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13話 黒服撃破

倉庫内の張りつめた空気の中、伊浦円がその銀色の眼光を黒服に向け銃を構える。

黒服と円の距離はおよそ10メートル。


実際は、それだけの距離でも、拳銃で正確にあてる事は難しい。

しかし、それはあくまで素人が扱った場合である。


円はリラックスした体制で足を肩幅に開き、そして両手で銃把をしっかりと包み肩の高さで構える。

そして殺気を放つその鋭い眼光は「絶対に外さない」と黒服にはっきりと伝えていた……


先程の極めて洗練された円の動きと、今現在のこの一部の隙もない構え……

黒服はそれらの事実から円を高位のブレイカーと判断する……

そして同時に現在の状況が極めて危機的である事を改めて認識し、黒服はゴクリと唾をのむ……


まずい……銃を一瞬で構えられた……

今不穏な動きをすれば、すぐに撃たれるだろう……

くそっ!!

取りあえず会話で奴の隙を誘うしかない!!


黒服は一瞬だけ逡巡をすると、すぐ方針を決め円の隙を誘う為に会話を始める。


「わかった……私たちが悪かっ…なっ!!!!」

バァン!!バァァァンンッッ!!


男が声を掛けようとした瞬間……

突如放たれた二発の弾丸……


その弾丸は転がって気絶した伊集院に向けて放たれた……


そして、それを庇う様に出された黒服の両腕へと着弾していた……


「貴様ぁ!!ぐぅ!!なっ!!なにをするぅぅぅ!!!」

突然の円の暴挙に狼狽する黒服。


激怒の表情を浮かべて狼狽える黒服に対し、同じ姿勢で銃を構えながら冷静な視線を向ける円。

円は落ち着いた口調で黒服の問いに答える。


「あんた、ブレイカーだろ?」

「ッ!!??」


突然の円の指摘に別の驚きを見せる黒服。


「隠してても解るんだよ、まああんたも俺がブレイカーだって解ってんだろ?」

「なッ!?何故わかった!!俺は貴様の様に派手に動いてないし気配だって消しているだろう!!」

「簡単な話だよ……そいつ、確か伊集院財閥の息子だろ?ブレイカーの護衛を一人くらいは連れてるだろと思ってな……」

「そ、それだけか!?」

「いや……あんた、身のこなしが奇麗すぎるんだよ……異常なほどにな……多分なんかの武道のブレイカーだろ?」


そう言って円は銃を構えたまま、ゆっくりと近寄る。

その歩みと眼光は黒服に対し凄まじい威圧を与え、場の空気を更に張りつめる。


「だから、あんたとまともに戦ったら俺も無事じゃすまないと思ってな……」

「な!?だから坊ちゃんを殺そうと!?」

「いや、俺はあんたが反応して防ぐ事を読んでいた……そして、その時に小賢しい判断が出来ない様に、俺に話しかけようとして隙ができた瞬間を狙った」

「な……に!?では、俺が体を張って止める以外の判断をさせない為に?その為に隙を狙って?」

「そうだ……」


黒服の顔がみるみる恐怖に染まって行く。


な……

なんだと!?

あの圧倒的優位な状況で……

油断するどころか……

逆にこちらの隙を狙っていたと言うのか!?


か……かなわない……

隙を作るどころの話ではない!!

か……格がちがう……

その年で……いったいどれ程の修羅場を潜り抜けて来たと言うんだ!?


円が黒服から3メートル程の所まで近づく。

迫りくる凶悪な殺気に、黒服の顔が恐怖に染まり戦意喪失したのを確認すると円は……


バァアン!!バァァァンンッッ!!


躊躇せず男の両足を打ち抜く。


「ぐわぁぁぁぁぁ!!??なっなぜ!?」

と、黒服が言い放った瞬間、凄まじい速度で円が走り出す。

黒服と円の距離は一瞬で喰われ……


ドォォォンッ!!


円は、最後の黒服の顎に強力な回し蹴りを食らわせ、その意識を断ち切った。


「念には念を……と」


そう呟いてからゆっくりと背筋を伸ばす円。

「はぁ、無事終わったか……」

円の顔がリラックスして綻ぶ、そしてゆっくりと夕凪の方を向き直り歩みよる。


「その……大丈夫だった?」

手を差し出し、夕凪が怖がらない様に微笑みを浮かべる円。


それは、目の前で銃撃戦が行われた事による、一般人のショックを鑑みての円なりの配慮であった。

その配慮に、夕凪は……



次回 夕凪を……


14話 優しさ

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