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どうも。先日助けていただいたダークドラゴンです  作者: 紅井止々(あかい とまと)


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67話 死闘!? これが俺の戦い方だ!

 さて困った。


 俺は、【魔界蟲】ハロムが変質させた非常に粘度の高い土によって地面に張りつけられている。

 ルゥシールもフランカも、全身が地面に張りついて身動きが取れない。

 唯一、テオドラが立っているが、あの体勢では何も出来ないだろう。


 この不利な状況からの大逆転…………どうすれば可能になるか……


「ボクを、ぶっ飛ばす……? あは、あはは、……面白いよ、王子……どうやってぶっ飛ばすのさ? 誰も、……一人も、身動き出来ない状況で……?」


 バプティストが楽しそうに言いながらも、ぎこちなく笑う。

 ……笑顔、下手だなぁ。


「誰も動けないってわけじゃねぇぞ」


 俺の言葉に反応を示したのは、テオドラだった。


「き、君っ、まさか……オイヴィを戦いに参加させようって言うのか!?」


 あぁ、そういやオイヴィは今どんな状況なんだろうな?


「ワは無理じゃぞ。座っておったら尻が離れなくなってしもうたわ。ヌシらでなんとかしてくりゃれや」


 まぁ、期待していなかったけどな。

 せめて、自分の身だけでも守ってもらいたいものだな。


「残念……王子、宛てが外れたね……ふふ」

「バ~カ。俺が言ってるのはオイヴィじゃねぇよ。ルゥシール!」

「え……っ、はいっ!」


 俺はルゥシールの名を呼び、続いて指令を出す。


「肩を左右に、力一杯揺さぶれ!」

「は、はいっ! こうですか!?」


 ルゥシールが肩を揺する。

 地面に張りつき固定されているのは右肩だけなので、左肩が前後する形になる。

 そして、激しく左肩が前後する度に、自由を謳歌する左乳房がこれでもかと揺れ動く。

 たっぷんたっぷん、ゆっさゆっさ。


 あぁ……いい眺め。


「どうだっ!?」

「なにがどう『どうだ』なんですかっ!?」


 疑問の声を上げたのはルゥシールだった。

 いや、だって、物凄く自由に身動き出来たじゃないか!?


「『巨乳は魔神をも滅ぼす』って言葉を知らんのか!?」

「知りませんよ、そんな言葉!?」

「じゃあ、『巨乳は平和をもたらす』は!?」

「知りませんってば!」

「『巨乳は世界を救う』!」

「巨乳が入る名言に覚えはありません!」


 何たることだ……世界の共通認識になっていると思っていたのに。


「……す、凄い…………あ、いや、意味が、……うん、意味が分からない」


 バプティストが難色を示す。

 ……が、一瞬本音が漏れてたろう、お前!?


「テオドラ! お前なら両乳を揺らせるはずだ!」

「ワ、ワタシに、そういうことを求めないでくれまいか!?」


 真っ赤になって拒否するテオドラ。

 折角いい感じに胸を張っているというのに!?

 そして、バプティストはちょっと期待した顔でテオドラを見ていた。


「ル、ルゥシールの後で……こんな粗末な物を見せるわけには……」

「バカヤロウ! たとえたっぷんたっぷんしなくても、ほんの少しぷるんってするだけでおっぱいは素晴らしいんだ! さぁ、恥ずかしがらずに揺らしてみろ!」

「恥ずかしがらずになんて無茶だ! ワタ、ワタシは断固拒否するぞ!」


 くそぅっ!

 なぜ自分の殻を突き破れないんだ!


「ま、負けるな……テオドラ、って人……自分を、あの……信じて!」

「敵である君がそんな妙な応援をするのはやめてくれまいかっ!?」


 バプティストの声援も、テオドラの心を揺さぶることは出来なかった。


「こうなったら……バプティスト! 二人で協力して、テオドラのハートに火をつけるぞ!」

「わ、分かった……っっ!」

「趣旨がズレてますよ、お二人ともっ!?」


 ルゥシールの言葉に、本来の目的を思い出す。

 そうだった。

 バプティストを倒すんだった。


 ……と、その前に。


「フランカ、お前は無理しなくていいからな」


 俺たちがやり取りをしている間中、フランカは必死に体を揺さぶっていた。

 しかし、ぺたーんとした胸は揺れるどころか、微動だにすらしなかった。


「……私は仰向けだから少し小さく見えるだけ。うつ伏せだとそれなりにある」

「俺の目を見て言ってみろ」

「……動けないので、それは無理」


 あくまで言い張る気か、このカジャの町のアイドルめ。


「ふふ……最後にちょっとした余興を、ありがとう、王子……楽しかったよ……久しぶりに、四天王以外と会話したし…………うん、楽しかった……」


 バプティストがにやりと笑みを浮かべる。

 爽やかさは微塵もないが、自然な笑みだった。本心が表情に出たのだろう。


「出来れば……魔法で楽に……息の根を止めてあげたい、ところ、だけど……ハロムを使役するのに魔力を、消費し過ぎて……他の魔法を使う、余地は……無いんだ……」

「さっき、テオドラと戦った時に使ってたろうが」

「あれは……えと……どういえばいいかな……ハロムがストーンワームとして具現化するより、こうして、山全体に干渉する方が……魔力の消費が激しくて…………今は、無理……というか…………そういうこと」


 つまり、俺たちを拘束したまま他の魔法は使えないということか。

 そして、バプティストが先ほどから一歩も動かないところを見ると、あいつも下手に動けば地面に張りついてしまうのだろう。


「じゃあ、引き分けだな」

「ところが……そうでもない……」


 バプティストが静かに腕を広げ高速詠唱を行う。


「 ―― ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ―― 」


 すると、地面が徐々に温かくなってきた。

 温度が、どんどん上がっていく。


「…………これは、まずいな」


 土を変質させる【魔界蟲】ハロム。ヤツがこの付近の土を『マグマ』にでも変えやがったら……俺たちは揃って丸焦げだ。


「ボクの周りだけは……温度は上がらない…………だから、お前たち……あ、貴様らだけが黒焦げになる……のだ……ふははは……」

「もう、無理して悪役口調しなくていいぞ。煩わしいから」

「……命令されてたんだよ……威厳がないからって……口調をそうしろって……」


 いじめられっ子なんだろうなぁ。

 まぁ、分からんでもないが……

 何より、四天王の秘密を結構ペラペラ話してくれたしな。

 仲間にはしたくないタイプではあるよな。


 そうこうする内に、地面の温度は上がっていく。


「降参するなら、……その、助けてあげてもいいよ…………あ、でも、……王子は無理か…………命令だし……でも、女の子だけなら……いい、かも…………ボクと、友達になってくれるなら…………」


 バプティストがそんなことを言う。

 じゃあまぁ、最悪はお願いするかな。他のみんなが助かるなら、それはいいことだしな。


 バプティストが動かないのは、あいつ自身も地面に張りついてしまうからだと思ったが……温度の調整が出来るのなら張りつくこともないだろう。

 つまり、バプティストには余裕があるのだ。

 俺たちが手も足も出ない状況の中で、敵にはまだ余力がある。

 これはマズい状況だ。


「……どうする? ……早くしないと…………みんな、死ぬ」


 温度の上昇がゆっくりなのも、余裕の表れだろう。


「ダメですよ、ご主人さん!」


 ルゥシールが声を上げる。


「わたしは、ご主人さんを犠牲にして、自分だけ助かるつもりはありませんからね!」


 俺をジッと見つめて、きっぱりという


「ワタシも御免だ! こんな状況……己の手で切り開いて見せる!」


 テオドラも剣を構えて真剣な瞳で宣言する。


「……私は死にたくない」


 フランカはそんなことを呟く。

 そして、その後で顔を持ち上げ、辛うじて俺に視線を向ける。


「……だから、何とかして、【搾乳】…………私に出来ることがあれば、なんだってするから」


 そうして、期待に満ちた瞳で俺を見つめる。


「そうか……残念だね………………じゃあ、みんな焦げちゃいなよ…………」


 地面の温度が上がっていく。

 この状況を打破出来るとすれば、俺の魔法くらいしかないだろう。


 フランカは、何でもすると言ったな…………よし。


「テオドラ! フランカの靴底を、足を傷付けずに斬れるか!?」


 テオドラとフランカの間は4メートルほど開いている。

 剣を伸ばしても届かない。

 が、そこを何とかしてくれ!


「可能だ!」

「よし! 左足の方を頼む!」

「心得たっ! たぁぁぁああああっ!」


 気合いの乗った雄叫びと共に、テオドラは靴を脱ぎ、跳躍した。

 裸足になったテオドラが空を翔ける。

 カタナを振り上げ、落下しながらフランカの靴底目掛けて刃を振り下ろす。


 圧縮された空気の衝撃を顔面に感じる。

 そして、次の瞬間……テオドラが「ぎゃっ!」という声と共に地面に落下するのと同時に……フランカの靴底がぺろりとめくれ、フランカの左足の裏が露出した。


 俺は、限界まで首を伸ばし、持ち上げていた顔をフランカの足の裏に押し当てた。


「……ひゃぁあっ!?」


 フランカの悲鳴が上がる。

 が、そんなものには構っていられない。

 俺は、躊躇うことなく、フランカの足の裏にむしゃぶりついた。


「……っ!? ちょっ、【搾乳】っ!? 待っ…………いやっ!? んんっ! くはぁ……んふっ!?……………………ふふ…………ふははははあああぁぁああああははは、は、は、ひゃはは、ひは、ひは、あはははは……待って! 待って! くすぐった……ひゃ~はははははっ!」


 舐めて舐めて、舐め倒す!

 俺はフランカの足の裏を、一心不乱に舐めまくった。


 土踏まずに舌を這わせるたびに、フランカの体がビクンと跳ねる。

 親指を口に含むと「ふぁあっ!?」と声が上がる。

 指と指の間に舌をねじ込むと膝がガクガクと震える。


「……さっ、さくにゅ……っ ぁぁああああああっ!?」


 一際甲高い悲鳴を上げ、フランカの全身が弛緩する。

 魔力が完全に無くなった証拠だ。


「さぁ、反撃行くぜぇ! 土には…………………………水だぁっ!」


 フランカに借り受けた魔力のすべてを、水の魔法へと変換し、熱を上げていく大地に向かって放出する。


 途端、爆発が起こったような衝撃に体が突き上げられる。

 熱されていた地面の中で水蒸気が急激に発生したのだ。

 水は土に浸透し、どこまでも到達する。

 逃げ場など与えない。


 水蒸気爆発により、俺たちを拘束していた粘度の高い土は吹き飛び、その拘束力を失った。


 体勢を立て直し、神経を集中させる。

 魔力が見える瞳で周囲を余すことなく観察する。


 ………………いた!


 水の波状攻撃にのたうちながら、【魔界蟲】ハロムが地面から這い出してくる。

 この時を待っていたぜ!

 無防備な【魔界蟲】ハロムに止めの一撃を食らわせてやる!


 ……と、行きたいところなんだが、もう魔力が残っていない。

 どうも小出しにするってことが苦手でいかんな……


 ルゥシールまでは距離があるし、フランカはもう魔力がない。

 ……となれば。お~お~、都合よく裸足になっているじゃないか。


「テオドラ!」

「へっ!? な、なんだ!?」

「いただきます!」

「えっ!? ちょっ! き、君!? 待ちたまえっ! い、いや! やめてくれまい…………いやぁぁぁあああっ!」


 俺は、裸足で地面に横たわっていたテオドラの足を掴み上げ、容赦なく足の裏を舐めまわした。

 テオドラは胸に鎧を付けているから、こうする他なかったのだ。

 仕方がないことなのだ。

 だから、諦めろ。


「い、いやっ…………そこは…………んはぁっ……ちょ、待っ…………おかしい、ワタシが……こんな…………ふにゃぁぁぁあああっ!?」


 初めて聞くような、テオドラのとろけた声だ。

 なかなか可愛いじゃないか。

 今度ゆっくり聞かせてもらいたいものだな。

 この声で「やめてくれまいか」とか、言われてみたい。


「 ―― ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ―― 」


 とかなんとかやってる間に、【魔界蟲】ハロムは完全に地面から這い出ており、奇襲は失敗してしまった。

 バプティストが高速詠唱を行い、【魔界蟲】ハロムを俺へとけしかけてくる。

【魔界蟲】ハロムが巨大な土の塊へと変化して、その先端を鋭くとがらせる。

 石の巨大な杭が俺に向かって撃ち出される。


「させませんっ!」


 急接近する石の杭を、上空からルゥシールが迎撃する。

 高く跳び、跳び蹴りで杭を叩き落とす。

 地面に激突すると、巨大な石の杭は割れ砕け、中から【魔界蟲】ハロムが姿を見せる。


「よくやった、ルゥシール! 後でご褒美をやろう!」


 ナイスタイミングでナイスなアシストだ。

 魔力を十分ため込んだ俺は、目の前に落下してきた【魔界蟲】ハロムに手のひらを向ける。

 物理攻撃を跳ね返す強固な殻を持つ土属性の蟲。

 だったら、こんな魔法がよく聞くんじゃねぇのか?


「凍っちまえ、蟲っ!!」


 絶対零度の吹雪を凝縮し、【魔界蟲】ハロムに叩きつける。

 ほんのわずかな時間で、【魔界蟲】ハロムは凍りつき、「……キッ……キキ……ッ」という、金属が擦れるような音を最後に、完全に動かなくなった。


 ほい!

 駆除完了!


「 ―― ・・・ ・・・ ・・・ …………っ!?」


 その直後、バプティストが高速詠唱を行おうとしたらしいが、それはルゥシールに阻まれていた。

 ルゥシールがアキナケスをバプティストの喉に突きつける。

 バプティストは観念したようにうな垂れ、そして地面へとへたり込んだ。


 そうだな。

 それが懸命だ。

【魔界蟲】を失ったお前が、俺相手に魔法合戦をやったって……結果ルゥシールが胸を揉まれてちょっと恥ずかしい思いをするだけだからな。

 ……………………もうちょっと抵抗してくれてもよかったんじゃないか? いや、別にルゥシールの胸を触る口実にしようとか、そういうんじゃないんだけどさ……


「ルゥシール。お手柄だ」


 俺は、涙を隠してルゥシールに称賛を贈る。

 と、ルゥシールは少しだけ膨れた顔で俺を一瞥し、「……これ以上、ご主人さんの暴走を見ていられませんでしたから」と、不機嫌そうに呟いた。


 いや、暴走などしていないが?


「……ご褒美に、わたしも足を……いや、でもそれは流石に……でも、わたしだけ……いや、でも…………ぅぅぅぅううう……」


 なにやらぶつぶつ呟いて、頭を抱えて唸り出すルゥシール。

 ……なにやってんだ、あいつは?


「いやはや、相変わらず見事よな、ヌシよ」


 安全の確認が出来たからか、オイヴィが俺の隣に歩いてきた。

 上機嫌なご様子だ。


「まぁ、魔法は俺の特技だからな」

「ん? あぁ、いや。魔法ではのぅての…………ほれ、見てみぃ」


 そう言って、オイヴィが指差したのはフランカとテオドラだった。

 フランカは頬を朱に染め、自身の肩を抱くように体を丸め、地面に横たわって「はぁ……はぁ……っ」と呼吸を荒げていた。

 テオドラは、膝を曲げて脛を外側に向ける、『女の子座り』のまま上半身を地面に突っ伏した格好で、赤く上気した顔を覆い隠している。肩が激しく上下して持ち上がったお尻がフラフラと揺れている。


「見事な手並みじゃの」


 ころころと、オイヴィは可笑しそうに笑う。

 少し、いたずらであり妖艶な香りのする笑みで。


 というか……

 フランカとテオドラが赤い顔で「はぁはぁ」言っているのは、魔力を急激に失ったせいだということは重々承知しているのだが……承知したうえで敢えて言わせてもらおう。


「なんか、お前ら…………いやらしいな」


 乱れる吐息が、どこか色っぽい。

 女子が見せちゃいけない姿のように思えた。


 俺がそう言うと、フランカは顔を上げて俺を見て、テオドラは気力がないのか顔を伏せたまま、そしてルゥシールは真正面から俺をジト目で見つめて、声を揃えてこう言った。


「「「お前が言うな……」」」

「――ですよ、まったく」


 そして、最後にルゥシールが言葉を追加する。


 前にも見たな、この風景。


 ったく。ミスリル鉱山に余計なちょっかいを出し、俺の命を狙ってきた魔導ギルド四天王の一人を打倒したってのに……なんか俺、全然褒められてない気がする。


 なんなんだよ、もう。








ご来訪ありがとうございます!



四天王一人、撃破です!


今回の戦闘方法は……たぶんギリセーフ!

R18には引っかからないはず!


ただし、いい子のみんなは真似しないようにね!!


女の子が裸足でいても、

それは「舐めてOK」の合図じゃないらしいですよ、どうやら!

騙されないで!



感想コメントへの返信でもチラッと話したことがあるのですが……

ちょっと追加がありましたので、こちらで改めて。


ご主人さんの中で、女子との触れ合い難易度は、


手を繋ぐ > 膝枕 > 胸を揉む > 足の裏を舐める


となっております。


はっはっはー!



逆だろ。




というわけで、

四天王一人目を撃退でした!



次回もよろしくお願いいたします!!


とまと


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