始まり
久しぶりの投稿
この世界に来て1週間
「うわ!」
目の前を木刀が掠める
「飛んで下がるな!一歩だけ引いてすぐに打ち込んで来い!」
朝から稽古
アネットはやる気あり過ぎて怖い
この1週間の間に街で三回も変な奴に狙われた
毎回アネットが着いてくれてるからなんとかなってはいるんだが…
つーかアネットが親切で街を案内してくれてる時に限って狙われてるのが幸いか
…幸いなのか…?
「お前、剣の扱いが独特だな…その割りには基本が出来てる…我流なのか?」
「あー…まあ、一応な」
どうやらアネットの剣の扱いは居合いみたいで、毎回鞘に戻すかの様な動作をする
毎回剣筋が読めないから眼前でちゃんと構え受け流す様にするか避けるかしないとどうにもキツい
打ち返そうにも俺が前に出ようとする頃には構えに戻って行って、すぐに弾かれてしまう
そんなわけで
「どうやって打ち込めっつの…」
「お前なら出来るだろ?」
なんて簡単に言われてしまう
つっても…動作が速すぎて追い付けないってのがあるしな
下手に突っ込んで痛い思い(今までで三回)するのも嫌だしなー
強いなあ、こいつ
「…!」
木刀を凄い勢いで弾かれ、手が痺れる
「あー痛い痛い、タイム、終了!」
その場でへたりこんでしまう
「お前なあ…根性あるのか無いのかどっちなんだ…?」
うわー
「ほら、大丈夫か?」
そう言いながら、手を差し出してくれる
「ああ」
その手を受け取り立ち上がる
「さ、行くぞ」
…………へ?
――――――
その後もみっちり打ち合い
「今日はここまで、だな」
アネットのお許し
「はあ、やっと終わった」
その場で座り込む
毎回こんなんだな
「明日は街に出るぞ、エイミにも言っておけ」
「あ〜い」
―――――――
「はあ…」
やってしまった
「どこっすかここ?」
アネットとはぐれてしまった
「どうするんだ一樹」
「…」
元はと言えばこのチビことエイミが屋台の匂いに釣られて、色んなところにふらふら行くせいでこんな事になったわけで
「アネット探そうにもこっちに来るのは初めてだしなぁ」
このエピオラってとこは東西南北のエリアに分けられて居て更にそこから4つのエリアに分割される
で、今は南のエリアに来てるわけなんだが
「どの位置なのかいまいちわかんねーな」
「なあ、アネットが何処に居るかもわからないし城に戻った方がよくないか?」
エイミさんあなたのせいでこんな事になったんですよ
「つかそんな事したらまた俺が怒られるだろ!」
アネットからはぐれたのは今回で二回目
一度目もエイミのせいなんだが
「…一樹」
「今度はなんだよ…また食い物か?」
「敵が居る」
…あー
「最悪だ」
はぐれた時に限ってこうなる
「向こうには見つかっているが、幸いここはまだ人通りも多い」
南のエリアは特に活気があり、海が近くにあるせいか海産物等はこのエリアでしか売ってないものも多い、船の停泊場もあり外からの輸入品や観光客なども居るので他のエリアよりは人が密集しやすい…だが、その土地柄のせいで他国からの密入国や内部への侵入もされやすいエリアでもある
「このまま逃げ切るのは難しいか」
「どうすんだよ、アネットも居ないしさ」
「…ここらで実戦も必要だろ」
さらっと嫌な事を言われる
俺の嫌そうな顔を見たエイミは
「男だろ、やる時はやった方がいい…お前はそんな奴だろ?」
…こういう時だけこいつは可愛い
「ってか、戦うって言ったってどうすんだよ、こんな人通り多い所で」
「人が少ない場所はこの近くに無いのか?」
「俺こっちに初めて来たからわかんねー」
使えんな、とか聞こえたが気にしない
「…そうだ」
エイミが何かを閃いたようで
「行くぞ」
さっさと歩きだす
―――――
で、着いた場所は
「海!」
蔑む様な目で俺を見るエイミ
「なんでだよ!海来たらテンション上がるだろ!」
「状況わかって言ってるのか…?」
もうやだ…
―――――
エイミに着いて砂浜を歩いていく
「ここら辺も結構人いるもんだな」
「観光客が多いからだろうな…ちっ」
多分エイミの考えでは海に人が居ないもんだと思ってたんだろうなー
「しょうがない…、一樹、耳貸せ」
「ちゃんと返せよぉ?」
額にこんなマークを浮かべる
↓
#
「はあ…」
怒られるのも嫌なのでエイミの身長に合わせてしゃがむ
「……なに?それやるの?」
「人を散らかすならそれが一番だろ、上手くいけばアネットも来てくれる」
…結構恥ずかしいじゃねぇか
「ほら、早くしろ」
エイミが光に包まれ剣の姿に変わる
「…はあ」
わざわざやらかすのも本意じゃないんだが…
エイミを手に取り、後ろに振り返る
「王国騎士ファントムだ!民間人はすぐに立ち去れ!!」
…恥ずかしい!
「…」
うぉい!
「エイミ!みんなして蔑んだ目してるぞ!」
「お前はバカか!アネットから貰った腕章があるだろ!」
どうでもいいが剣が喋るって結構グロいかも…
「えーと…これか」
ポケットから取出し、腕に着ける
それでやっと皆わかってくれた様子
「あぁぁあああ恥かいたぁあああ」
「お前は緊張感ないのか!」
「まったくだ」
エイミの声に続いて、違う声が聞こえる
振り替えると、そこに
「久しぶりだな」
また俺の事を知っているっぽい奴がいた
「時が進む事もなく毎回こんな事繰り返してなんになるんだってのな?」
なに言ってんだ、こいつ
「ま、いいか…」
真っ赤な瞳で睨まれる
男か女かわからない中性的な顔立ちが
「逆にアリだ」
「なにがだ?」
「エイミは知らない方がいい」
「どうせまたつまらない事なんだろ」、と図星
なんて洞察力
「あー、悪いけど今日は偵察だから」
いきなり拍子抜け
「今までちょこちょこ偵察向かわせてたが、誰も帰って来ないし…気になって私が出てきた訳だ」
アネットが全員倒して(手刀)城の牢に捕えたからだなあ…
「元気そうでよかったよ、じゃあな」
何故かそんな言葉をかけられ、男女は去っていく
「なんだったんだよあれ?」
「私は知らん」
…ほんとに、なんだったんだ
――――――
人を退避(結局無駄だったが)させたりしたせいで、少し大事になっていたようで
「こんな所に居たのか!」
アネットとやっと出会えた
「急ぐぞ」
「…へ、どいうこと?」
「城が狙われた」
「さっきの奴か…?」
「お前、やっぱりまた狙われたのか」
何故か頭を抱えるアネット
「はあ…時間が惜しい、私は行くぞ」
「ちょ、待てって!」
――――――
いろいろ忙しいっす、自己満なんでだらだら更新