に入ってきた気配が。
「女将! バケツの水をまけ!」
何かしら、少し前と様子が違うわね。
町の入口に来てすぐにわかった。だって前に。
「集会に出ろ」
そう言いながら、町民が十人くらいヨタヨタとこちらに歩いて来る。
「集会? なんの話し」
「出ないと殺す」
ドキューン
弾丸がジローに当たり弾けた。
「あぶないじゃない。ジローを怒らすとみんな死んじゃうよ。ジロー我慢して」
なにかに操られているわ、この人たち。
ポロロン
♪幸せを探しにいゆきたぁあいぃ わたしはあなたとぉお 険しい道でも 凍てついた夜でも 二人なら行けるぅううう♪
「うっああああ」
効いてるみたい。みんな頭をおさえ座り込んだ。
だけじゃなかった痙攣し皆、口から泡を。
「女将さん、外で歌が聞こえる。あの声は」
ボブの後に外へ出ると、住民があっちこっちで痙攣して泡をふいてる。
あの歌声は何者だ。
歌の主がへんてこな動物に乗りこちらにやってくる。あれは、まえに来た時に町ですれ違った不思議な雰囲気の女。
「あれは、ローラ・レイだ!」
ボブが。
「あの人はさすらいの吟遊詩人、荒野の妖精ローラ・レイさんだよ」
「さすらいの吟遊詩人…荒野の妖精ローラ・レイ」
「ごきげんよう。あなたたちは、正常のようね。この町で何があったのかしら」
「ありがとう。ローラ・レイ」
ローラ・レイは、店の前まで来て動物から降りた。動物は馬の水桶に顔を突っ込んだ。よっぽど喉が渇いていたのか。
まだ、町人たちが迫って来る。
ローラ・レイがノアの店の前で楽器を弾きながら歌いだす。
ポロロン
♪銀色の箱の中ぁ 少しだけ大人になったぁ 誰かの背中を抱いたまま 一人じや悲しいよと♪
集まった町の住人が次々と痙攣し泡とあのトカゲモドキを吐いていく。
スゴいこの人の歌はボクの電流攻撃以上の効果がある。本当にこの人は何者なんだ。
本物の妖精なのか、それとも天使。
「神父のクッキーの中からあのトカゲみたいのが」
「そうなんだ。多分あのクッキーを食べて皆おかしくなったんだ」
トカゲモドキを吐いた人たちは何事も無かったように家に帰った。
この店で電撃くらった連中もなんだか、納得行かないような顔をして、帰った者、そのまま店で酒を呑む者など居た。
「なんだか、イヤな予感がして戻って来たのよ、そしたら」
「ボクも一度町を出て、やはり気になったんです。あ、ボクはあなたを知ってるのに、あなたは」
「ええ、名前は知らないけど、町から出る時、あなたたちとすれ違ったの憶えているわ。そのキレイな瞳。あと、キレイな奥さんはどうしたの? あなたの横に居た」
「あ、彼女は奥さんじゃないです。ボク独身です」
「じゃ彼女さん。どうしたの? まさか」
「わけあって人を呼びに。ボクの名はジャン・P・ホワイトです」
「知ってると思うけどわたしはさすらいの吟遊詩人ローラ・レイ」
「ローラ・レイ、よかったら歌っておくれよ。私、この前の歌に泣かされたよ。もちろん代金は払うよ」
「じゃ一曲」
ローラ・レイは店の中央に椅子を持って行って座り。どこにいたのか、彼女の肩に小さなリスのような生き物が出て来た。
「あら、どこに行ってたのパーカー」
ポロロ〜
♪あの大地の輝きはぁ 何処かでぇ あの人が待っているぅ 輝き 今すぐに行きたい 会いに行きたい♪
「アンナは別れた、大好きな人を忘れられなくて、旅に出た。寒い日や暑い日も歩き続けた」
♪見つけたぁ 世界の彼方に 愛あるものはだって 未来はなくならない だってそれは〜あなたが創るからぁ♪
パチパチパチ
店の入口で拍手をした男。
グレイ・ブルーレス。
つづく




