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異世界物語  作者: 安月勇
2/5

刺激の結果2

半ば引きずられる様にして明が連れてこられたのは、豪華な一室だった。

だが誰かが常に使用している感じではない。必要最低限のモノしかおかれていない所を見ると、此処は客間なのだろう。

そんな事を考えていると、男は明を掴んでいた手を離しさっさとソファの元に移動した。


「さて、レナが戻るまでに色々お話しましょうかねぇ」


そんな事を言いながら男はソファに座り込み、優雅に足を組んだ。

イケメンがゆったりと座る構図は中々絵になるな……クソッ!イケメンめ!!と思いつつ、取り敢えず座る場所はないかと明が周辺を改めて見渡そうとした時だった。


「明君」


静かな声で名前を呼ばれそちらに顔を向けた瞬間、明は呼吸を止めた。

相手が何かをしてきた訳では無い。ただ此方に顔を、視線を向けていただけだ。それだけなのに、明は一瞬にして極限状態まで緊張した。

行動が取れなくなってその場で立ちつくす明に、男は視線を向けたまま続ける。


「これから3つ質問させてもらいます。正直・・に答えて下さい」


先程までの何処か掴めない様な雰囲気を消し去り、別人の様になった男はそう告げる。

それに明は小さく頷いた。元から逆らう気など存在していないが、逆らったら死ぬと確信めいた何かがあった。


「貴方が居た世界の名前は?」


「……地球」


「貴方の世界での貴方の種族の呼称は?」


「……人間」


「貴方の世界では、武術や魔法を行使する事はありましたか?」


「武術は一応してる人はいた…魔法は存在しない」


少し掠れた声を出す事になったが何とか答えきると、男性の表情がフッと和らいだ。それと同時に緊迫感が消え失せ、明は深く呼吸をする。

初めての経験だった。言葉で表すなら蛇に睨まれた蛙と言った所だろう。


「さて、何時までもそんな所で経っていないで此方に来て下さいよ~」


先までの何とも言えない緊迫感がなくなったとは言え、明の足はすぐには動かなかった。

中々動かない明に、男性は小さく息を吐いた。恐らく呆れているのだろう。だが、仕方ないではないかと思う。生きてきて17年間、今の様な経験はした事が無かった。

不良にすら絡まれた事が無い、穏便な生活を送って来たのだ。そんな中、いきなり本来人が持つ警戒心が反射的に前に出てきてしまう様な事態があって、その直後に体がすぐに反応する訳無かった。


「(どうしよう……)」


何時までもこうしていてもいけないのは判る。でも動けない。

頭は割と落ち着いてきたのに、未だに動こうとしない足。何とかしようと考え始めた時だった。


ガチャと、すぐ後ろの扉がノック無しに開けられたのだ。

中々動こうとしなかった足が驚きで動いた。そして体ごと後ろに向き直ると、其処には先程別れた女性が立っていた。女性は明を少し驚いた顔で見た後、視線を男性に移した。


「……アシュレイ、何をした?」


「いきなり私ですか~信用が無いですねぇ、悲しくて仕方ないですよ~」


男性はそう言いながら手で顔を覆うが、女性は相手にしない。


「なら、日頃の行いを直せ」


そう切り捨てた後、女性は明を見た。


「すまない。アシュレイが何か脅しめいた事をやったんだろう」


「あ、いや……」


別に脅しでは無かったので反応に困ったが、説明するのは面倒なので其処で言葉を切った。

と言うかそれより気になったのは今確認がキチンと取れていないのに、疑問系の言い方で無かった気がすると言う事だ。


「(そんなに信用ないのかよ……)」


今までの言動と彼女の言葉から、恐らく人をからかって楽しむタイプだろうと思う。

其れ故に信頼がなさそうだった。そう言う<からかい>の面ではだろうが。


「(多分、そう言う面を除いたらこの2人にはきっちりとした<信頼関係>はあるんだろうな)」


明の持ちうる知識では何と表現して言いか判らない。が、頑張って例えるなら背中を預けられる存在と言う所だろうか。そんな事を考えていると、男性の声が耳をついた。


「話し合いの結果はどうなりましたか?」


それに明は思わず背筋を伸ばした。間違いなく自分事だ。

隣に移動していた女性はそんな明を見て、安心させる様に笑みを作った。


「彼については此方に任された。後で最低限の連絡は寄こして欲しいとの事だったけど」


「判りました。では、戻りましょうか」


「戻るって?さっきの場所?」


余り会話には干渉しない方が良いと思っていたが、気になったので問いかけた。

それに女性は怪訝そうな顔をしたが、すぐに男性を見る。男性はそれに合わせて口を開いた。


「あぁ、言ってませんでしたね~我々は此処に住んでいる訳ではないんですよ~<家>は別の所にありますからねぇ」


「へ?」


「此処には呼ばれたから来ていただけ。詳しい事は歩きながら話す」


その言葉を最後に会話は打ち切られ、2人は部屋から出て行く。

頭がついて行かなくて、はぁ?と言う表情を浮かべて固まっていた明だったが、直ぐに置いて行かれたらマズイと思って、その場から駆け出した。


これ位のペースであげられる様に頑張りたいです

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