①魔法と家族と幼なじみ
「ア・・、ア・ク、アレク」
そんな声とともに目が覚める、女性・・・だろうか。顔立ちはかなり整っている方だろう。
そこまで考えたところで、ふと違和感に気づく。目の前の女性は俺を抱えているのだ。自慢ではないが、俺の背はそこそこ高い方であったはずだ。それに、アレクという名前にも聞き覚えがない。
(・・・!、ま、まさか・・・)
前世の記憶があると言っていた、一人の仲間の話が蘇る。
恐る恐る頭を体の方へと向けると、そこには赤子の体があった。
「オ、オギャァァァーーーー!!!(な、何じゃこりゃぁぁぁぁーーーー!!!)」
<数日後>
状況を整理すると、どうやら俺は前世の記憶を保持したまま転生したらしい、原因は不明だが、『世界共通語』が使われていることから、異世界に転生したわけではないらしい。俺に回ってきたまたとないチャンスだ。そこで、俺は目標を二つ立てた。
・魔法を使えるようになること
・目立たずに生きること
まず一つ目だが、俺は前世では魔法の才能がなく、身体強化以外の魔法は使えなかった。が、転生したとなれば話は別だ。
「うぃんうぉ(【ウィンド】)」
直後、部屋の中にやや強い風が吹く。
ふっふっふ・・・、成功だ。初級風魔法【ウィンド】、子供せも使えるような簡単な魔法だが、この体は魔法が使えることが証明されたわけである。他の属性も試したい所だが、親は別室にいるとはいえここは家の中である。火や雷で家を燃やしたり、水や土で部屋を汚すのは避けたいところだ。
次に二つ目、俺の前世はその大半が戦いの毎日だった。己の拳を武器に、ときには魔物を、・・・ときには、人を殺した。そしていつしか、人は俺を<拳聖>と呼んだ。もちろん、いい思い出もたくさんあったが、あんな日々はもう御免だ。だからこそ今世で俺は、目立たず平穏にくらすんだ!
そのためにもまずは、この時代の情報をあつめたいところだが・・・
(うっ、またか)
本日何度目かの倦怠感に襲われる、赤子の体は非常に魔力が少ない。大方、先程【ウィンド】を使ったことで、魔力が枯渇したのだろう。
魔力切れと回復繰り返す。魔力量を増やすには一番効率が良く有名な方法なのだが、この感覚には慣れそうにはない。
そんなことを考えながら俺は眠りに落ちたのだった。
「アレクー、ごはんよー」
「はーい、今行く」
時間が流れるのは早いもので、俺が転生してから10年が経った。
「おはようアレク、お前も今起きたところか」
「おはよう、父さん、母さん」
筋骨隆々で、見るからに戦士の体をしているのがジルク、ほっそりしている白髪が特徴の美人がアリア。この二人が、今世の俺の両親である。
「そうだアレク、昨日ベルのところの娘がアレクと遊びたがっていたぞ」
「わかった、じゃあ後で会いに行ってみる」
ベルというのは父の友人であり、度々うちに来る。そして、その娘というのが―
―バンバンバン!「アレク!遊ぼー!」
「あら、噂をすれば」
母が扉を開けると、そこには赤い髪をなびかせた少女、レイアが立っていた。
作者:やあ皆様、青色ヘッドフォンですうぇい!(謎)
アレク:・・・えっと、どうも。
作者:暗いぞアレク君、ここはもっと明るく行かないと。ほら、イエェェェェェェイ!
アレク:イ、イエェェェェイ?
作者:え?何してんのハッズー(笑)
アレク:スッ(無言で拳を構えるアレク)
作者:ちょっタンマッ!君一応<拳聖>だからしゃれにならな、うぁぁぁぁぁぁ!
<少々お待ちください>
アレク:転生した拳聖は目立ちたくない読んでいただき、ありがとうございました。それでは、次回もよろしくお願いします。
作者:・・・(返事がない、ただの屍のようだ)