表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうも。先日助けていただいたダークドラゴンです  作者: 紅井止々(あかい とまと)
132/150

132話 苦戦

 俺たちは、――落ちていた。

 谷底に向かって真っ逆さまだ。


「お婿はん! オラを受け止めてくれろ~!」

「バカ! これからマーヴィン・エレエレ使うんだよ! フランカの方に行け!」

「……ダメ。私も結界を張るので忙しい。両手は塞げない」

「どっちでもえぇだで! 早くしてくれろ~!」



 どうしてこんなことになったのかといえば……



 洞窟を出て、ニヒツドラゴンと別れた俺たちは、切り立った岩山に沿って伸びる、細い細い山道を歩いていた。

 人一人がようやく通れるような細い道を進んでいた俺たちだったのだが、突如現れた一頭のドラゴンの強襲によって崖へと落下してしまったのだ。


 咄嗟に魔法を使おうとしたのだが、その前にトシコが俺にしがみついてきた。そのせいで両手が塞がり俺は魔法を使うことが出来なくなっていた。

  空を飛ぶにも、一度手を広げて魔法を発動させる必要があるのだ。

 一度発動させてしまえば、あとは両手が塞がっていても、他の魔法を使用しても自在に飛び回ることが出来るのだが……今回は間に合わず、巻き込まれて落ちていく。


 このままでは崖の底へ叩きつけられる。

 なので、しがみつくトシコをフランカへと放り投げた。


【魔怪獣】を呼びだそうとしていたフランカだが、トシコがしがみついてきたせいで召喚に失敗していた。

 気の毒だが、仕方ない。その間に俺は、空を飛ぶ準備をする。


 ……つもりだったのだが、すぐさまトシコが投げ返されてきた。


 再びしがみつかれ、俺の魔法は妨害される。

 仕方ない。またおんぶでもして、魔法を使うか。

 そう思っていたのだが、俺たちを強襲してきたドラゴンが牙を剥いて襲いかかってきた。



 ギャギャァァァアアアッ!



 空を劈くような咆哮を上げ、ドラゴンは全身から風の刃を発射した。

 高圧力の風が辺りを乱れ飛び、この空間だけが明らかにおかしな気圧に変化する。

 酷い耳鳴りが起こり、呼吸も困難になる。


 風の刃をかわしたにもかかわらず、風が通り抜けた直後、俺の頬はザックリと切り裂かれてしまった。

 カマイタチか。

 気圧の激しい変動によって皮膚が裂傷する現象だ。

 こいつの風は、当たろうが当たるまいが俺たちを切り刻むことが出来るようだ。


 空を飛ぶ以前に、こいつの攻撃を凌がなければ。


 なのでトシコをフランカにパスしてマーヴィン・エレエレを使用する。魔力を奪ってしまえばこっちのものだ。

 だというのに、投げたトシコがすぐさま投げ返されてきてしまう。

 フランカはフランカで結界を張ろうとしているようだ。


 あのな、フランカ。

 結界なら、俺が全員分を張ってやるから、お前はトシコを連れて空を飛ぶ準備しとけよ。

 そういう思いを視線に込めて送ると、……フランカは俺の思考を魔力で文字に変換して読み取ることが出来るのだが……「私が結界を張る」とジェスチャーで返された。

「いやいや、俺が張る」

「いや、私が」

「俺が」

「私が」

 ――と、視線で思考をやり取りする間中、トシコは同じ回数だけ俺とフランカの間を行ったり来たりさせられていた。


「もう、どっちでもえぇけん、オラのこと受け止めてくれろ~!」


 トシコが涙目で叫ぶ。

 しかし、強襲してきたドラゴンが余りにも素早くて、そんな隙が窺えないのだ。

 やはり複数の【ゼーレ】を持っているのであろうそのドラゴンは、一見すればただのブルードラゴンなのだが、その力や魔力、狡猾さや冷静さは、すべてにおいて地龍を上回っていた。

 地龍が【ゼーレ】を四つ持っていたから、こいつは四つ以上、五つくらいは持っているのかもしれない。

 ただ、外見的に変わった部分は見受けられない。

 元から強い個体なのか?


 そんなことを考えている間も、ブルードラゴンの風の刃とトシコは乱れ飛んでいた。


「お婿はん! オラのことさしっかり受け止めてくれたら、剥き出しの太ももで膝枕してやるだで!」

「よし! 来い、トシコ! 俺がお前を受け止めてやる!」


 どんなことがあっても離さない!

 俺は両腕を広げてトシコを迎え入れる体勢をとる。

 状況が変わったのだ!

 俺の態度も変化して当然だ!

 ウェルカム、トシコ!


「……それはさせない!」


 しかし、俺に向かって滑空してきたトシコの腕をフランカが掴み、強引に引き寄せた。

 何故邪魔をする!?

 しかしというか、案の定というか、強引な行動でバランスを崩したフランカとトシコは、二人揃って崖下へと直下降していった。



「「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああっ!!」」



 けたたましい悲鳴が谷中に反響する。

 ……何やってんだよ、っとに。


 両手が空いた俺は、ブルードラゴンの風の刃をかわしつつ、飛行を開始する。

 これで、手がふさがっても大丈夫だ。

 ……まったく、たったこれだけのことが待てないなんて……だからいつもいつも大騒ぎすることになるんだぞ。


 俺はブルードラゴンに接近を試みる。

 二人を助けに行くよりも、この厄介な強敵を足止めした方が二人の生存確率は上がると判断したからだ。

 俺が助けに行って、二人を抱えながら飛んだところで、こいつの風で切り刻まれるのがオチだ。

 なら、こいつを足止めして、後はフランカとトシコを信じる方がいいだろう。


 停滞していた状況は、一つの変化で劇的に変わっていくものなのだ。

 地龍戦にて、フランカの参戦をきっかけに圧勝出来たように。


 だから、俺がこいつを足止めする!

 足止め……

 足ど……

 足……

 足ぃっ!


「クソッ! 速ぇ!」


 ブルードラゴンは凄まじく速かった。

 その速度を追うのが精一杯で、ヤツの放つ風の刃を防ぐことすら出来ない。

 やばいな。落ちていった二人には、ブルードラゴンの攻撃をよけている余裕はないはずだ。

 なら……


「おい、ブルードラゴン! 俺を目の前にして他に意識を向けるとはいい度胸だな!? いいから俺と勝負しやがれ! それとも何か? 俺が怖くて仕方ないのか? だから逃げ回ってるのか? ぷぷぷー!」


 挑発だ!

 これで、ブルードラゴンは理性を失い、俺だけを狙うようになるだろう。


『……ふっ』


 俺の想像に反して、返って来たのは短い嘲笑だけだった。

 ムッカァー!

 なにバカにしてくれてんだ、このドラゴンヤロウ!?


『あんたらの強さはその連携によることろが大きい。ならば、攻めやすい一角から切り崩していくのは当然のことだろう』


 涼やかな響きの冷静な声で、ブルードラゴンが言う。


『状況は、一つの変化で劇的に変わっていくものだからね』


 こいつ、俺が思ってたことを先に言いやがった!


「ふ、ふん! 俺の方が先に同じこと思ってたもんね!」


 ダメだ……今更言っても負け惜しみにしか聞こえない……本当に俺の方が先に思っていたのに……


「とにかく! 婦女子に暴行を働く様な男は最低だ! 恥を知れ!」

『私は女だが?』

「………………マジで?」


 いかん。物凄い速度で墓穴を掘った。

 これでは、婦女子であるブルードラゴンに暴行を働く俺が最低ということになってしまう。


「今のは無しで!」


 あぁ、くそ……さっきは「言っときゃよかった」と後悔して、今は「言わなきゃよかった」と後悔している……人生、ままならない。


『ふふふ……面白い男だ。嫌いじゃないよ、あんたみたいなヤツ』

「お前、巨乳か?」

『急にどうしたっ!?』


 いや……どうせ好かれるなら巨乳の方が嬉しいというか……ほら、ドラゴンって胸膨らんでないからさ。


『だけど、龍族のためには死んでもらうよ』


 ブルードラゴンの全身から激しい風が吹き付けてくる。


「くっ…………!」


 飛行は、空気中に存在する魔力の粒子に自分の魔力を引き寄せることで『浮かんで』いるのだが、それは決して『固定』されているわけではない。

 突風を浴びれば吹き飛ばされ、竜巻に巻き込まれれば飲み込まれ、嵐に遭遇すれば翻弄されてしまう。


 こいつが相手だと、飛ぶことすら困難だ。


『私は軍隊を持たないドラゴンだからね。確実にあんたたちを仕留めさせてもらうよ!』


 数で押せない分、こいつは確実さを求めるのだろう。

 ちょっとした油断が命取りになりかねないのだから。


『五つの【ゼーレ】を持つ私に、敗北の二文字はない!』


 五つ。

 やはり地龍よりも多くの【ゼーレ】を持っていやがったか。

 しかし……


「お前、何か特徴ないのかよ?」


 複数の【ゼーレ】を持つドラゴンは、首や翼や目が多かった。

 なのに、こいつは普通なのだ。どこも変わった様子がない。


『あんたの目は節穴かい?』


 ニヤリと笑い、ブルードラゴンは俺に向かって腕を突き出す。そして、手をバッと大きく開いて見せた。


『指が五本ある!』

「地味っ!」


 なにそれ!?

 すげぇ地味!


『……気にしてるのに』


 いやいやいや。そんなマジヘコミしなくても……

 つか、元々ドラゴンって何本指なんだよ?

【ゼーレ】の数だけプラスされるわけじゃないんだな。


『…………あんたを殺すっ!』


 おぉうっ!?

 ここにきて、挑発大成功!?


 なんにしても、時間が稼げれば、あの二人ならきっと何とかするはずだ。


「上等だ、かかってきやがれ! 返り揉みにしてやる!」

『討てよ! 返り討ち!』

「討つより揉む方が楽しい!」


 俺は両手の指を広げ、手のひらに余るサイズの『とあるもの』を揉むようなジェスチャーをして見せる。何を揉むのかは、あえて言わない。

 俺のジェスチャーを見て、ブルードラゴンは両腕で胸を押さえ、隠すようにこちらに背を向ける。


『こんな最低のヤツと戦わなければいけないなんて……っ!』

「でも、嫌いじゃないんだろ?」

『たった今、物凄く嫌いになったよ!』


 なんて悲しい宣言だ。


 しかし、俺の心の傷は決して無駄ではなかった。


「……【搾乳】」

「お婿はん」

『っ!? しまった!』


 翼を生やしたフランカがトシコを抱きかかえて戻って来たのだ。

 時間稼ぎは成功したようだ。

 一度飛んでしまえばこっちのもんだ。


 さぁ、二人とも! 俺を褒め称えるがいい!


「……【搾乳】は無条件でモテるタイプではない。地道な努力なくして女心は掴めない」

「お婿はん、見事なまでの振られっぷりだっただ」

「ちょっ! 待てい!」


 別に俺、振られてねぇし!

 特にそんなに気にもしてねぇし!

 つか、そもそも、別に好きだったわけでもないし!?


 あぁ、くそ!

 今日の俺は何を言っても負け惜しみになってしまう呪いにでもかかっているのだろうか?

 言葉が空虚だ。


『……おのれ。まんまと終結されちまったか…………』

「見たか! 俺の緻密且つ華麗な作戦を!」

『あんたはただ変態発言を繰り返したいただけだろう!?』


 ブルードラゴンが失敬なことを言う。

 で、俺の隣で仲間であるはずのフランカとトシコが物凄くブルードラゴンに賛同している。うんうんと何度も頷いている。

 おのれフランカ&トシコ! 見てもいないのに何故俺が変態発言を繰り返したと分かるのだ!?

 理不尽だ!

 不愉快だ!


『折角、子供たちから「あんたたちが徒歩で山道を行く」って情報を得たってのに……っ!』

「ん? ちょっと待て……」

「……子供たち?」

「って、もしかして、オメェさ……」

『二人のニヒツドラゴンは私の娘たちさ』

「「「えぇーっ!?」」」


 俺たちはそろって驚きの声を上げた。


「……私のピッピに別の母親がっ!?」

「タメキチさ、女の子だったべか!?」

「人妻は守備範囲外だっつの!」


 で、なんでか俺だけ殴られた。


 ……なんでだよ?

 二人ともおかしいこと言ってたろう?


 別の母親って……、まずフランカ母親じゃないし、母親に別も何もないし。

 タメキチが女の子だったとか、どうでもいいし。

 重要なのは、こいつが人妻だという事実だけだ!


 俺は、人の物には手は出さない!


『まぁ、旦那は五年前に病気で逝っちまったけどね』

「未亡人なら話は別だ!」


 で、また殴られた。


 ……おかしいよ、こんなの。

 不当な扱いを受けている……


「……ピッピの母親とは戦いたくない……あの娘を悲しませるなんて、私には出来ない」

「んだなぁ。母親がボコボコにされたら、タメキチさ、泣いてまうかもしれねぇだしな」


 そんな気遣いを見せるフランカとトシコに、ブルードラゴンは不敵な笑みを向ける。


『心配には及ばんよ』


 そして、赤い眼を光らせたかと思うと、再び突風が吹き荒れた。


『あんたらに、勝ち目なんかないからさぁ!』


 突然の風に、俺は何とか堪えたが、フランカとトシコが吹き飛ばされてしまった。

 風圧だけなら耐えられるのだが、こいつの風はカマイタチを発生させるから厄介なのだ。

 腕や腹に深い裂傷が出来る。

 こいつが、地味に痛い。


「フランカ! トシコ!」


 風の中を飛び、落下する二人を捕まえる。

 風で方向感覚が乱されれば、【魔界獣】の翼を得たフランカでも岩山に激突しかねないのだ。

 俺と違い浮力を使って飛行するわけで、俺みたいに小回りが利かない。


 なんとか二人を救出したのだが、その隙をブルードラゴンは見逃してくれない。

 俺の背中に、風の刃が次々に炸裂する。

 左右の手で二人の腕を掴んでいるために、魔法は使えない。


「……結界を張る!」


 フランカが俺の背後に結界を張ってくれたおかげで、なんとか風の刃による猛攻を凌げた。

 千切りにされるかと思ったぜ。


「よし、一旦このままどこかに降りるぞ」


 空中戦では分が悪すぎる。

 地上へ引きずりおろして……


「……ダメ、限界っ! 結界が破られる……っ!」


 突然もたらされたフランカの言葉は、その数瞬後に現実のものとなる。

 フランカの結界が破壊され、再び風の刃が俺たちに襲い掛かってくる。


 くそっ! これじゃあ埒が明かない!

 重症覚悟で、カマイタチの中を突っ切るか?



 そう思った時、背中に凄まじい衝撃を感じた。



「……ごっ!?」


 背骨が有り得ない方向へ曲がり、喉の奥から血液の塊がこみあげて来る。


 ブルードラゴンが俺の背中に頭突きをしてきたのだ。

 それも、スピードを乗せた、強力な頭突きを。


 堪らず、俺は両手を離してしまった。


 体から力が抜けていく。

 痛みで全身の神経が一時機能停止に陥ってしまう。


 ダメだ……フランカはともかく、トシコは空が飛べないんだ。

 助けに、行かなきゃ……っ!


 だが、体が動かない。


 フランカに託そうと視線を向けるも……フランカは突風に煽られて岩山に激突していた。

 息はあるようだが、相当な深手を負っている。

 今すぐ飛ぶのは……無理か…………



 嘘だろ? このままじゃ……トシコは…………



 行かなきゃ……

 早くいかなきゃ……

 でなければ……そうでなければ…………間に合わなくなる。


 谷底に吸い寄せられるように、トシコの体がみるみる小さくなっていく。


「トシコ……ッ!」


 軋む体に鞭打って、俺はトシコに向かって飛行を始める。

 間に合え…………

 間に合ってくれ…………

 トシコ……ッ!


 体がふらつく。

 安定しない。

 頭がぐらぐらして世界が歪んで見える。


 それでも……っ!

 トシコは仲間だ。見捨てるなんて出来ない!


 懸命に進む俺に、ブルードラゴンは無慈悲な攻撃を仕掛けて来る。

 谷底から突き上げるような竜巻が発生し、俺の体を飲み込む。

 背骨がやられてしまったらしい俺は、抗うことも出来ず、強制的にはるか上空へと押し戻されてしまう。


 くそっ!

 この忙しい時に!


 回復魔法を使おうにも、地龍との戦闘以降一度も魔力を補充していないからそろそろ尽きてしまいそうだ。

 フランカは衝突の影響で気絶でもしているのか、ピクリとも動かない。

 俺が行かなきゃ……トシコは…………


「トシコォオオッ!」


 吹き荒れる風に遊ばれて、俺は叫ぶことしか出来なかった。

 情けない……

 背骨が折れたくらいなんだ!

 そんなもん、唾でもつけときゃ治るだろうが!


「そうだ! これしきの傷で弱音を吐くなど、俺らしくもない!」


 昔から言うだろう?

『背骨が無ければ、肋骨に頼ればいいじゃない』

 どこかの王女の言葉だ。


 俺は、残された魔力を振り絞って竜巻の中から逃れ出た。

 しかし、それを読んでいたブルードラゴンに待ち伏せをされ、再び、重い頭突きを食らってしまった。今度は、肩に。


「…………かはっ!」


 あまりの激痛に声すら出ない。

 けれど、こんなことをしている暇はない。

 痛がってる時間がないのだ。


 トシコを、助けに……



『諦めなよ』



 短いその言葉が心臓に突き刺さる。

 視線を上げると、嗜虐的な瞳がにやりと弧を描く。


『もう、間に合わない』


 嬉しそうにそう言って、直後に鋭利な風の刃が生み出される。

 背骨に続いて右腕も壊れてしまった。


 絶望に飲み込まれそうになる。

 諦めてしまいそうになる。

 もう、間に合わないのだと、そんな言葉を信じてしまいそうになる。

 そんな時……



 目の前を、何かが高速で通りすぎていった。



『……えっ!?』


 ブルードラゴンも意表を突かれたようで、その『何か』には一切対応できていなかった。


 その『何か』は、谷底へ向かって猛スピードで突き進み、そして、トシコの救出を見事にやってのけた。

 鮮やかに、迷いなく。


「……まったく」


 少し、不機嫌そうな声を漏らして、俺たちの目の前に姿を見せたのは……


「みんなしてワタシを置いていくとは、酷いではないか!」


 鉄製のガーゴイルに跨った、テオドラだった。









いつもありがとうございます。



今回書いていて思ったのですが……


太もも大好きなのって、私だけじゃないですよね?

確かに、ご主人さんといえばおっぱいなのですが、

脚も捨てがたいのです!


膝枕って、最初に考えた人、誰なんでしょうね?

ノーベル平和賞あげればいいのに。

膝枕の発明は、X線の発見と同じほど偉大な功績だと思うんですよね。


腹が減っても高楊枝で耐えていた武士でさえ、

お嫁さんには膝枕してもらっていたんですよ。

武士の心をもへし折る破壊力!


ダイナマイトよりも凄い発明かもしれません。



膝枕と言えば……


私は、神様に一つだけクレームを入れたいのです。


神様……

何故、ふくらはぎはあんなに弱いんですか?


ふくらはぎなんて、ふっくらしてて、ぷっくりしてて、

膝のくびれから始まり、緩やかな曲線を描いて、足首のなめらかなくびれへ終結していく、

ドナテルロやミケランジェロでさえも生み出すことの出来なかった、

究極の芸術ですよ。

彼らをもってしても、神の生み出した脚線美を模倣することしか出来なかった。


それほど素晴らしいふくらはぎだというのに……



ふくらはぎ枕が出来ないなんて悲しいじゃないですか!?

ねぇ、そうでしょう!?



例えば、素晴らしい女性がいて、恋に落ちて、

そしてある日、ふくらはぎ枕をしたとしましょう。


その瞬間、


「いたたたたたっ!」


ですよ?

下手すると「痛いって!」

と、足が飛んでくるかもしれません。

それでもめげずにふくらはぎを攻め続けると……フラれます。速攻です。


ふくらはぎは、

頬摺りまでが限界…………


おぉ、神よ……

何故ふくらはぎはあんなにも弱いのですか?


ここ最近、深夜にこむら返りが頻繁に起こるのですが……私のこと、嫌いですか?

こむら返りの時は、脚を伸ばすのが正解ですか? 曲げるのが正解ですか?

こむら返りになった瞬間、別に「こむら返り!」とか言うつもりなど微塵もないのに、「こぉ……っ!」って口に出ちゃうのは何故ですか? 私だけですか?

何故「こ」なのか。なんと言いたいのか。私にも分かりません。


ただ、神よ……

膝の裏にあれほどのエロスを注ぎ込んだあなたの功績だけは、

私は全身全霊をもって讃えたい。


あのスポットはいい。

普段あまりお目にかかれないところもいい。



そして、足首。

くるぶしときて……そう足の裏。

土踏まずに込められたロマンというのは…………おっと、もうこんな時間か。

土踏まずの魅力についてはまた今度の機会にいたしましょう。



最後に一言だけ……



チラリズム、

なんて言葉がもてはやされ、

「露出してればいいってもんじゃないんだよ!」なんて意見があちらこちらで囁かれ、

今や主流派に追って変わる勢いです。


チラリズム……

または、見えないからこその妄想力……


現代における主流派は、間違いなくこちらなのでしょう。

私も、チラリズムは温泉回の湯気隠し、不可解な光の線に遮られた思考世界の浪漫に関しては、

一所ならぬ思いをいだくものではありますが、


ですが、これだけはどうしても言いたい!



「露出しちゃダメだなんて、誰も言ってませんからねぇ!」



チラリズムの素晴らしさは重々承知しております。

その上で、露出度の高い服にももう少し目を向けていただいて……


胸元の大きく開いた服で谷間を強調してみるとか……



そうそう、谷間と言えばこの前、駅のホームで荒ぶるおっぱいを…………おっと、もうこんな時間か。

それでは巨乳の話も、また今度ということで……




今後ともよろしくお願いいたします。


とまと

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ