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15話 伊集院の末路

気絶してうつぶせに倒れる伊集院隼人……

そこに、全く表情のない伊浦円が近づいて行く……


円は足で無造作に、倒れる伊集院を仰向けにする……

そして、円は仰向けにした伊集院の胸元を強く踏みつける。


ドンッ!!


「ぐぼぉあっ!!」


強烈な衝撃と痛みに目を覚ます伊集院。


「ごふぉっ!!げふぉっッッ!!ぐぅ!!なっなんだ!!」

覚醒した伊集院は困惑しながら周囲を見渡す。


「黙れ」

伊集院はそこで自分にを踏みつける無表情な男を見つける。

その男は怒ってもましてや笑ってもいない、本当に無表情で伊集院を見つめていた。

ただ、その無表情の中で鋭く輝く銀色の瞳が……

やけに冷たく……そして恐ろしく輝いていた……


「ひぃぃ!!お、お前!!お前はさっき中庭で西条寺君と話してた奴っ!!??な、なんだぁ!!なんなんだ!!」

伊集院はその見た事もない様な冷たい瞳に、言い知れない恐怖を覚える。


いや言い知れないという事はない……

伊集院はその瞳を見て、彼の本能が、直感がそれを明確に言い表す……


あ、あれは……人殺しの目だ……


「な!!なんで僕を踏んでいるんだぁ!!く、黒服達は!?どうした!?こ、コイツを殺せぇぇ!!!」

伊集院は怯え、必死に叫ぶ……

しかし、その必死の叫びは空しく倉庫にこだました……


「黙れ」

ドンッ!!

円は再び伊集院のみぞおちの辺りを踏みつける。


「がひゅっ!!おぇぇっ!!がっ、ぐふ……やめろぉ……僕にこんな事をしてただで済むと思ってるのかぁ!!」

伊集院は痛みと恐怖におののきながら、精一杯虚勢をはり、そして自分の胸元を踏みつける円の足を掴んでどかそうとする。

しかし、どんなに力を込めてその足を掴んでも、円の足はピクリとも動きはしない……

「な、なんなんだお前は!!なんで僕にこんな事をするんだ!!」


「黙れ」

次の瞬間円は伊集院の胸元に片足で立ち上がる。


「ぐうぅ!!」

突如かけられた円の全体中に嗚咽をもらす伊集院……


円はそこから、自由になったもう片方の足で素早く……


バキィッッッ!!


伊集院の口を踏みつぶす。


「!!!!!!!!!!!!!!!!ッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!??」

前歯が折られ、円の足が伊集院の口内へとめり込む。

伊集院はあまりの激痛に涙を流し、悲鳴を上げるも、その悲鳴は体内から外へ出る事を許されない。


伊集院はもだえ苦しみながら、悲痛の表情を浮かべ……そして恨む様に円をみやる……


「………ッッ!!」

その瞬間……

伊集院は身動きを止め完全に抵抗をやめる……


いや……やめざるを得なかった……

なぜなら……


そこには圧倒的な殺意を持った恐ろしい二つの目が……

ギラギラと魔物の様に輝く銀色の瞳が……

自分を確と捕捉していたのだから……


伊集院はその瞬間殺意と言うものを心底理解する……

まるで殺意と言う名の鉄の塊を…頭蓋骨を砕き直接脳髄へぶち込む様な……

明確でそれでいておぞましい殺意の認識をする……


そして悟る……

これこそが言い知れない恐怖なのだと……


これから行う、生命活動の全てが……

全ての抵抗が確実に無に帰すであろう……


見るだけで全てを諦める……

そんな絶望的な死の存在がそこにはあった……


さっきまでは……

なぶっていたんだ……

遊んでいたんだ……

コイツは俺を……

いつでも……

殺せる……


伊集院はその圧倒的な……人を超越した殺意に完全に行動を停止する。

そう……

思考すら……

呼吸すら……

全てはこの存在の前に……

無駄な抵抗にすぎない……


僕は……死んだ……


伊集院の顔から表情が死にたえる……


それを確認した円はゆっくりと口を開く……


「お前が何をしようが知った事じゃない……だけどな……」


円はそこで初めて……少しいらついたような表情を見せる……


「むかつくんだよ……そう言うのは……戦場でも……ここでもな」


バキィ!!


最後に円は伊集院の頭部を蹴り飛ばしその意識を断ったのであった。


————


はぁー

終わった……


あぁ

怪我しなくてよかったぁ……

やっぱり、何事も慎重にやらないとね……


まあこれで一件落着だろう……

伊集院も完全に心が折れた目をしてたからな……

相手が一般人だと簡単に心折れるから楽でいいよな……


あの感じなら多分、良くてトラウマ、悪くて廃人だろうな……

とっちにせよ……

もう下手な事はできないだろ……


でも……

最後ちょっとマジになっちゃったな……


まあそういうのは無くならないって解ってても……

やっぱ胸くそわりぃよな……


はぁ……


さあ帰ろう……


えっと……

この子どうしよう……


んーどうすっかなぁ……


胸元はだけたまま外にほっとく訳には……

いけないよなぁ……


楓さんに迷惑かけるのもあれだし……

何より説明めんどくさいし……


はぁ……


しゃあねえなぁ……


一回俺の家に運ぶか……


とりあえず家の近くまでコイツらの車をパクって乗せてくか……


なんか……


今度は俺が拉致して行くみたいに見えるなぁ……


はぁ……


今日は散々だなぁ……


————


円は優しく夕凪を抱き抱え黒服達の車の後部座席に乗せる。

そして黒服達の懐から車の鍵を拝借し、運転席へと乗り込むのであった。


ブオォォォォォ!!!


黒服達を残したまま倉庫を後にする円……


学校をサボり盗んだ車で走り出す無免許運転者は後部座席に気絶して胸元がはだけた美少女を乗せ自宅へお持ち帰りするのであった。











次回 夕凪が円の家で赤面!?


16話 その後の夕凪


やべぇ……うちの主人公超犯罪者……

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