グレイ暗殺
29話 グレイ暗殺
「神父様、撃たれたと聞き、心配しました。本当にお体は」
「大丈夫だ、なんともない」
グレイ神父は椅子から立ち武術の蹴りを見せた。蹴り上げた足はそのまま停止し、ラン・マールの方を向いた。
「素晴らしい。それは異国の武術で?」
「そうだ、だが異国ではなく異教のものだ。我が神は何処の物でも良い物は取り入れる。信者ばかり増やし、信ずる者たちを都合よく犠牲する何処かの信教とは違うのだ。ランよ、良い物は学べ」
「はい神父様」
弟子のラン・マールの出ていったあとに戸棚を開けて黒い鞘に入った剣を抜き、これまた中の剣も漆黒ながら金属の輝きを見せる。
「いつ見ても美しい。コレを作った異国には、このような剣がたくさんあるのだろうか?」
「ソレはココにひとつ」
「誰だ?!」
闇の中から聞こえる声はまだ、若い女の声。
「その闇丸を持つのが何よりの証拠。グレイ・ブルーレス、間違いないな」
「さよう。私はグレイ・ブルーレス以外の何者でもない」
突然、闇の中から何かが飛び出した。
寸でのところで黒刀でかわした。
「異国のナイフか?!」
直ぐに後ろから人の気配。
ゴトッ
床に頭が落ちる音がした。
一瞬にして首を斬られたグレイ。
首の失くなった体からアスカは黒刀の闇丸を取ろうとしたが、手から離れないほどに握りしめていた。
アスカは指を切り落とし闇丸を手にした。
「宝刀闇丸。父の形見になった……」
ゴトッ、落ちた頭の首辺りからタコの脚のような物が出てグレイの首が動いていた。
「化け物!」
アスカは首に数本の棒手裏剣を放った。タコ状の足は床に刺し付けられた。しかし、タコ足が伸びて、アスカの目線くらいまで頭が上がりグレイの顔がにらんだ。
「我は、闇に住みし者」
「この男は異宇宙より飛来した。我在りし肉体を持ち、その心邪悪なり」
「おまえはなんだ! グレイ・ブルーレスではないのか?」
伸びたタコ足が抜けて頭がゴロゴロと移動し始めた。
そして、首を下に止まると、グレイの顔が変形しはじめた。
頭の先がとがり伸び、二つだった目が顔にいくつも現れた。鼻や頬は膨らみ原型をとどめないほど変形し三本の黒く太い脚が生え。なんとも言えない生物と化し黒いコウモリの羽根を出した。
「その剣、大事にするがいい。また奪いに来る」
そう頭の中で聞こえた。
奴は屋根を突き破り夜空に消えて行った。
「あたしはナニを見たんだ?!」
つづく




