18話 魔法の授業‐実技‐
「まずは魔法陣を展開するには、次元の穴の魔法陣を脳内にはっきりイメージする必要があるんだが……まぁ、全員見たことないよな?」
俺の問いに、全員が頷いていた。
遠巻きに見ている大人も、ドーエンまでもが頷いている。って、おい、ギルド職員。勉強不足にもほどがあるぞ。
やむを得ず、俺は黒板に魔法陣を正確に描いてやった。
多少複雑ではあるが、一度覚えてしまえば脳内に焼きつくはずだ。
おそらく、体内の魔力に呼応しているのだろうと予測される。どんなに過去のことを忘れても、一度見たこの魔法陣は絶対に記憶から消えたりはしないのだ。
「よし。この魔法陣をしっかりと脳内にイメージしろ。頭で考えるんだ。気が散って出来ない時は目を瞑ってもいいぞ」
生徒たちが一斉に目を閉じ、念じるように黙り込む。眉間にしわを寄せている者も多い。
遠くで見ている大人たちも、ドーエンも、そしてルゥシールも同じように目を閉じている。
「そうしたら、意識を一点に集中させるんだ。一瞬で、強烈に、その一点だけに意識を集めろ。そうすれば脳内に描いた魔法陣が目の前に展開されるはずだ」
生徒の間から「えいっ!」とか、「はぁっ!」などという声が上がる。が、誰一人として魔法陣を展開させることが出来なかった。
「ちょっと! 出来ないじゃない!」
エイミーがイライラとした声を上げ、机を叩く。
と、その時、机の音にビクッとしたナトリアの目の前に魔法陣が展開された。
「そうそう。その感じだ」
「……出来、た…………」
あらかじめある程度の知識を持っていたナトリアは、やはり筋がいいようだ。
一番乗りで魔法陣の展開を成功させた。
そうすると、周りの生徒たちが焦りを見せ始める。
一点に集中。集中。集中……っ!
と、焦りまくって意識が逆に散漫になっている。
展開しない原因は集中力がまだ足りていないところにある。
もっと集約された、いわば究極の集中力が必要なのだが……子供たちには難しいか。
なにせ、子供というのは、落ち着きがない生き物の代表格だからな。
しょうがない。
奥の手を使うか。
俺が生まれて初めて魔法陣を展開させることが出来た、秘伝の集中力強化法を。
「ルゥシール」
「……え? は、はい!」
魔法陣の展開に集中していたルゥシールが、少し遅れて俺の呼びかけに答える。
手招きをすると、素直にとことことこちらに歩いてくる。
生徒の方を向かせ、直立させる。
「動くなよ」
「は、はい。……あの、何をされるんでしょうか、わたし?」
「なに。ちょっと子供たちに協力してやってほしいんだ」
「えっと……どうやって? というか、嫌な予感しか……」
不安げな顔をこちらに向けるルゥシール。
しかし、そんな表情を完全無視して、俺は、ルゥシールのスカートの裾を手首のスナップを使って捲り上げた。
スカート捲りだ!
それも、見えそうで見えないギリギリのラインを攻めた、究極の捲り加減でだ!
ガタンガタンッ! と、机の揺れる音がして、「おぉっ!」という声が漏れ、そしてババババッ! と、次々に魔法陣が展開していった。……男子生徒の前にだけ。
あと、遠くで見ていたお父さん方の前にもいくつか展開していた。
凄まじい集中力だったのだろう。
その後、彼らはもれなく奥方に引きずられて退場していった。……見学の大人もずいぶん減ったものだ。
「よし、これで半分は展開に成功したな」
「なっ、なな、何するんですかぁ!?」
胸を張る俺の腕を、ルゥシールがぽかぽかと殴る。
真っ赤な顔をしてスカートの裾をギュッと押さえつけている。
「子供たちに協力をしてやれと頼んだだろう?」
「他に方法はなかったんですか!?」
「いや、あるにはあるけど……俺が楽しくない」
「ご主人さんの楽しみのために、わたし、また無駄に心にダメージを負いましたよ!?」
そうか。
ルゥシールはスカート捲りが恥ずかしい派なのか。ウチの妹と同じだな。
王宮で雇っていたメイドたちはみんな慣れたもんで「またですかぁ、うふふふ」みたいな反応だったんだがな。
「分かった。今後、人前ではしないように気を付けよう」
「……分かっていただけたのでしたら………………人前じゃなくてもダメですよ!?」
あ、ダメなのか。
「アシノウラ…………真面目にやりなさいよね」
声のする先には、魔法なんか使わなくても視線だけで人が殺せそうなエイミーの般若顔があった。
……目を逸らしておこう。絡まれると厄介だ。
と、その後ろの席でうなだれる小さな女の子が視界に入った。
たしか、五歳のルエラだ。……ドーエンの資料、漏れがなさ過ぎてなんだか怖いんだが……まぁ、役に立つからいいけども
「どうした、ルエラ?」
「…………でちない」
目に涙をため、ルエラが舌っ足らずな声で呟く。
魔法陣の展開が出来ずに泣きそうになっているようだ。
魔法陣の展開は感覚に左右されるところが大きい。出来るヤツはすぐに出来るし、出来ないヤツは年寄りになっても出来ないままだ。
ルエラくらいの歳では出来ないのが当たり前なのだから、気にすることはないのだが……こういう授業形式では他と比較して辛くなるのも無理はないか。
俺の妹も、そういう負けず嫌いなところがあったしな。
俺はルエラの席まで行き、そっと頭を撫でてやる。
「大丈夫だ。ちゃんと出来るように、俺が力を貸してやるから」
妹を慰める時、よくこうして頭を撫でてやったものだ。
そして、俺は協力を惜しまなかった。
ルエラを見ていると、まだ幼かった頃の妹を思い出す。
「おにぃたん、おにぃたん」と俺の後をついて回っていた、あの頃の妹を。
「ほんと……?」
涙目で俺を見上げてくるルエラは、大人なら誰もが保護欲を掻き立てられるような、そんな愛おしい表情をしていた。
「あぁ。だから、泣かずに俺のことを見てろ」
「…………うん。ありがとう、おにぃたん」
おにぃたん!?
なんてことだ。
妹と同じ呼び方とは……
ルエラは俺の妹。
もう決めた。
他の奴にはやらん。
ルエラのためになら、ちょっとばかり頑張っちゃえるな、俺。
そんなわけで、可愛いルエラが泣かないように、サクッと魔法陣を展開させてやろう。
その方法はいたってシンプルだ。
「ルゥシール」
「またですか!?」
警戒心を露わに、ルゥシールが身構える。
それでも、手まねきをすると大人しくこちらに歩いてくるのだからこいつはいいヤツだ。
「言っておきますが、スカートを捲っても女の子の意識は集中されませんからね」
ひらひらと揺れるスカートの裾をギュッと押さえて、ルゥシールが俺を睨む。
そんなことは分かっている。
俺は、ルゥシールの腰にぶら下がっている道具袋を指さす。
「腕輪を出してくれ」
「へ? ベルムドさんの腕輪ですか?」
「そうだ」
授業の後にでも返しに行こうと思って持ってきていたのだ。
こういう細々した荷物も、相変わらずルゥシールが全部持つと言って譲らないので好きにさせている。
ルゥシールは言われるままに道具袋からベルムドの腕輪を取り出し、俺へと手渡した。
その腕輪をジッと見つめる。
……………………………………………………ダメだ。
何も湧き上がってこない。
この腕輪に対する感情は、前回発散し尽くしてしまったらしい。
この作戦は不発か……
「あれ? それって、お母さんがお父さんに作ってあげたやつじゃない」
エイミーが腕輪を見て目を丸くする。
一番前の席なのでよく見えたのだろう。
「あぁ。ちょっと用があってな、借りていたんだ。あ、そうだ。これ返しておいてくれるか?」
そう言って、腕輪をエイミーに手渡す。
思ったような効果は得られなかったが、すでに一度役立ってくれているんだ。文句も言えまい。
エイミーは手のひらに収まった腕輪をしげしげと見つめる。
細やかな細工を指でなぞり、感嘆の息を漏らす。
「はぁ。何度見ても凄いなぁ。本当にお母さんが作ったんだよね、これ」
その出来栄えは、娘の目から見ても称賛に値するようだ。
そして、何かを思い出したのか、可笑しそうに笑う。
「こんなのもらったら、流石のお父さんもプロポーズを断れないよねぇ」
……は?
「プロポーズ?」
「うん、そう。この腕輪ね、お母さんがお父さんにプロポーズするために作ったんだって」
「…………なんで?」
「それがね、お母さんが何度プロポーズしても、お父さんは『細工師の細腕で牧場なんて出来っこないから』って首を縦に振らなかったんだって」
「………………なんだそれ?」
「ねぇ、酷いわよね。それでお母さん、泣きながら全部の想いを込めてこの腕輪を作って、『これで最後です。私のすべての想いをこれに込めました』って」
腕輪がきらりと輝く。
それは、当時と変わらない美しさなのだろう。
「さすがのお父さんも、お母さんの想いに負けて、結婚を了承したんだって」
「…………へぇ。なんか、あれだな。お前の親父さん、随分と上からだな」
そうかそうか。
アーニャさんの方からプロポーズしたのか。
しかもなに?
それを、何度も無碍に断ってたのか、ベルムドのヤツは。
それでも諦めきれない想いを込めて、泣きながら作られた物だったんだ。
「お前に牧場は出来ない」って言われて、「じゃあ、せめてあなたが無事でいられるように」って?
わぁ、すごーい。ちょーすてきー。
……ふっ…………
「ふっざっっっけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!」
ドンッ!
と、広場に衝撃が走る。
俺を中心に凄まじい勢いの風が吹き抜ける。
砂埃を舞い上げ、叩きつけるようなその暴風には、荒ぶる魂の叫びが込められていた。
すなわち。
「美人に告白されて断ってんじゃねぇぇぇぇぇよっ!」
俺だって、人生で一度くらいは女の子に告白されてみたいっつぅーのっ!
「やっぱりもげろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
絶叫が激しい風と共に広場を駆け抜けていった。
後に広がるのは静寂…………
「ん?」
ふと見ると、生徒たち全員の前に魔法陣が展開していた。
なんということでしょう。
「ふむ。大成功だな」
「だから! 他に方法はなかったんですか、ご主人さん!?」
斜め後ろから、やや疲れた表情のルゥシールが顔を出す。
「どうした? そんなにぐったりして」
「ご主人さんが、とんでもない殺気を放出するからですよっ! なんなんですか、今の殺気は!? っていうか、もしかして、狩りの時にも同じことしてたんですか?」
「あぁ。幸せなカップルは爆発すればいいと思っている」
「…………素敵な愛の思い出を、そんなことに使わないでください……」
なぜか泣きそうなルゥシール。
表情をコロコロと変えて、忙しいヤツだ。
しかし、まぁ、概ね俺の計算通りだ。
魔法陣の展開は、精神が極限状態に陥ると成功率が飛躍的に高くなるという研究結果が出ているのだ。
それを利用し、子供たちに夥しい殺気を浴びせることで、魔法陣の展開を誘発させようという、俺にしか出来ない素晴らしくも効率的な作戦だったのだ。
「大成功だな」
「……どこがよっ! 見なさいよ、泣いちゃってる子もいるじゃない!」
牙を剥いて吠えるエイミー。
言われて見渡してみると、幼い男児と女児が数名泣いていた。
が、ルエラは魔法陣が展開出来たことが嬉しいのか、淡い笑みを浮かべていた。
うん。ルエラが泣いてなければそれでよし!
「想定内だ」
「……あんたの見積もり、緩すぎるんじゃないの?」
エイミーの視線が俺を貫かんとばかりに尖る。
が、時間のない中でやっているんだ。多少の強引さは許容されてしかるべきだろう。
「よし。じゃあ全員魔法陣の展開は済んだな? 一度出来ると、あとは簡単に出来るようになる。時間のある時に練習でもするといい」
展開した魔法陣は、そうそう簡単に消えるものではない。
最初に展開していたトグルたち男子の魔法陣も健在だ。
それではと、次のステップに進もうとした時……服の袖がピンピンと引っ張られた。
振り向くと、ルゥシールが俯いて、俺の服を掴んでいた。
「どうした?」
「………………あの、わたし……出来てません」
沈んだ表情でルゥシールが呟く。
心なしか、目じりが赤い。目もウルウルとしている。
半泣きか?
ルゥシールが悲しそうな顔で肩を落とす。
ルゥシールはダークドラゴン――つまり魔族なので魔方陣など使わずに魔力をダイレクトに具現化することが可能なのだ。だから魔方陣が展開出来ないのは当然なのだが……そんなことにも気付かずに今にも泣きそうな顔をしている。
「あのな、ルゥシール……」
「わたし…………落ちこぼれなんでしょうか?」
これまで魔法を使ったことなど何度でもあるだろうに……
目に涙を浮かべるルゥシールは、そっと……首元に指を這わせる。
「……わたしは、魔法しか取り柄がないのに…………」
あぁ……そうか。
こいつは、これまで持っていた魔力を封じられて不安になっているのだ。
「そう心配すんな」
「……ご主人さん」
俺はルゥシールの頭をポンと叩き、前髪をくしゃくしゃっとかき混ぜる。
「にょっ!?」
奇妙な声を上げて、俺が乱した前髪を両手で押さえるルゥシール。
驚愕に見開かれる大きな瞳の下で、頬が赤く染まっていく。
……しまった。
泣きそうな顔が五歳女児のルエラと被り、思わず同じ慰め方をしてしまった。
俺の中の『おにぃたん魂』が疼いてしまったのだ。
じっと見つめてくるルゥシールの視線がこそばゆい。
「いや、あの……ほら、あれだ……」
何かを言おうとするが、うまく言葉が出てこない。
そうしている間も、ルゥシールはジッと俺を見つめていて……間が持たない。
まったくもってあれだ、気の利かないヤツだ。ルエラみたいな「えへへ」的反応でないと照れるだろうが。……じっと見んな。つか、なんか言え!
「と、とにかく、気にするな」
咳払いをふたつ挟んで、大きく息を吸う。
さっきのは無し。
大丈夫。もう落ち着いた。
「お前の中に、魔力はしっかりと存在している。それも相当な量だ。今は使えなくても、そのうちきっと元通りになる。いや、俺が元通りにしてやる。だから、まぁ、その、なんだ…………」
無言で見つめ続けるルゥシールの視線をこれでもかと感じながら、斜め上を見上げて呟いた。
「だから、……お前は俺のそばにいれば、大丈夫だから」
「…………はい。」
こくりと頷いて、ルゥシールが柔らかい笑みを浮かべる。
お、おぉぅ……何その顔、めっちゃ可愛…………あ、いや。別に、ときめいてないし。
「……いつまでそうしてるつもりなの、アシノウラ?」
エイミーから射殺すような鋭い視線が飛んでくる。
展開された魔法陣越しにこちらを睨んでいる。……そのままとんでもない魔法でも発動させそうで怖い。
俺はさっと体を反転させて、ルゥシールから距離を取る。
「じゃあ、授業を再開する」
取り繕うように言って、視線でルゥシールへ下がるよう合図する。
その際、ルゥシールは柔らかい笑みを浮かべていた。
ま、不安が取り除かれたようでなによりだ。
「これから、簡単な詠唱を教えるから、ゆっくり唱えてみろ」
魔法の入門編として、非常に威力の弱い火が出る【具現化魔法】の詠唱を黒板に書いていく。
教会の教育の賜物で、識字率は高いらしい。そういう技術を身につけておかないと、こういう村では食いっ逸れてしまうからだそうだ。
生徒たちが揃ってその呪文を詠唱し始める。
俺も一緒に詠唱する。テンポを合わせて、ゆっくりと、確実に。
『 ソラ・アンハデト――ゼパルの火よ、生命の灯よ、我が前にその力を示せ――アルス・ナール 』
短い詠唱を終えると、エイミーの指先に小さな火が灯った。
成功したのはエイミーだけのようだ。
「やった!」
素直に喜びを表すエイミー。
指先でゆらゆらと揺れる小さな火をしばし見つめている。
俺はそっと近付いて、その火をふっと吹き消す。
「ちょっと! 何するのよ!?」
「初めてで、あまり長時間魔法を維持するのはよくないんだよ」
魔力の放出に慣れないうちに無理をすると、体を悪くすることがあるのだ。
最悪は魔法が使えなくなることもある。
「そっか…………でも」
魔法が成功したのが嬉しかったのだろう。
エイミーは抑えきれないと言わんばかりに破顔して、極上の笑みを見せてくれた。
しかし、その背後では。
「……出来ませんでした」
「……でちない」
ナトリアとルエラ、それにトゲルたちが悔しそうに指先を見つめている。
何度も詠唱を繰り返している者もいる。
「出来なかったヤツは、魔法陣に魔力を流し込めてないんだよ」
「どうすればいいんだよぉ!?」
トゲルが苛立たしげに声を上げる。
他の子供たちも、悔しそうな視線をこちらに向ける。
「感覚だ。慣れろ」
「なんだよ、それ!?」
「さっきみたいなやり方で、魔法を使えるようにしてよぉ!」
次々に不満の声が上がる。
が、こればっかりはしょうがない。
素養が関係する以上、全員が魔法を使えるようになると保証することは出来ないのだ。
「ここから先は、お前らが個人個人で努力する領域だ。何でもかんでも楽出来ると思うな」
これでも十分過ぎるほど近道をしたのだ。
多くの者が魔法陣の展開で躓くのだから。
理論上は、誰にだって魔法は使える。
が、それは決して生易しいものではない。
それが分かっただけでも、ここにいる子供たちは魔導士の世界に何十歩も近付いたと言えるだろう。
「じゃあこれで、魔法の授業を終わる」
「えぇ~!」という声が上がるが、これ以上は教えることがない。
何と言われても無理なのだ。
しかし、ざっと見たところ、トゲルとロッコ、ナトリアとルエラはそう遠くないうちに魔法を使えるようになるだろう。楽しみだ。
「先生」
「なんだ、ナトリア?」
「……分からないことがあったら、聞きに行っても、いい?」
真剣な瞳をしていた。
悔しさが奥に秘められた、強い意志のこもった瞳だった。
「あぁ。いつでも聞きに来い」
「わたちも!」
「あ、俺も俺も!」
「ボクも!」
次々に手が上がり、子供たちがギャーギャーと騒ぎ出す。
けどまぁ、……意外と悪くない、みたいな?
少なくとも、もう天敵とは思わなくなっていた。
「ご主人さん」
俺の労をねぎらうように、ルゥシールがそっと歩み寄ってくる。
その真っ直ぐな笑みに、俺は今感じている素直な気持ちを伝えてみた。
「子供ってのは、割といいもんだな」
「っ!?」
途端にルゥシールが硬直し、よよよ……と、地面にくずおれた。
「ど、どうした?」
俺が問いかけると、ルゥシールは目尻に煌めく滴を浮かべて、悲しそうな声を漏らした。
「……ご主人さんが、ドーエンさんと同じご病気に……」
「違ぇよ! そういう意味でじゃねぇから!」
全力で、そして声を大にして言いたい!
一緒にすんなと!
その後、アホのルゥシールにはしっかりたっぷりと言い聞かせてやった。
主にこめかみを圧迫するという方法で。
まとめ
・魔法陣の展開は誰にでも出来るけど、簡単にはマスター出来ないんだよ。
・スカートが捲れれば、その一点に凄まじい集中力が集まるよ(男子限定)
・ルゥシールは、『人前でスカート捲りしてはいけない派』だよ。
・美人からのプロポーズを断る男は爆ぜればいいよ。
・「おにぃたん」って呼ばれたいよ。
・↑とか思うようになったらドーエン(変質者)と同レベルだよ。
いつもご来訪ありがとうございます。
これで授業は終了です。
次回からは物語が進……………………む、んじゃないかなぁ……
明日も更新します!
是非、ご家族ご友人お誘い合わせの上、
お越しくださいますよう、お願い申し上げます。
とまと