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後編

次の日、化粧で隈を隠して登校。リリーには苦笑され、ローズとメグは「お昼休みに詳しく聞くわね」と言われてしましました。


教室に入ると、すぐにあのいけ好かないシンを探します。シンは第二皇子の護衛です。皇子共々この最上位クラスにいるはずです。しかし、教室にはいません。まだ来ていないのかと思い教室の入り口に目をやると。


「ヴァイオレット、言いにくいのだけど実はロンユエ第二王子は下位クラスよ」

リリーから爆弾発言が飛び出しました。

「え?何で?」

一国の王子ですよ?あまりにもひどい点数を取らない限り上位クラスですよ?50点取れればいいですよ。


「……上位クラスになりたくなくって、わざと49点を取ったそうよ」

「     」

あまりのことに言葉が出ません。


「『メグ』、第二皇子様ってどんな人?」

お昼になり、リリー・ローザ・私・メグの四人は中庭でお昼を食べている。お昼を食べている途中、編み込みのされたプラチナブロンドした『ローズ』がストレートヘア―の亜麻色の髪をした『メグ』、第二皇子のことを聞きます。


「う~ん……どんな人かわからないわ」

『メグ』は困ったような表情で答えます。

「だって、皇子は登校しないで、護衛のシンだけ教室にいたから」

「「………………」」

思わず無言になる私と『ローズ』。リリーは皇子の性格を知っているせいか苦笑しています。


「あの、おちゃらけた護衛の主人だけあるわね。主人も十分ふざけているわね」

「あまり、申し訳ありません。おちゃらけた護衛で。お嬢様方を不愉快にさせてしまったお詫びの品です」

私の言葉に、音も気配もなく出てきたシン。ローズとメグは驚いたように目を丸くしているが、昨日、シンの実力の一部を見た私は驚かない。

私だって気づいていたのです。あの時、シンは全く全力を出していなかったことを。本当にあの時あったのは、地の利と人数の差だけでした。あの時、リリーが止めてくれなかったら、ヤられていたのは、本当は私たちの方だというくらいわかっていますよ。


「あら、ありがたくいただくは。」

リリーはお詫びの品だと差し出された皿を受け取りました。そのお皿に乗っているデザートすべて私の大好物ばかりです。


「……」

「それでは失礼します」

シンは、そう言うと音もなく姿を消した。本当にいけ好かない奴です。




あの日以来、何かとシンは私にかまってくるようになりました。


何故か、私たちと一緒にお昼を食べたり、全階級参加の授業では率先して私のエスコートを行ったり、恭国の珍しい武器や戦いの書物を私にくれたりしました。また、恭国独特の武術や暗殺術も教えてくれました。

流石に、「恭国の暗殺術を私に教えていいのか」と聞くと、「同じ王家を守るものだ。使える武器や使える知識は多いほうが良い」と言い切りました。


恭国の暗殺術を教えてくれるようになってから、私の中で「いけ好かない奴」から「たまに不真面目だけど頼れるお兄さん」に格上げされました。なんせ、シンの教え方は、シュワルツ家の師範たちよりも断然にうまかったのです。



今日も、シンが恭国の武術を教えてくれることになっています。いつもは一緒に我が家の訓練所に行くのですが、今日は第二皇子ともども王宮に呼びだされてしまい。シンとバラバラに行くことになりました。


「!!!!!」

街中を馬車で走っていると、強い殺気に襲われました。

私は馬車の扉をけ破り外に出た。私が馬車からでたタイミングで馬車は大炎上をした。

「え?」

御者に目配せをすると、そこには御者の首がありませんでした。

周りを見ると、この場所で商売をしていた者、遊んでいた子ども達全員の首がありませんでした。


「あ、あ、あ」

あまりの恐怖に声でないだけでなく、腰を抜かした。訓練を実践のあまりにも違いに私は恐怖した。

初めて見る死体


初めて体中に突き刺さる殺気


初めての死が迫る恐怖


茫然としていると影が私に向かって走ってきます、その走り方はシンに教えてもらった恭国独特なもの。私はシンの教えを思い出して身をよけます。


敵は私に攻撃を仕掛ける。私は反撃など考えずひたすらに攻撃をよけ逃げます。


情けないです。


次期シュワルツ家当主が逃げることしかできないことが。


しかし、命あってのもの。


私はひたすら逃げることに徹します。


ひたすら逃げます。


生きるために。


ひたすら走ります。


リリーとローズとメグに再び会うために


ひたすら走って逃げます。


もう一度、シンに合うために



「何で」

角を曲がるとそこには数十人の黒い衣装を身に着けた屈強な男性達がいます。

後ろからは、私を追ってきた影がいます。


もうこれでは逃げられません。


私は死を覚悟します。目的が何であれ、何も抵抗せず死んではシュワルツ家の恥。私はいつも持ち歩いでいるロケットペンダントを開きます。そこには写真はなく、一粒の毒々しい錠剤が入っていました。


我が家が研究を重ねて作り上げた、自害用の薬。


その薬を飲みこもうとした瞬間。私を追ってきた影がドサッと音を立てて倒れました。そして、そこに立っていたのは


「シン……」

息を切らし返り血を大量に浴びたシンでした。


思わず涙があふれました。どんなに涙を止めようとしても涙は止まりません


「遅くなってごめん」

「ほんとよ・・・」

シンは私を抱きしめました。鉄臭い匂いがしますが、私はそんなこと気にせず思いっきり抱き着きます。



「な、なんで第二皇子がいる!!」

「そんなことどうでもいい。殺せ!!ロンユエ皇子を殺せ」

「うるさいよ・・・」

私を待ち構えていた黒衣の男たちはけたたましく騒ぎ、そしてシンを殺そうとします。しかし、シンの大剣の一振りによりみんな首と胴体が離れました。


私はそれを見届けて、気を失いました。












次に目を覚ますと、自分の部屋にいました。

私が目を覚ましたと聞いて、きっとサロンで私の目覚めを待っていたリリー・ローズ・メグが部屋に飛び込んできました。三人とも目を赤くしたいました。



私がベッドから起き上がるとリリーは重々しく語りだしました。


第二皇子の護衛の「シン」という少年は存在しないこと


「シン」こそが第二皇子ロンユエであること


私を襲ったのは、第二皇子ロンユエ皇子の暗殺を企む第三皇子ホアファン皇子の手先であること。


丁度、父に恨みを持つ貴族が、私と第二皇子ロンユエ皇子が仲良いことを知り第三皇子ホアファン皇子の手先に私の暗殺を依頼したこと


第二皇子ロンユエ皇子はリリーの新たな婚約者だということ


「色々なことを聞いて疲れた」と言って、三人には部屋を出ていってもらいました。


三人が部屋を出ていってから100秒数えました。


そして私は大きな声で泣きました。


悲しくて泣きました。


シンがリリーの婚約者だと知って泣きました。


今気づきました。


私はシンのことが好きだったことに。


リリーからシンを奪いたい気持ちが大きくなりました。


しかし、それは王家を裏切ることです。


シンに「愛している」と伝えるだけで極刑です。


だから私は












私は次の日、学園に時間ぎりぎりに登校しました。シュワルツ家跡取りたるもの毅然とした態度を取らなければなりません。


それに、いつもと同じ時間登校するとリリーと顔を合わせる可能性があります。なんとなく気まずく思い時間をずらしての登校です。


生徒たちの視線が刺さります。しかし、私は胸を張って廊下を歩きます。


「初めまして、ヴァイオレット・シュワルツ伯爵令嬢。恭国第二皇子ロンユエと申します。失礼を承知しながらシュワルツ伯爵令嬢に結婚を申し込みます。」


教室の扉を開けると、恭国の正装をしたシン……ロンユエ第二皇子が紫色の菫の花束を持って婚約を通り越して結婚を申し込んできました。


教室を見渡すと、色とりどりの菫の花で敷き詰められています。



クラスメイト達は祝福の表情を浮かべています。

もちろんリリーもです。


「む、婿養子で良ければ結婚して差し上げます。」

思わず強がって、皇子に向かって「婿養子」という言葉を使ってしましました。

ロンユエは、微笑みながらヴァイオレットを抱きしめながら「もちろんそのつもりです」と言いました。


その瞬間教室は溢れんばかりの拍手が響きました


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