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(1)この世で1番美しい少女は、気づいてしまいました

冬童話企画参加予定の作品です!


「シンデレラ!早く夕飯作りなさい!」


「ちょっとシンデレラ! 頼んでたやつ、まだ終わってないの!? 早くどうにかしてちょうだい!!」


「申し訳ございません、義母様、義姉様。今やります」


継母と義姉に深々と頭を下げたシンデレラは、2人が部屋から出たのを確認後、1人でそっと呟きました。



「……ハァ、お義母様も義姉様も、本当に私が嫌いなのね。

まあ、私が美しすぎるのが問題なのだから仕方ないのだけれど」


そして、先程まで持っていた鏡を再び右手に構え、自分の顔を写します。


「美しいって、罪よねぇ……」


そう言いながら、光悦とした表情で自分の顔を見つめているのでした。


「鏡よ鏡、この世で一番美しい人を鏡に写してちょうだい。

…………うふふ、そうよね。私よねぇ」





彼女の名前はシンデレラ。

彼女には、前世の記憶がありました。

前世での名前は「白雪姫」

そう、皆様ご存知のあの白雪姫です。


彼女は継母に命を狙われ、狩人に救われ、小人に助けられ、また継母に命を狙われ、王子に見初められ結婚しました。

童話ではその後めでたしめでたしで話は終わりなのですが、彼女の人生はそれからも色々ありました。

まず、王子の許嫁に命を狙われました。理由は王子を取られたからですね。

次に、王子の妹に命を狙われました。許嫁とは本当の姉妹のように仲が良かったかららしいですよ。

そして、隣国のスパイからも。国への挑発行為だったみたいです。


白雪姫は嘆きました。

何故自分はこんなにも命を狙われるのか。

白雪姫は考えました。

そして、とうとう気がついてしまったのです。


自分が美しすぎたのだ、という事実に………。











……その頃継母と義姉は頭を抱えながら机を囲んでいました。


「……ハア、本当にあの子どうしましょう」


「あれから10分経っても来ないってことは、きっとあれから鏡取り出したのでしょうね。もうこれあと2時間は見てないと気が済まないパターンよ」


「……まあ、確かに美少女よね。それは認めるわ。ウン十年生きているけれど、あんなに美しい子はいないわ」


「そうよね。可愛さも美しさも兼ね揃えてるわね。それに料理や掃除や洗濯も上手だし。性格や習慣以外には文句のつけようがないわ」


「その性格が大問題なのよね……高飛車系じゃなくてぶりっ子系だったらまだ『キャラです』で押し通せるかもしれないけれど、あの性格は流石に辛いわね」


「ぶりっ子だったらそれはそれで辛いから、どっちもどっちだと思うわ。

そう、聞いてよお母さま。ゲーム貸したらドレスを縫ってくれるって言ってたから貸したのに、まだ縫ってくれないのよ?舞踏会、明後日なのだけれど大丈夫かしら……」


「そうね……そもそもあの子、自分の分も作り終わってないのが心配なのだけれど」


2人はまたため息をつきました。






それから数日後、舞踏会の日になんとか義姉のドレスを作り終えました。


「まあ、とても綺麗なドレス……ありがとうシンデレラ」


「いえいえ、私の美的センスと裁縫スキルにかかればこんなの余裕ですわ」


「ブレないわねぇ……まあ、いいわ。早く準備しましょう? 舞踏会に行くためのおめかし手伝ってあげるわ」


「あ、その事なのですけれど、私は舞踏会に行きませんわ」


「「はぁ!?!?」」


これには側にいた継母も驚きの声を上げました。


「貴方、何言ってるの!?」


「そうよ! 貴方いつも姫は王子様と結ばれるとかなんとか妄想垂れてたじゃない!」


「その事なんだけれどね、私は間違えていたのよ……」


シンデレラは窓の近くに立ち、窓から青空を見上げました。美少女なので絵になりますが、継母達はそれどころではありません。


「お義母様、私に前世の記憶があるのを覚えているわよね?」


「え、ええ。さっき私が言ったあの妄想よね?」


「あれ、本当なのよ。私が美しすぎて悲惨な人生になったのも本当だし、私が美しいから王子様と結婚したのも本当。私が王子様と出会った時を思い出すと、私は何もしてないの。王子様が私の元に来たのよ! ……だから今世も王子様が私を見つけてくれるように、待つわ」


「そ、そんな……今日の舞踏会で相手を見つけてしまったらどうするの??」


「……その時は、彼は運命の人じゃなかったって事よ。きっと他の国の王子様が来てくれるのよ」


「そんなの信用できるかっ!!」


継母と義姉はなんとか説得しようとしますが、シンデレラは頑なに拒否します。それに、ドレスもありません。

時間になってしまったので、継母と義姉は仕方なく家を出ました。






シンデレラは、家で1人鏡を見ていました。


「……大丈夫。今世では、私の美しさのせいで悲しい思いをする人は出さないわ。

他の人も、私自身も……」


鏡に映る不安そうな顔を眺めながら、大丈夫、という言葉を何度も何度も呟いていました。








場所が変わって、とある洞窟にある暗い部屋の中


「鏡よ鏡、この世で1番美しい人は今何をしている?」


黒いローブを着た人女が、鏡に向かって語りかけます。

すると、家で鏡を見つめるシンデレラが映し出されました。


「えっ!? しらゆ……じゃなくてシンデレラ!! あの子なんでお城に行ってないのよ!?」


ローブを着た女はため息をつきながら、魔法の箒に跨り、空を飛びました。行先は勿論、シンデレラの家です。


「今世では私がシンデレラを幸せにしなくっちゃ……前世の彼女の不幸の全ては、私のせいなのだから……」


ローブを着た女はそう呟きながら、シンデレラの家に向かうスピードを上げました。

続きます!

この話に少し関係する無駄話は活動報告に記載してあるので、もしよかったらそちらもご覧下さい( ´ ▽ ` )ノ

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