利己的な奴ら
題名「利己的な奴ら」 はやまなつお
アメリカのホワイトハウス。
「やはり現在の仮想敵国は中国だ。
前回は、うまい対策案を出すよう皆に依頼したが、どうかな?」
「超小型の核爆弾を開発しました。ボタンの大きさです。
威力は半径500キロを塵に変えるほどです」
「それはどうやって使うんだ?」
「誰かの体に埋め込みます。電波で起爆させます」
実を言うと候補者がいます」
立体映像で東アジア人らしき男が映し出される。
「ロバート・民、貿易商で起業家です」
「ああ、有名人だな。レトルト丼屋や、「親切に接する散髪屋」など、
低料金の店を仕掛けている」
「ええ、レトルトの袋を鍋で温めておいて御飯にかけて出す、4ドル飯屋。
中華丼、鳥卵丼、うな丼、牛丼、カレー丼など10種類。1分以内に提供。
食券を自販機で買って椅子に座って目の前のカウンターに券を出す。
従業員が半分ちぎって用意、持ってきたら残りの半券を持っていくシステム」
「うなぎ丼は高価では?」
「ミンチ肉を使っているらしくて。
ハンバーグというか蒲鉾のような加工をしているようです」
「なるほど」
「散髪屋は料金8ドル。一人15分以内。
子育て中の主婦が店員で理容師免許を持っていない。
1日の労働時間4時間で時給16ドル。
人数をこなせばその分だけ加算。
だから1日即日支給で64ドル。
ヘアカッター、電気カミソリで、簡単に丸坊主、スポーツ刈り、短髪のみ。
女性向け散髪屋は、8ドルで短く切るだけ。
予約制で客を待たせない。
客に親切に接する、がモットー。それだけで人気を集めている」
「1年ごとに1つ起業して、たいてい3年以内に閉店していますが
その2つがヒットしています。でも問題は」
「石油か」「ええ、中東から契約して石油を四大メジャーより安く売って提供。
法律違反で逮捕されて倒産」「自由競争からいうとそれは」
「まあ縄張り争いですが。このロバート・民をどうにかしてくれるなら
四大メジャーは、政治献金を3割アップして良いと」
「彼にやってもらおう。もちろん本人には秘密で」
「ロバート・民は中国とアメリカを行ったり来たりで活動しています。
ではアメリカで仕掛けをして中国で起爆を。
中国は消滅するとして、日本、韓国の米軍基地にも被害が」
「平和主義者やロートル、厄介者を実行時には配属しておけばよかろう」
「ではそのように」
「実行後は、中国の原子力発電所の事故での爆発と公表することにしよう」
中国。
「アメリカが中国に大規模な破壊活動を仕掛ける、と情報が入った。
おそらくハリウッドSF映画のごとく核兵器だろう。
アメリカ人は核兵器さえ使えば勝てると洗脳されてるからな。
先手を打たねば。良い案は無いか?」
「通常のミサイル攻撃では向こうが圧倒的に優勢です。
冷戦時代から貯まった兵器を使い切るつもりで山ほど撃ってくる。
物量・性能とも向こうが上。人数ではこちらが上ですが意味がない。
つまり全面戦争になったら絶対に勝てません」
「では?」
「電撃的に決着のつく方法、大規模爆弾です。
プラズマ爆弾を開発しました。しかも超小型。
人体に埋め込めます。
威力は北米大陸を吹き飛ばせるほどです」
「しかし本人もろともだな、志願者は、いるだろうか?」
「それですが、我が国の経済を混乱させてる外国人がいまして。
ロバート・民。中国企業同盟から苦情が・・・」
日本。湘南海岸。ロバート・民が浜辺で泳ぎ疲れて横になっている。
「なんのかんの言っても日本が一番治安が良いな。比較の問題だが。
人間の質はどこもかわらず悪いんだが・・・戦隊やライダーとか
正義の味方洗脳のおかげだろうか。外国ならマンガは子供の読み物、
大人が読んでたら正気を疑われる・・・」
アロハシャツ姿の白人の男が後ろを通る。タバコを持っている。
手でタバコを押すと煙が吹き出す。口は付けていない。ゆっくり通り過ぎる。
ロバートは眠ってしまう。もう一人、サーファー白人男が来る。
二人でロバートに肩を貸し、酔っぱらいを介抱するふりで運ぶ。
白人のエージェントA「睡眠ガスOK。手術車に運ぶ」袖口のマイクで連絡。
1時間後、同じ場所へ戻す。
中華系のエージェントB
「何だ今のは・・・こちらと同じような真似を・・・
まあいい、命令された通りにすればいいんだ」
ロバートを運んで秘密の病院へ。手術後、元の場所へ。
夕方。
UFOが海岸に出現。
「浜辺で寝ている地球人がいる。ちょうどいい。あいつにしよう」
重力光線で吸い上げてUFO内部へ。
宇宙人C「銀河管理委員会の調査で地球人は残酷なD級生物であり、
人権は認められないと決定された。
文句は受け付けない。
そこで貴様達は我々キューイ星人の支配下で奴隷になってもらう」
D「寝ている者に言っても」
C「一応の形式だ。特殊中性子爆弾をこの地球人の体内にセットする。
この爆弾は地球のヒューマン族、人間の脳の周波数だけに作用する。
地球の裏側まで中性子線は届くから、一瞬で地球人は全滅する。
もし降伏勧告に反抗するようなら遠慮なくスイッチを入れる。
屈服するなら地球人は奴隷として売る。
この美しい星は、我々が造成して販売しよう」
1時間後に、また重力光線で浜辺へ下ろされる。
夜。ロバートが起きる。
「あれ、眠ってしまったか。腹が痛むような・・・気のせいかな」
ロバート
「次に仕掛けるのは何か・・・世のため人のためになって面白いのは・・・
考えてちゃダメだ、閃かないと。
自分が不自由を感じてこうすりゃ便利じゃん、
何でこういうのがないんだ的な・・・また旅を続けるか」
翌日、ロバート・民はヨーロッパ方面へ。
「さっさとアメリカ(中国)に行け!」と、
到着次第、爆破電波を流すつもりの両方の作戦指揮者は、焦る。
宇宙人D「大変だ。例の地球人の腹に金属物質があったろう。
今、データを解析したらどちらも爆弾だ」
宇宙人C「ほう。攻撃用自爆兵士とかかな。野蛮な。大変というのは?」
宇宙人D「核爆弾、プラズマ爆弾、中性子爆弾、これらが起爆すると、こうなる」
立体映像でシュミレーションが示される。
C「ビッグバン・・・・俺たちの世界まで壊される・・・。
すぐにそいつを回収して爆弾を取り出そう」
D「取り出そうとしたら起爆するようにセットしてしまった。
それに我々の姿とはまったく別の生き物だ。個体識別は出来ない。
どこに移動したのか不明だ。
すぐ警告と爆破をするつもりだったから追跡装置は付けていない」
X「先遣隊!何をしている!」
C・D「キューイ星のX将軍!」
巨大な宇宙戦艦が地球上空へ。
X「こちらはキューイ星の宇宙艦隊だ。地球人ども、即時降伏せよ。
さもなければ全滅させる」
アメリカ、中国はミサイルで攻撃。しかし防がれる。
月基地、地表の攻撃基地はあっさり破壊される。
D「X将軍、実は・・・」
X「何と・・・。困ったときは先送りだ、私では判断できない。一時撤退する」
C・D「我々も」戦艦にUFOは格納される。
宇宙艦隊は唐突に去っていく。
中国とアメリカ。
「どういうことだ、降伏勧告しておいて、いなくなるとは?」
「明らかに敵の方が科学力が上なのに?
内部分裂か、他の敵が攻撃でもしてきのか?」
「とにかく我が国だけでは対処できない。
敵国を滅ぼす計画は中止だ」
「ロバートから爆弾を取り出せ!」
「それが両国から逮捕命令が出て・・・整形して雲隠れしてしまったようで」
「どこにいるかわからんというのか!」
「それでは起爆できない!」
「とりあえず宇宙に凶悪な敵がいることがわかった。
あの国とは友好を結び、科学力を発展させて備えよう」
高橋留美子の短編漫画「勝手な奴ら」のパロディ。
宇宙人、海底人、日本人の3者が、新聞配達男に
爆弾を埋め込む。相乗効果で宇宙全体が消滅すると判明。
それまでは敵を全滅させようと攻撃していたのに
自分たちの命惜しさに友好を選ぶ。




