手をつなぐ
「で、ここどこ」
「?」
黒い瞳が
きょとん、と
じゃなくて、さ
「ここっ!どこ!?」
適当に思ったこと聞いただけだったんだけど
なんか答えてくれないし
まずいこと聞いたのかなーって
気まずくなった雰囲気を壊したくって
腕引っ張って歩き出したのは
いいんだけど
町の中は町の中なんだけど、誰もいないんだよね
どこまで歩いても町から出れると思えないくらい大通りがずっと続いてる
こんなとこだった?
あっ
「そーいえば、空間?」
ようやく、私が何をしたかったのか理解したらしい
「あぁ、歩いて城に行くのは無理だ」
「そんなに遠いの?こっちにも車ってあるの?道路が整ってるとは思えないんだけど」
「車?いや、転移する」
「紫のおばさんが言ったやつだ。それって何、瞬間移動ってやつ?」
「あぁ」
へぇー
「あのおばさん曰く、私も転移してきたらしいんだけど」
「魔力の暴走だな。激しい感情の変化によって引き起こされたんだろう」
「へぇー」
まぁ、確かに怒って、泣き叫んだわ
「・・・」
「何?」
彼はじっと手をみている
手をつないだままだった
手首つかんだ状態だけど
嫌なのかな?
そっと離す、と
がっし!
「!!」
すごい力強く手首を捕まれた
私、そんな力強くしてないよ
「な、なによ」
「・・・」
喋ったり、喋らなかったり
変なやつ
「・・・行くぞ」
「へっ?」
彼の目が赤く染まった
あれ?
こんな至近距離で向き合ってた?
なーんて考えてたら
また視界がぼやける
でも
頭は痛くない