ネロタウン
3話 ネロタウン
「保安官、コレはどういうことだ。なんで1000レオーネなんだ?」
「期限切れだ。手配書見てないのか?」
と、保安官は壁の手配書をたたいた。
その手配書を見ると下の方に小さい字で、「一ヶ月以内。後は半額」と。
「おかしい。そんなの聞いていない」
半額で、チコに半分払ったら500しか残らない。
今夜の寝床代にしかならない。こんなバカな、ん?
「保安官、あんたも悪どいねぇ。賞金のピンハネか。ボクを若いと思ってなめてんだろう。ボクもいろいろ、周ったが、ピンハネする保安官は初めてだ」
「あぁ、若僧のくせにナニを言いやがる」
「この手配書はなんだ。この一ヶ月なんたらのとこ、ボクの汗でにじんでるぜ。ホラ、他の所はにじまない。これ、後から書いたんじゃ」
「そんなバカなコトをするか。俺は法の番人だ」
たしか、一枚あったはずだ。ボクはズボンのポケットから手配書を出した。
「やっぱりだ。ホラ、ボクの手配書にはそんな文字ない。保安官のすることか。訴えやってもいいんだけど」
「貴様のは、何処で拾ったんだ? まあ今回だけは出してやる。持ってけ!」
まったく悪党だな。あの保安官。
とりあえず、チコに約束の金を。宿屋に居るはずだ。
ボクは、宿屋に向かうつもりだったが、酒場が目に入った。ちょっと喉をうるおしてから。
なかなかにぎやか店だ。舞台があって下着姿のダンサーが三人歌って踊っている。
タバコの煙で、もやついてる奥では賭事が。
いかにもなギャンブラーどもが腕をふるっている。
カウンター席にデカい男が。その隣にあの少女が。
町の入口で見たアスカの仲間だ。
「なんでないの、入口に『何でもある』って」
なんかもめてるみたいだ。
「ミルクはないんだ、ここは大人が酒を飲みに来るところだ。ソレにお金持ってる?」
口ひげ、真ん中分けのバーテンが、よくよそ者に言う「金持ってる?」 を言った。
「ううっ」
デカい男が札をカウンターに置いた。
「しかし子供の飲み物はないんだ」
ボクは少女の横の席にはいり。
「おっさん、その後にある白い瓶はなんだい?」
「なんだ若いのそいつが飲みたいのか? アレはミルクに酒を混ぜたミルク酒だ」
「珍しいなぁ。ソレどうやって作るんだい?」
「簡単だミルクで酒を割るんだ」
「ミルクがないと出来ない酒かぁ。じゃミルクはあるんじゃないの。こちらのお嬢ちゃんに出しなよ」
バーテンは渋い顔をしてカウンター内の下からミルクの瓶を出した。
「オイ、今日は混んでんなぁ」
入口の方を見ると三人のカウボーイ姿の男たちが。
「ドッド牧場の連中だ。騒ぎを起さないでくれよ」
バーテンダーがビクついて言った。
ドッド牧場だって。
「悪いな爺さんたち、席ゆずってくんねーか」
「コレはひと騒ぎあるぞ……」
つづく