10話 ・・・行くか
ついに10話!!
二桁です!!
今日は仕事が休みなので調子にのって2話更新です!!
あとおきに入りが100超えました!!
ありがとうございます!!
これからも頑張ります!!
「円くん!!」
楓は円の元へ一直線に駆け寄り、心配をする。
そして楓は円の頬が叩かれて赤くなっているのを見ると、直ぐに夕凪の方を振り返る。
「ゆなちゃん!!なんでこんな事するのっ!!」
楓と夕凪の目が合う。
「う・・・」
戸惑い、あせる夕凪・・・
彼女は失念していたのだ・・・
こうなる事を・・・
頭に血が上っていたため・・・
いかに円を呼び出すかにのみ考えがいっており、大体的な呼び出しにより楓にまで伝わるであろう事を忘れていたのである。
しかも最悪のタイミングで伝わったようで、これでは完全に夕凪は悪役であった。
「円くんは私の友達だっていったよね!?」
楓は夕凪を睨みつける・・・
その視線は何時も穏やかな楓からは想像もできないような目をしていた。
「なのに・・・何でこんなことしてるの!!??」
親友から初めて向けられた怒りの視線・・・
夕凪はそれに動揺し・・・思わず目線を反らす・・・
反らした先でふと円と目があう・・・
円は夕凪の表情をみて、なにやらハッとした表情を浮かべていた。
「ねえ!!ゆなちゃん!!答えて!?」
尚も迫る楓の怒りの視線・・・
「うう・・・」
それに動揺し、恐怖する夕凪。
夕凪はそれに耐えかね・・・
「・・・・ごめん!」
その場から逃げ出したのだった。
————
夕凪は走った・・・
とにかく逃げた・・・
親友の、あの怒りの視線から・・・
あんな・・・
あんな目の楓・・・初めてみた・・・
中学校からずっと友達でいるけど・・・
初めて・・・
そんなに・・・
そんなにあいつが大切なの!?
私よりも!?
夕凪は混乱しながら校舎裏へと逃げ込んだ。
息をきらし呆然と地面を見つめる。
その表情は、困惑と、恐怖で染まっていた。
そこに・・・
一人の男が声を掛ける。
伊集院が軽薄な表情を浮かべ近寄ってきたのであった。
————
「やあ、夕凪君、どうしたんだい?」
そう声を掛けながら、伊集院隼人が夕凪へと近寄る。
「・・・・・ッ」
夕凪は近寄る伊集院に気付くと彼を睨みつける。
なんで・・・!!
この男はっ!!
親友の怒りの瞳、それに狼狽し一人になりたい時に・・・
最悪の男が最悪のタイミングで訪れた。
「さっきの・・・見ていたよ・・・いったいどうしたんだ君らしくも無い?よかったら僕に・・・」
「黙れっ!!」
今現在、極めて情緒不安定な夕凪は伊集院の話を遮り吠える・・・
「お前は何時も何時もウザいんだよ!!こっちが迷惑に思ってるのが解らないのか!?私はお前が大嫌いなんだよっ!!今すぐ消えろぉ!!」
感情に任せ、思ったままを思い切り叫ぶ夕凪。
興奮して息を荒くし、睨みつける様に伊集院に視線を送る。
伊集院は・・・
その視線の先で・・・
邪悪な顔を浮かべていた・・・
「・・・っ!?」
そのあまりに歪な伊集院の表情に若干の戦慄を覚える夕凪。
「こっちが、下手に出てればいい気になりやがって・・・」
途端に伊集院の語気が険しい物へと変わる。
「お前見たいな糞女には・・・躾をしてやるのが先輩ってもんだよなぁ!?」
伊集院は邪悪な、それでいて卑しい笑顔を浮かべる。
「やれ」
そして手を挙げ何かに合図を送った・・・
バチィッ!!
「うぁ’’っ!!」
直後に夕凪の後頭部に衝撃が走る・・・
地面へと崩れ落ちる夕凪。
夕凪は薄れ行く意識の中で・・・
伊集院隼人が歪な笑みを浮かべるのが見えたのだった。
————
はあ〜
なんとか抜け出して来たよ・・・
なんで俺がこんな目に・・・
まああの後、とりあえず俺も全力で逃げて来たけど・・・
はぁ・・・
この後なんて言い訳したらいいのか・・・
とりあえず楓さんには逃げながら電話で説明したけど・・・
他の人達にはなんと・・・
ああ、俺の普通人生が・・・
い、いや!!
まだ諦めるな!!
俺の目標は一般企業に勤めて、普通の家庭を築く事だ!!
つまり、俺がブレイカーである事さえ回りに知られなければ、まだまだ実現は可能!!
よし!!あれだ!!頑張ろう!!
・・・とはいえ
今日はもうなんか疲れたな・・・
学園の端っこまで来ちゃったことだし・・・
この壁乗り越えてもう今日は帰っちゃおう・・・
よっ!!
と・・・
さあ、帰ろ・・・
ん?
ブヴォンッッ!!
うおっ!!あぶねっ!!てえおい!!
ええっ!!??
・・・いまの車
なんかさっきの女乗ってたな・・・
しかもなんか・・・
気、失ってる感じだったな・・・
で、女の左右と運転席に黒服、そして助手席に悪役っぽい笑みを浮かべたボンボンっぽい男か・・・
ああ、拉致ですね・・・
・・・・・っはあああぁぁぁ
もうっ!!
自分の動体視力が恨めしい!!
くそっ!!
はぁ・・・楓さん、電話で説明したあと・・・言ってたな・・・
「ゆなちゃんは本当はすごくいい子で、多分私を心配してくれて・・・だから・・・許してあげて下さい!!」
って・・・
あの子は楓さんの大事な友達なんだな・・・
友達の友達は友達なんて事は言うつもり無いけど・・・
でも、もしあの女がレイプとかされたら・・・
楓さんは悲しむんだろうな・・・
それに・・・
あの女が逃げる直前の・・・
あの悲しそうな顔・・・
困った様な、泣きそうな、寂しそうな・・・ガキ見てえな顔
くそっ・・・嫌なもん見ちまったな・・・
はあ〜ぁ・・・
しゃあない・・・行くか・・・
次回 絶望する夕凪の元へ・・・
11話 いいからとにかく・・・




