第8話 カッコよくなりたい
「お前らほんと全然喋んないのな」
こいつらが俺の中に来たのはたった1ヶ月前なわけだし、こいつらが喋らなくてもなんか違うなーなんて気分にはならなかった。むしろ静かだとありがたい。
(いや喋ってたぞ)
(うん)
「まじ?」
(お前がゴブリンに襲われてる時とかな。アドバイスとかしてやってたのに)
(多分ミサカが焦ってる時とかは聞こえなくなるんじゃない?)
「まじか……」
確かにそうかもしれない。焦った時とか頭真っ白になるしな。最初逃げてた時も聞こえなかったし。
(まぁお前がこの世界に来て考え込むことが多くなったからな……お前の思考がずっとうるさいんだよ)
(それな)
「しょうがないだろ……おい待て、俺の思考が分かるのか? なら俺声に発しなくてもいーじゃん」
(分かるって言ってもある程度だ。声に出さなきゃ分からないことってのがあるだろ)
「確かに……でもちょっと待て、それは前からか?」
(いや最近だよ。前の世界じゃ何も考えてなかったんじゃねぇの?)
「うっ」
まぁ確かに特に目的もなく適当に毎日を過ごしてたかもな。ただ時を無駄に消費するって生活。そりゃあ何も考えてねぇわ。
そう考えるとこの世界に来て何回死にかけたんだ俺……こう世界の過酷さを感じちまったら、真剣に色々考えざる負えないわな。
(そういやゴブリンの時も無様だったぞ)
(ダサかった)
「それ以上言わないで! 傷つく!」
はーレイン達にもそう思われたんだろーなぁ。
(まぁ自分の弱さを認識することは大事だが、このままだと生きてけないぞ)
「分かってる……」
俺は弱いしダサい。俺だって強くなりたいしカッコよくなりたい。でも俺は強くなろうとする努力もカッコよくなろうとする努力もしてない。何もしてない奴がなんで俺は弱いしダサいんだ、なんて嘆くのは努力してきた奴への冒涜に等しい。
特に何もしなくても最強って奴もいるのかもしれないけど俺はそんな大層な男じゃない。少しずつ成長していくしかないんだ。
「いつかお前らが驚くぐらい立派な男になってみせるよ」
(すぐ最強になれる方法があるぞ)
「え?」
(俺に魔法を使わせる)
「死ぬんでしょ?」
(十中八九)
「却下だ却下……俺のカッコいいセリフに水を差すなよ」
(いいだろー最後だとしても輝けるなら)
「俺は流れ星か!」
魔法か……この際色々聞いとくか。
「レーギルはどんな魔法を使うんだ?」
(俺は雷魔法を使う)
「すげぇかっけぇ」
雷……属性的なやつか。
(基本、属性は水、火、風、雷、地の5種類だ)
「うん」
(水は火に強く、火は風に強く、風は雷に強く、雷は地に強く、地は水に強い)
水→火→風→雷→地→水 ってことか。
「水が火に強いってのは分かるんだけどさ、風が雷に強いとかはピンとこないぞ」
「この世界の原理なんざ俺にも分からねぇよ……そんなのこの世界を作った奴に聞け」
この世界を作った奴か……
「――創造神か」
(なんだ、知ってるのか)
「前レーギルが言ってたよ」
(あー言ったような言ってないような)
「なぁその創造神ってのはなんなんだ」
(名前の通りこの世界そのものを創造した奴ってことだろ)
「それはまだ分かるんだけどさ、前封印されてるとか言ってなかったか?」
(言った)
「なんでそんな奴が封印なんかされちまったんだ? そんなことして平気なのか?」
(はー……じゃあこの際この世界では誰でも知ってる伝承を話すぞ)
「わかった」
今は襲われる心配もないだろうし、この世界のことを知っといたほうが絶対いい。だから聞こうどんなに長くても。




