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どうも。先日助けていただいたダークドラゴンです  作者: 紅井止々(あかい とまと)


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57話 ジジイどもの欲望と稚拙な策略

 村の最奥にある、村で一番大きな建物が村長の家だった。

 俺たちはそこの居間に通され、囲炉裏の一辺に沿って、一列に腰を下ろしている。

 男物の服に着替えたフランカ、テオドラ、ルゥシール、俺の順番だ。

 向かいには村長が座り、その向こうにはなぜか、俺たちをジッと見つめている村の衆が群がっていた。


 異様な光景ではあるものの、俺たちは一応来客として歓迎されている……のだろうか?

 村長の家で、ささやかな晩餐をいただいているところだ。……食えたもんではないけどな。


「不味いじゃろう?」


 心を読まれたのか、村長のウジンがそんなことを言ってくる。


「これもすべてカジャのせいなんじゃ。ヤツらがワシらの富をすべて奪ったのがいけないんじゃ!」


 激昂し、床をドンと殴る。

 ウジンの話によれば、アルジージャの住民は、もともとカジャに住んでいた特権階級の者たちらしい。

 それが、ある日突然現れた一匹の【悪魔】の手によってすべてを奪われ、生まれ故郷を追われたのだそうだ。

 こんな辺鄙な村に逃げ延びた後も、カジャに住み着いた【悪魔の手下ども】から搾取をされ続けているのだという。


「カジャの技術は、元々ワシらのものだったんじゃ! それを奴らが奪った! 薄汚い【悪魔ら】めが!」


 ウジンたち村民の言う【悪魔】というのが何を指すのかは分からない。

 魔物なのか、それとも本当に悪魔という種族の者なのか……


 とにかく、【悪魔】は一晩でカジャの町を壊滅へと追い込み、住民をすべて追放したのだそうだ。

 その時に奪われた技術と資源が、今のカジャの富と名声を支えているのだとウジンは主張し、本来は自分たちこそが手にするべきものだったのだと、悔し紛れに床を乱打しながら泣き叫ぶ。


 晩餐という名の質素な夕飯を食いながら、俺たちは延々とそんな話を聞かされていた。


「……で、その【悪魔】を呼び寄せたのが、『胸のなだらかな娘』なんだな?」

「『胸のぺったんこな女』じゃ!」


 表現なんかどうでもいいだろうが。何のこだわりだよ?


 それにしても……

 テオドラはスパイ呼ばわりで、俺はブレンドレルの第一王子だし、フランカは『胸のぺったんこな女』……俺たちほどこの村に入っちゃいけない集団もいないだろうな。

 正体がバレたら大騒動になりそうだ。


 すっかり夜も更けたというのに、村長の家には大勢の村人が集結している。

 旅の者が珍しいのか……という目つきではないな。明らかにルゥシールとテオドラをいかがわしい目で見ている。


『……【搾乳】。気付かれないように表情には出さずに聞いてほしいことがある』


 不意に、フランカから意思が伝達されてくる。

 横目で窺うと、フランカは無表情を作りながら、チラリとだけこちらに視線を向けた。

 先ほどからまとわりついてくる村人どもの視線。それからルゥシールとテオドラを守るように、俺とフランカで二人を挟んでいるのだ。

 服装が服装だからな。


『……老人共の魂胆は見え見え。二人が危ない』


 まぁ、そうだろうな。

 夜道には十分気を付けて、寝る時は戸締りを厳重にしなければ。


『……【搾乳】。周りの者に気付かれないように、私の胸に触って』

「ブフゥーッ!」


 思わず口に含んでいたクソ不味いスープを吹き出してしまった。

 汁が気管に入り、咳が止まらない。

 ルゥシールが驚いて背中をさすってくれるが、俺はむせ続けた。


「吐き出すほどに、不味かったかの?」

「ごほっ……ごほっ……あ、あぁ。許せないな、カジャのヤツらは」

「そうじゃろう!? ワシらの苦労が分かるじゃろう!?」


 むせながらも、なんとか取り繕った。


『……何をしているの、【搾乳】。気付かれないようにと釘を刺したのに』


 誰のせいだ、誰の!?

 お前、さっき何言った!?


『……変な意味ではない』


 変な意味だろうが!?

 お前、俺におっぱい揉まれたいって、どういうことだよ!?


「……ふなっ!?」


 と、思わずと言った感じで、フランカが変な声を上げる。


『……お、おかしなことを言わないで! 私はそんなことは言っていない! 胸を触るだけ!』


 触れば揉むだろうが、普通!


『……それは、あなたの中でしか通用しない常識。世間的には非常識』


 揉まずに触れってのは、一体どういうことなんだ?

 何を考えている?

 生殺しの刑か?


『……魔法を使ってほしい。誰にも気付かれないように』


 魔法?


『……スープの中に、おかしな薬が混入している。おそらく、睡眠薬』


 マジでか!?

 全然気付かなかった……


『……私は薬草にも精通している。私の舌は少しだけ、特別』


 まぁ、フランカがこんなことで嘘をつく理由がないし、きっとその通りなのだろう。

 なるほどな……それで、魔法か。


『……気付かれずに薬を解毒して、老人共の襲撃に備える』


 下手に抵抗すれば、別の手を打たれるかもしれないってことか。

 分かった。

 ……しかし、周りに気付かれずに胸を触るって、どうすればいいんだ?

 疑われないような状況で、さり気なく触れということか…………う~ん……


「あ、いっけね! そろそろフランカの胸を触る時間だ!」

「急に何を言い出してるんですか、ご主人さんっ!?」


 速攻でルゥシールに止められた。

 ……くそ、味方に阻まれるとは…………


『……まじめにやって』


 超まじめだっつうの!


『……救いようがない』


 そんな真面目なトーンで言うなよ。ちょっと不安になるだろうが。


 ルゥシールたちに説明出来れば手っ取り早いんだろうが……ジジイどもに見張られている中で耳打ちなんかしたら怪しまれるだろう。

 あくまで感付かれることなく、作戦を決行しなくては……


「……少し、気分がすぐれない」


 俺が何かいい手はないかと頭をひねっていると、おもむろにフランカが立ち上がった。

 そして、ふらつく足取りで部屋を出て行こうとする。


「……外の空気を吸いたい」


 そう言って、……ちらりと俺に視線をよこす。

 次の瞬間、フランカの体は大きく揺らめき、崩れ落ちるように床へ倒れた。

 俺はすぐさま駆け出し、フランカを抱き起こす。

 そして、さり気なく胸に手を当てる。


「だいじょうぶかぁーふらんかー? わぁーたいへんだぁー、かおがまっさおだー」

「……黙って【搾乳】。演技が下手過ぎる」


 すっごい小声でダメ出しされた。

 ちぇ……良かれと思ってやったのに。


「フランカさん、大丈夫ですか!?」

「急にどうしたというのだ!?」


 ルゥシールとテオドラが駆け寄ってくる。

 お、いい具合に一塊になったな。

 よし、今だ。


 体内の毒素――浄化、っと。


 無詠唱、魔法陣無しの魔法が役に立った。

 きっと、ジジイどもは誰一人気付いていないだろう。

 見たところ、魔導士もいないようだしな。


「……フランカ、そのまま眠ったフリをしていろ」

「…………了解した」


 小声で話し、フランカは瞼を閉じ、おもむろに体を弛緩させた。

 ぐったりと、俺に全体重をゆだねてくるフランカ。……演技派だなぁ。

 っていうか、服装が男物に代わっててよかった。

 あの面積の少ない服でこの格好をすると……多分丸見えになっていただろう、色々と。特に、フランカの場合『引っかかり』がないから。


『……なにか言った?』


 なんでもないです!


「ご主人さん、あの、フランカさん、どうされたんでしょうか?」


 不安げに、ルゥシールが俺に尋ねてくる。

 悪いな、心配かけて。後でちゃんと説明してやるからな。


「分からん。急に眠ってしまったようだ……」


 少しわざとらしいかとは思いつつも、はっきりと眠ったと口にする。

 そっとジジイどもの顔を窺うと…………クソエロジジイどもめ……ニヤついていやがった。


「お連れさんは、旅の疲れが出たんじゃろう。宿に連れていってやってはどうじゃ?」


 ウジンがいやらしい笑みを浮かべてそう進言してくる。

 しかし、視線はルゥシールに向いている。


「そうだな。お前たちも、宿に戻るぞ」

「はい」

「心得た」

「あーいやいや。折角料理を作ったんじゃ。お嬢さん方はもう少し食べていきなさい」


 露骨なことをしやがる。


「いえ。仲間が倒れて食事なんて出来ません。わたしたちも一緒に戻ります」


 ルゥシールがきっぱりと断る。

 こいつは本心でそう思っているのだ。


 腕の中で、微かにフランカが動く。

 顔を見ると、くすぐったそうに口角を震わせていた。


「あぁ、そうかい。………………まぁ、いいわい」


 ウジンがニヤリと笑みをもらす。


 ウジンが合図を送ると、一人の男が俺たちの前に進み出て、宿まで案内してくれると言った。

 眠っている体のフランカの肩と足を抱え上げる。


「……きゃっ」


 と、極めて小さい声でフランカが悲鳴を漏らす。

 こらこら、黙ってろよ。

 大丈夫だよ。太ももは触らないから。膝の下だからセーフだ。

 お姫様もこういう抱かれ方してたし、これは全国的にセーフな抱き方に違いない。


 俺たちの準備が整うと、案内役の男が率先して前を歩く。

 その男に続いて、俺たちは宿へと向かった。

 セキュリティーという概念が皆無の、おんぼろの宿屋に。


 そして、当然のように男女で別の部屋へと通される。

「宗教上の都合で、この村では男女が寝室を共にしてはいけない」とかなんとか、それっぽいことを言っていた。

 不安がるルゥシールたちに視線を送り、大丈夫だと伝える。


 俺とフランカ。

 ルゥシールとテオドラ。

 ふたつの部屋に分かれて入り、ドアが閉じられた。

 酷く軋む、うるさいドアだった。


 ドアが閉まると同時に、俺はフランカをベッドへそっと下ろす。

 と、すぐさまフランカは立ち上がり、俺から距離を取った。背を向けて、忙しなく髪に何度も手櫛をいれる。


「おい……大丈夫かフランカ?」

「……ぅえっ!? な、なにが、かしら?」

「いや、なんか、顔が真っ赤だし。汗が凄いことになってるぞ」

「……そ、そんなことはない。気のせい。濡れ衣。目の錯覚だと思われる」


 いやいや、それはないだろう。


 俺が抱き上げてから、フランカの体に異常が出始めていた。

 全身がじんわりと熱を帯び、やたらと汗をかいていた。

 顔も赤いし、息遣いも少し荒かった。


 解毒したとはいえ、睡眠薬が多少は体に影響を及ぼしているのかもしれない。


「もう一度解毒の魔法をかけとくか?」


 そう言って、フランカの胸に触れようと手を伸ばすと、今度は物凄い速度で距離を取られた。


「……平気! 私のことは気にしなくていい。今はルゥシールたちに詳細を伝えに行くべき!」

「そうだな。みんなと合流しよう」

「……えぇ、そうしましょう…………二人きりは心臓に悪い」


 おい……それは、俺に対する悪口か?

 そんなに苦痛か?

 泣いちゃうぞ?


 そっぽを向いたまま、こちらを向いてくれないフランカ。

 俯いて、服の裾をもじもじといじくっている。

 ……なんかしゃべってくれよ。ホント、泣くよ?


 そんな俺を無視するように、フランカはドアへと歩いていく。


「……とにかく、行動を起こしましょう。あの老人共は、すぐにでも……っ!?」


 しゃべりながら、部屋のドアに手をかけたフランカの表情が強張る。

 何度か腕に力を入れているようだが、ドアがピクリとも動かない。


「……閉じ込められている」


 フランカの顔が青ざめていく。


 俺はドアの前に立ち、ドアノブをガタガタと揺らす。押しても引いてもびくともしない。

 全力で蹴りを入れてみたが、鈍い音がしただけで、ドアはピクリとも動かなかった。

 音が響かない重いドア。木の間に鉄か石が仕込まれているのか。

 このドアの軋みは、そういうことだったのか。こいつはトラップだ。

 建てつけが悪いのではなく、中から開かないように細工がされていたのだ。その上で軋む音を聞かせておいて、何かあったら「建てつけが悪かった」と言い逃れるつもりなのだろう。

 何から何までふざけてやがる。


「……ここまで酷いとは……想定外。少なくとも、こちらが隙を見せるまでは行動は起こさないと思っていた。旅人に危害を加えると、最悪ギルドと国が動くから」


 しかし、この村のジジイどもはそんなことはお構いなしなようで……

 露骨に邪魔者……男どもを排除したってわけだ。


「くそっ! このままじゃ、ルゥシールたちが……」


 あのジジイどもに。


「お尻枕とか、無理矢理やらされちゃうかもしれないな!?」

「……その程度で済めば奇跡」


 もっと酷いことをされると言うのか!?

 ヤツら、本当に人間か!?


「……本当は、鍛冶師が監禁されている可能性も考慮して大人しく探りを入れるつもりだったけれど」


 フランカの目が鋭くなる。

 あまりの暴挙に、流石に怒っているのかもしれない。


「……魔法でドアを破壊する」


 そう言うと、手のひらを閉ざされたドアに向ける。

 が……


「…………魔法陣が展開しない……」


 オルミクル村の地下牢と同じ魔法妨害措置が取られているのか、フランカの魔法は完全に封じられていた。

 まぁ、最初に魔導士の格好で村を訪れたのだ。それくらいの対策はしてきて当然か。


「仕方ない、俺が魔法を使う。フランカ、頼む」


 と、フランカに手を差し伸べると……


「……い、いや」


 思いっきり拒絶された。はっきりと言葉にして。


 なんでだよ?

 さっきもやったろう!?

 魔力を分けてくれよ!


「……だ、だって…………密室だし……二人っきり、だし…………恥ずか、しぃ……し……」


 えぇぇぇぇぇえええっ!?

 ここにきて照れるの!?

 フランカの羞恥心スイッチが分からない。

 さっきは自分から「私のおっぱい滅茶苦茶にしてっ!」って言ってきたのに!?


「……そんなことは言っていない」


 あぁ、さいですか。


「とにかく、フランカ。頼む! あいつらを助けたいんだ!」

「……で、でも…………」


 フランカは身を縮め、後ずさって、ドアに背を付ける。


「……それ以上のことは、何も、……しない?」


 それ以上って…………


「今は膝枕なんかしてる暇、ないだろう?」

「……膝枕…………あ、そうね。あなたはそういう人だものね。…………取り越し苦労か」


 なんだか急にフランカが疲れ果てたような表情になった。

 なんだよ、一体?


 と、その時。

 ドアの向こうから複数の足音が鳴り響いてきた。

 床を踏み荒らしているような、慌ただしく、乱雑で、獣の突進のような凄まじい音だった。


「俺が先だよ!」

「ワシの女じゃ!」

「貴様ら、年長者を敬う心は持ち合わせておらんのか、恥を知れ!?」

「夜這に恥もなにもあるか!」

「そうだ! 夜這に年功序列なんぞないわい! 早い者勝ちじゃ!」


 ドアの向こうから聞こえてきたのは、大勢のジジイどもの怒号。

 醜く言い争う獣以下の畜生共の鳴き声だった。

 おおかた、睡眠薬が効いてきた頃合いだと思い、踏み込んできたのだろう。


 ルゥシールたちが危ない。

 こんなジジイどもに後れを取るような二人ではないだろうが……あの格好だ。恥ずかしがっていつも通りの動きが出来ないかもしれない。

 武器もないし。


 それよりも、何よりも……

 いくら強くてもあいつらは女の子なんだ。

 獣になり下がった大量のブタどもに恐怖を感じないわけがない。


 そして、怖がっている女の子を助けに行けないヤツは男じゃない!


「フランカ、すまん! 後でいくらでも殴ってくれていいから、魔力を借りるぞ!」

「……え? えぇっ!?」


 俺はフランカの腰を抱き、強引に引き寄せる。

 そして、顔を真っ赤にして慌てふためくフランカの胸に手のひらを重ねる。


「……にゃぅんっ!」


 フランカらしからぬ、可愛らしい声が漏れる。


「……ご、強引なのは、…………ズルい」


 きゅっと唇をすぼめ、必死に耐えている表情をするフランカ。

 すまん。

 マジで、あとでどんな制裁も受けるから、今だけ我慢してくれ!


「……【搾乳】」

「な、なんだ!?」

「……存分に、やっちゃえ」


 赤く染まる頬を持ち上げて、フランカが男前な笑みを向けてくれる。

 親指を立て、俺にゴーサインを出す。


 まぁ、そうだよな。

 常識的に考えて、穏便に済まそうとした俺たちに対し、この仕打ちはないよな。

 常識的な対応は、常識的な相手にしか通用しないよな、やっぱ。


 っつぅことで。


「任せろフランカ。徹底的に叩き潰してやるぜ!」


 ドアに向けた手のひらから三筋の風刃が踊り出す。

 強靭な獣の爪に切り裂かれたように、頑丈なドアが破壊される。

 分厚い木の間には、くすんだ鉄板が挟まれていた。


 廊下に出ると、狭い廊下にギュウギュウ詰めになった老人たちがいた。

 階段からは続々と老人たちが押し寄せてくる。

 なんて数だ。

 村人総出かよ……


「……この建物自体に魔法陣の展開を阻害する仕掛けが施されているらしい」


 自分の手を見つめながらフランカが言う。

 これだけ大量に沸いてきた老人共を、全員建物の外に放り出すのは難しい。ここでケリをつけるのが妥当だろう。


「……仕方ないから、特別に許可する」


 フランカは、俺の襟ぐりをギュッと掴むと、体を押しつけるように密着してくる。


「……私の魔力を全部使ってもいいから、老人共を全員蹴散らして」

「あぁ、了解だ!」


 左手をフランカの胸に当て、右手で魔法を連射する。

 群がるジジイどもを遠慮なく薙ぎ払っていく。


「うゎあっ!? なぜ眠っていないんだ!?」

「なぜ魔法が使えるんだ!?」

「うわぁぁ、こっちに来るなぁ!」

「逃げろ! 逃げるんじゃ!」

「ぎゃやあああああああああっ!」


 パニックを起こすジジイどもに、面白いように魔法が命中していく。

 黒焦げになる者、感電する者、氷漬けになる者……

 逃げ出そうとして、他のジジイを蹴り飛ばすジジイに、醜く泣き叫ぶジジイ。

 我と我が身のことしか考えられないジジイどもが将棋倒しとなり、廊下と階段は阿鼻叫喚に包まれる。

 自滅して大怪我を負う者も続出するが……自滅はカウントに入れねぇからな?

 それはそれとして、全員に鉄槌を食らわせてやるからな?

 誰一人、逃がさないからな?


 ルゥシールたちに手を出そうとしやがったんだ…………死んだくらいで文句言うんじゃねぇぞ、クソジジイども!


 その夜、俺はちょっとだけブチ切れて、村人を一人残らず叩きのめしてやった。

 幸か不幸か……俺の理性の賜物なんだろうが……死者は一人もいなかった。


 もっとも、本当に大暴れすることになるのは、これよりもう少し後になってからだった。









いつもありがとうございます。


「巨乳は世界の財産!」と言っていたご主人さんですが、

徐々に独占欲に目覚め始めています。


なぜか?



皆さんにも経験があるのではないでしょうか?


「(俺の知り合いじゃない美少女の)巨乳は世界の財産!(だから俺にも見せろ!)」


と、


「(俺の知り合いの美少女の)巨乳は他の奴らに見られたくない!(けど俺は見るけどね!)」


は、決して矛盾する感情ではないのです!


ご主人さんは、一貫してサイテ……純粋で素直な男なのです!


ちなみにご主人さん、

見たり触ったりでは照れなくなってきていますが……


『匂い』には弱いようですよ。


あと、頬に触れるとドキッとしたりしますよね。


それから、割と『向こうからぐいぐい来られる』シチュにも慣れていないようです。



このように、ご主人さん(と、テオドラもですが)の性的な教育が偏っているのは、まぁ、間違いなく育ての親のせいです。



――ある日の魔界。

今日も相変わらずけしからん乳を振り乱す魔神ガウルテリオ。

あまりに恥じらいのないその様に、まだ幼かったマーヴィンはジトッとした視線を向ける……


ガウルテリオ「ん? なんだなんだ? ママのおっぱいが恋しくなったのか?」

マーヴィン(5歳)「……別に」

ガウルテリオ「んじゃあ、あたしのおっぱいに興味があるのか? このマセガキがぁ」

マーヴィン(5歳)「……はぁ…………別に」

ガウルテリオ「おい、ガキ! 今溜め息ついたろ!? だいたい、あたしのおっぱいに興味ないってどういうことだよ!? お前はおっぱいの凄さを、尊さを、神々しさを何も分かっていない! いいか、おっぱい、特に巨乳っていうのはだなぁ……!(以下、おっぱい説教が三日三晩続く)」 



……みたいなことがあたんでしょう、きっと。


流石のガウルテリオも、そこから『先』については、教えられなかったようです。




さて、この前、

私が大変お世話になっている方にですね、


「あとがきで1000文字書く暇があったら本編もっと進めろよ」


と言われました。



もっともだっ!?


なので、今後は、

ここに1000文字書いててもおかしくないようなスピードで本編も進めたいと思います!(結局書くんだね、あとがき)


毎日更新、頑張って続けるぞー!



というわけで、

今後ともよろしくお願いいたします。



とまと

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