おまけ
~~屋上にて
「ねぇ、なんでロンユエ皇子とヴァイオレットの結婚か許されたの?ロンユエ皇子はリリーの婚約者になるはずだったのでしょう?」
「それはね、最初からロンユエ皇子はリリーと結婚する気がなかったらしいの」
私はなぜこんなところにいるのだろうか。
登校するとすぐに、この双子に管理棟の屋上に連れていかれた。
双子と気づかず、愛する女性を断罪してしまった私としては肩身が狭いが、二人はどういう訳か全く気にしていない様子だ。二人が話している内容は元私の婚約者の婚約相手である男性についてだ。
しかも、その婚約相手はあの「暗殺貴族」と結婚するという。
王位継承権をはく奪された私は何もしらない。
「だからね、結婚の意思がないことを示すためにわざと編入テストで49点を取ったのよ」
「まぁ、そんなにリリーとの結婚が嫌だったのね。でも、リリーは自分が扱いやすい婚約者が良いと常々言っていたから助かったんじゃない?」
うう・・・肩身が狭い
「恭国から持ちかけてきた、しかも第三皇子派が持ちかけてきた縁談。国王もあまり熱心じゃなかったからね。国王もヴァイオレットとの結婚で、恭国との関係がより強固になるといって嬉しがっていたわよ?」
「だからロンユエ皇子がシュワルツ伯爵家のことに興味を持つようにうっかり話しちゃったのね。」
何で二人は私が知らないことを知っている。もう、王位継承ないとはいえ一応王族の端くれなのに。恥ずかしい。
「国王、二人の結婚がうれしくって、ロンユエ皇子のクラスを本来のクラスである、上位クラスにしたそうよ。」
「あら、国王にしては気の利いた結婚祝いね」
「本当ね」
双子は顔を見合わせながら嬉しそうにクスクス笑う。
私は、ついその笑顔に見とれてしまった。私が愛した無邪気な笑顔がそこにあった。
「あら、大変。お茶が冷めてしまったわ」
「本当だわ。どうしましょう?」
二人は冷めた紅茶を手に持ちながら、私のに顔を向ける。
「私がお茶をお持ちいたします」
「ありがとうリック。」
「ごめんね、お願いしちゃって」
私がお茶を持ってくると言うと、二人はいたずらが成功したような表情を浮かべた。
お茶を持ってくるため、屋上から降りると、上位クラスから歓声が聞こえた。