「王妃陛下」について
読んでいただきありがとうございます。
感想も多数頂きまして感謝に堪えません。
ただ、私のこの記事に影響されて「王妃陛下が間違いだ」と指摘された、という方がおられるとのことで、ここに宣言させて頂きます。
「この記事の内容は笛伊豆の個人的見解であって絶対的に正しいとかではありません」
あくまでもひとつの「意見」として読んで頂くよう、お願い申し上げます。
2021.8 笛伊豆
「なろう」に載っている小説に表題の単語が時々出てきますが気になります。
そもそも「陛下」の敬称はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば「皇帝・天皇・国王等に対して用いる敬称」となっています。
つまり帝制もしくは王制における唯一絶対の支配者に対する敬称であって、基本的にはその政体にただ一人しかいないはずです。
もっとも日本の場合はちょっと特殊で、皇帝でも王でもない支配者? である「天皇」だけではなく、その正室である「皇后」も陛下の敬称付きで呼ばれます。
テレビで「天皇皇后両陛下」という呼び方をされますが、これは世界的に見てかなり特殊なようです。
さらに現時点では「上皇」および「上皇后」にも陛下がついている場合もあって、この辺りの理屈はよく判りません。
ちょっと調べて見たら「陛下」は日本では西暦757年(天平宝字元年)に『養老令』儀制令において天皇に上奏する際の敬称として定められたそうで、何だか曖昧ですがそうなっている、と思って下さい。
天皇陛下の事はこれくらいにして表題の用語です。
結論から言うと、これは有り得ません。
そもそも「王妃」とはフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば「王の正妃(第一夫人)」のこととなっています。
つまり王(陛下)の妃(奥様)のことであって王国の支配者というわけではありません。
王妃の敬称は「殿下」です。
もっとも英語表記ですと女性が君主である場合(女王)も「王妃」になり、その敬称は「陛下」だそうです。ただし王様の正室である王妃は「queen consort」、自分が支配者である女王は「queen regnant」になります。
「なろう」で王妃陛下と書かれている場合は100%王様の正室だと思われますので(自分が君主なら女王と書くでしょう)、それはまず間違いだと結論して良いと思います。
余計な事かもしれませんが気になったので書いてみました。
まあ、小説では王妃陛下が正当な異世界があるかもしれませんが(笑)。
追加:
色々ご意見をいただいて、また「なろう」内での王妃の敬称パターンを見て気がついたことがあります。
私のみるところ、「王妃殿下」と「王妃陛下」の記載は半々かやや陛下寄りというところに思えます。
つまり作者さんたちの見解がそれだけ割れているわけで、人によるとも言えます。
なので王妃陛下が間違いという私の意見は変わりませんが、それは私や王妃殿下を使う方々の「見解」であって真実はひとつ! というものではないかと。
ちなみに、私の今の意見として「王妃陛下」で正しいのは、その王国での制度が国王と王妃が共同統治者と位置づけられている場合です。
つまり代理とかじゃなしに王妃? が国王と同等の権限を持つことになります。
私ならそういう国なら王妃じゃなくて「女王」にしますが、制度上の記載が「王妃」だったら敬称が陛下になるでしょう。
実際、なろうに出てくる王国では王妃が国王に断りなく色々やっている場合も多いので、もしかしたらそういう国では「陛下」がふさわしいのかも。
ただ何の説明もなく王妃陛下が出てくると、私としては違和感を感じてしまうので。
「妃」は奥さんの意味だから、絶対君主制だと統治者じゃないと思うんだよなあ。
2022.12.17