第7話 ヒモ
確かに足手まといだしな俺……ここまでしてくれたことが逆におかしいぐらいなんだよ。そう俺は自分を納得させた。
「こっから王都までは出る魔物も強くなるし、道も道無き道って感じなんだよ」
「――はい」
「私達は強いけど冒険は何が起こるかわからない。だから君の命を守れるかは保証できない」
「――はい」
「だから王都まで君を連れてくことはできない。まぁレインは俺がいれば平気だろとか言ってたけど、君には危険すぎる」
俺には相槌を打つことしかできなかった。ここで俺は大丈夫ですとか言ったらもしかしたら連れて行ってくれるのかもしれない。でもそんなのダメだ。俺が行ってもただのお荷物だ。
でもこれからどうしよう。全く知らない街にひとりぼっちとか大丈夫か俺? 衣食住を確保できるだろうか……不安しかねぇ。
「だからはい、これ」
「え?」
そういうとスズさんはとても重い袋を俺に渡してきた。ジャラジャラ音がする。ひょっとして中に入ってるのは……お金?
「ちょっ、ちょっと待ってください! こんなの受け取れないです」
俺は中を確認する。これは多分この世界の通貨だろう。とてつもなく重い。
「はー、じゃあ何、君はそのよくわからない格好だけで生きていけるの?」
「うっ」
「すぐ働くとしてもお金はすぐ入らないし、受け取っといた方がいいと思うけど」
図星だった。彼女は俺の状況がよく分かっていた。多分レインから聞いたんだろう。確かにこれをもらうことなく1人になったら、確実に1ヶ月は野宿だし食うものもない。このお金はお先真っ暗な俺の未来を照らす一筋の光に相当していた。
「でもなんでこんなことまでしてくれるんですか?」
彼女からしたら俺は恋人でも友でも、もはや知り合いですらない。なんで今日初めて話した奴にこんなことができるのか……俺は知りたかった。
「はー、このまま置いてったら野垂れ死ぬ未来が見えてるし、そんなことされたら目覚めが悪いのよ」
「そ、そんな理由ですか……」
「そうよ……ていうかそこにあるお金は私からしたらはした金だから、そんなこと気にしなくていいよ」
はした金……絶対そんな量じゃない。俺に罪悪感を感じさせないようにしてるのか……結局多分向こうは折れないし、俺がこれを貰った方が助かるのは事実なので俺はお金を貰うことにした。
「本当にありがとうございます! 絶対返します!」
「いいよ別に……あと敬語じゃなくていいよ。私貴族とかでもないし、歳だってあんま変わらないでしょ」
レインにもそんなこと言われたな……敬語はあんま使わないものなのか? でも受付の人は使ってたよな。もしこんな俺と対等な関係でいたいと思ってくれてるのだとしたら嬉しい。
「ねぇーミサーは何歳?」
「えっ、17だけど」
「え? うそでしょ」
「ほんとだよ」
「うそだぁぁぁぁぁぁ!」
「サニーは何歳なの?」
「じゅっじゅうご」
「え?」
「15!」
15ってことは学年が同じってこともないだろうし完全に年下だなよかった。
「なんだよ……俺のこと年下とでも思ったのか?」
「むー腹立つ……背とかまぁまぁ高いけど顔とか弱そうだから年下かと思った」
「顔弱そうってなんだよ。そんなこと言われたら傷つくぞ。結構凛々しい顔してるだろ」
「凛々しいの意味分かってる?」
「分かってるよ!」
俺は自分のダサくかっこ悪い性格は嫌いだが、自分の顔はまぁまぁ気に入ってる。まぁ自分の良いところを見つけないとやってらんないから無理矢理見つけただけなんだけどな。
「ス、スズは何歳?」
初めて名前を呼んだのだがすごく緊張した。
「17」
「え? 同じ?」
「ね……私も驚いた」
少し運命を感じた。
つか俺ってそんな幼い顔じゃないよな……
やっぱどの世界にも若くしてすごいって人達ってのはいるんだな。
「つかサニーはなんでさん付けしてるんだ?」
「まぁ尊敬している証だね」
「そ、そうなのか」
「やめてって言ってるけどやめないからもう諦めた」
「大変そうだね」
俺からしたらサニーがスズに敬語を使うのは全く違和感ないな。まぁさん付けはしてるけど言葉遣いは普通だったか。
「あっ」
「どうしたのスズさん?」
「ギルドから呼び出しうけてるんだった」
「ギルドって王都の?」
「ルーグのだよ……サニーとアフィも行くよ」
「えっめんどくさ」
「はー私だってめんどくさいわ……ミサカはここにいて」
「はい!」
ギルドって冒険者ギルドってやつかな。俺も見てみたいけど今は我慢だ。
「めんどくさいとか言わないのってアフィは思うよ」
「分かってるよアフィさーん」
「行くよ」
そう言うと外に3人は出て行った。色々荷物置きっぱなしだけど平気なのか? 俺を警戒してるって思ってたんだけどな。
すごい疲れた。ずっと気を張り続けてたしな。そうして俺はベットに寝転んだ。少し寝よう……そう思った時だった。
(おいミサカユキトー)
聞き覚えのある声だ。そういやこいつらを完全に忘れてた。




