スキル
「ゴクゴク、ぷはぁ。生き返る~。」
ほんの数十分自転車こいでただけなのに、けっこうのどが渇くもんだなあ。
家に帰ってきた。
自転車の修理も無事終わった。てっきり2、3日かかるかと思ってたのに、一時間もかからなかった。しかもかかった費用なんと300円。
ちなみに猫をひいたことによる故障はなかった。けっこうな衝撃だったはずなんだけど。
それからは特になにかあるでもなく、普通に帰ってきた。
いや、一つだけあったか。
++++++
2/2
スキル
SP.4
【天才】
[運転技能]
[乗車技能]
[自転車技能]
++++++
あの謎の声が、今度は修得可能スキルが増えたとか伝えてきた。そしたら案の定なんか増えてた。
だいたい家にもうすぐつく、てぐらいだったかな?
またあの頭に直接響く、電子音と無機質な声が修得可能スキルが解放されたと知らせてきた。
とりあえずその場はスルーして、家に帰ってから確認することにした。
あ、ちなみにこのステータス、私の意志で自由に出したり消したりできる。
まあそれよりスキルだ。
てっきりレベルを上げないと追加されないと思っていたから、こんな簡単にいってちょっと拍子抜け。もしかしたらこれが【天才】の効果かもしれない。
まあSPの方は解決してないから、スキル取り放題・・・とはならないんだけど。
まあでも・・・
++++++
[運転技能]
消費SP=1
修得しますか?
yes/no
++++++
++++++
[乗車技能]
消費SP=1
修得しますか?
yes/no
++++++
++++++
[自転車技能]
消費SP=1
修得しますか?
yes/no
++++++
どのスキルも、必要なSPは1。
3つとも取る余裕はある。
けれどこれらのスキルは、字面や解放された状況から考えると、かなり似通った効果だと思う。
さらに、これからもスキルはどんどん解放されるはず。
だから有用なスキルのためにSPは残しておくべき。つまり取るとしても、どれか一つ。
そして私は・・・
『【自転車技能】を修得しました。』
++++++
2/2
スキル
SP.3
【天才】
[運転技能]
[乗車技能]
【自転車技能】
++++++
【自転車技能】を修得した。まあこれしかないと思う。[運転技能]や[乗車技能]は、適用される乗り物の幅が広いと予想した。となると、自転車しか乗らない私には必要ないわけで。
しかも自転車ならちょくちょく乗るから、スキルが無駄になることもない…と思う。
まあこれは、実際に試してみないと分からないだろうし、おいておこう。
「魅澄ー帰ったのー?」
「うん。ただいまー」
二階に続く階段の上から響く、女性の声。
それに答えながら階段を上ると、高校生──へたすると中学生──ぐらいに見えるとても可愛い女の人が。
何を隠そうこの人、私のお母さんなのです。名前は魅智子。え?姉じゃないのかって?確かに娘の私でもたまに疑いたくなるけど、まごうことなき私のお母さんなのです。低身長かつ童顔で、二十歳超えてると言っても驚かれる容姿をしているが、人妻子持の立派なアラフォーである。これこそ生命の神秘ではなかろうか。外見年齢が実年齢に追いつくのがいつになるか、とても興味深くこれからも観察を続けていく所存である。魅智子観察記録でもつけようかな?
「魅澄?今変なこと考えてなかった?」
「気のせいじゃない?」
全く失礼な。私は生命の神秘について考察していただけだというのに。
あ、そうそう私にはお姉ちゃんと弟がいる。お姉ちゃんは我が家では珍しく長身で、お母さんと一緒にいるとよく姉妹に間違えられる。もちろん妹はお母さんである。
「魅澄?」
「ん、何?」
「…はあ、まあいいわ。それよりちゃんと修理してもらえた?」
「うん。一時間かからなかった。」
「へー、いくらだった?」
「300円」
「え、思ったより安い。良かったわねー。あ、そうそう智夏が一緒にアニメ見ようって。」
「はーい。わかったー」
「ちゃんと宿題もやるのよ?」
「もち!」
そう答えて、私は部屋に向かう。
ちなみに智夏はお姉ちゃんの名前。そして弟は賢児という。
家族仲は、時間が合えば一緒にアニメを見るぐらいには良好。最近は主に、異世界転生モノのアニメをよく見る。スライムとか蜘蛛とか骸骨とか。
…人間がいないなぁ。
「魅澄ー。おかえりー」
「ただいまー」
冷房の効いた部屋に入ると、お姉ちゃんが生まれたままの姿でアイスを食べていた。お胸の二つのメロンも惜しげもなくさらけだしている。引っ込むところは引っ込んで、出るところは出ている。とても発育がよくて羨ましいかぎりだ。
お姉ちゃんは部屋の中…というより家の中にいるときはだいたい裸だ。寝るときはもちろん家族揃ってごはんを食べるときも。理由を聞いても「楽だから」の一言。ブラジャーしてない時間の方が長いのに、なぜか垂れないメロン。お姉ちゃんのクーパー靭帯が強すぎる。
「なにー?魅澄。私のおっぱいをそんな熱い眼差しで見つめて。」
お姉ちゃんのメロンから目を離して、自分の胸に目をむける。…見事なすとーんである。下に目を向けるだけで足元どころかお腹まで見えてしまう、見事なすとーんである。…いや、さわれば若干、いやそれなりにフニフニとした感触が───
「魅澄、諦めな。お前はお母さん似だよ。」
うるさいやい!
ちなみにお姉ちゃんは顔こそお母さん似だけど、体型はお祖母ちゃん──お父さんのお母さんの方──の血を色濃く受け継いだらしい。お祖母ちゃんは180センチ以上ある高身長で、お姉ちゃんは177センチ。どちらも日本人女性としてはかなりの高身長。そして何より、とても立派な果実が実ってらっしゃる。
何がとは言わないがある箇所が薄くて、145センチのお母さんと比べるとすごい差だ。
私?言うわけないじゃん。
「そんなことよりほら、速く見よ見よ。」
「…わかった。なに見る?蜘蛛?スライム?」
「ピクニック!」
「ああそれがあったか。」
私にとっては全く『そんなこと』ではないのだが、この場で議論しても不毛でしかないのは確か。よって、アニメが見たいという共通目標がある私と姉は、一時休戦という懸命な判断を選択したのである。
祖母(父方)181cm
母・魅智子145cm
長女・智夏177cm
次女・魅澄(主人公)133cm──作者「魅澄には内緒だよ。」
長男・賢児 149cm