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第0話 トイレに流された男

 俺は三坂幸人(みさかゆきと)

 高校2年生だ。


 俺は今まで色んなことをそつなくこなし生きてきたつもりだ。

 自分を殺し、周りに合わせて生きてきた。

 だが俺は今、クラスで孤立している。

 それは全部()()()()のせいだ。


(おいおいみろよあれ! まじ可愛くね?)

(ブスだろ)

(あいかわらずストライクゾーン狭いなーナギは)

(レーギルが広すぎんだよ)


「うるせぇぇぇえええぇぇぇぇーーー!」


 俺はイスから立ち上がり、思わずそう叫んでしまった。教室に俺の声が鳴り響く。周りの目が痛い。

 先生が今にも殴りかかってきそうな目つきでこちらをみている。

 今はテストの真っ只中、叫ぶなど言語道断だ。


「三坂ァァァ!」

「すいません! お腹痛いんでトイレ行ってきます!」


 俺は先生の怒号をかき消すようにそう答え、教室を飛び出した。朝日が廊下を明るく染めていた。そして俺は逃げ込むようにトイレに入った。


「お前らテスト中は喋るなっていっただろ! 問題が何一つ入ってこねぇよ!」


 俺は地団駄を踏みながらそう言った。


(むりむり〜ここ暇なんだよ〜喋んないと暇すぎて俺は死ぬ)

(それな)


「くぅ〜〜〜」


 俺は言葉にできない気持ちを声にならない声で出した。


 最初は幻聴かと思った。

 1ヶ月ほど前、授業がだるくてトイレでサボっていると、どこからか声が聞こえてきた。


(……い ……い)

(おーい! おーい!)

(聞こえてるか?)

(聞こえてる)

(お前じゃねぇよナギ)


 俺は不思議に思いドアを開け、周りを見渡すがトイレには俺しかいない。


「幻聴か?」

(ちげぇよ)

「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」


 俺は腰を抜かした。


(よかったー聞こえてるみたいだな)

(俺の名前はレーギル、そしてこいつがナギだ!よろしくな!)


 俺には全く状況が飲み込めなかった。こんな訳わからない状況は初めてだ。


「いやこいつって誰だよ! こいつっていうなら俺の目の前にこんにちはしろよ! 俺の目には今トイレしか映ってねぇよ」


 俺はそうつっこまざるおえなかった。

 それが()()()()との出会いだ。


 それから俺の日常は壊された。

 ずーっと俺の中で喋り続けている。あの子がかわいーだの、元の世界への帰るだの、うるさい。

 さながらイヤホンをつけて、ずっとラジオを爆音で聴いているような感覚だった。もちろんこれは俺にしか聞こえない。

 聞きたいことはたくさんあったが、俺がこいつらと意思疎通をするにはどうやら声に出さないといけない仕様らしく、外で話すのは控えていた。

 しかしうるさいので外でも話さざるおえないことが多々あった。おかげでおれはクラスの奴らから頭のおかしい奴認定され友達も離れていった。心で会話できる仕様にしろよって何度思ったことか。

 俺から出てってくれと頼んだが出てってくれなかった。どうやら俺の中にいるとマナ?を使わなくていいらしい。俺は中二病か?と思った。

 まぁこんなことを言ってるがこいつらがそんな悪い奴らじゃないことは感じていた。

 レーギルはとてもうるさいが話すと面白い。ノンフィクションだと言って自分の冒険譚を語るが、どう考えてもフィクションだ。だが不思議と現実感があり引き込まれる。女の好みは合わない。

 ナギはどうやら自分の名前しか覚えてないらしく謎だらけだ。レーギルとは話すがあまり俺とは話さない。女の好みは合う。

 そうやって非日常の日々が過ぎていった。


 そして今に至る。

 最初はいるだけで嫌だったが、文字通り同じ物を見て同じ経験をするなんて経験はなかったので、こいつらには素がだせるようになっていた。まぁこれならクラスで孤立しても、こいつらがいればチャラかなとまで自分を騙せるようにまでなっていた。絶対チャラじゃないけど。


「はぁーとにかくテスト中はもう喋んな。このままだと一学期から留年確定しちまうよー」


 俺は自分で言いながらすごく不安になった。


(わかったわかった了解了解)

(おけ)


 こいつら確実に守る気ないなと思いつつ、俺は尿意を感じたので用を足そうとトイレの個室に入った。


 俺はトイレの個室ほど落ち着く場所はないと断言できる。あのちょうどいい閉鎖空間。家のトイレはまさに至高の場所だ。学校のトイレも休み時間とかでないのなら、至高の場所になりうる。だから俺は小だろうが個室に入る。まぁこいつらのせいで俺に落ち着くという概念は存在しなくなったのだが……。

 そう思いながらトイレの蓋を開けると目を疑うような光景があった。便器の中に()()()のようなものがあったのだ。これは前の人の流し忘れなどではない。それには全てを呑み込んでしまうような異質さがあった。

 俺は危険を感じその場から離れようとした。しかし遅かった。俺はその()()()に呑み込まれてしまった。


 そこに広がるは圧倒的()


 ――明るい? 明るい? 明るい?

 何も見えない。


 ――うるさい? うるさい? うるさい?

 何も聞こえない。


 ――痛い? 痛い? 痛い?

 何も感じない。


 ――死ぬ? 死ぬ? 死ぬ?

 死にたくない。


 ――助けて……


 次の瞬間俺は意識を失った。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございます。ダメなとこだらけだと思います。ダメ出しください。

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