―黄昏時の夢・現代2―
〈現代〜快理Side〜〉 目覚ましの音。 「もう5時かいな…」 靖内快理は朝方3時に目を覚ました後、一睡も出来ていなかった。
「今の夢…。なんやったんやろか…。」
ストトトトトトトトト…。キッチンからは一定の間隔で聴こえる包丁の音。
「兄貴、こないな時間に、もう起きてんねや…。」
そう考えた快理はゆっくり起き上がり、二段ベットを抜けでてタンスの中の制服に着替えた。
そしてドアを開けキッチンへと向かう。
「おはよーさん、竜兄」
声をかけると音が止まり、ビックリした顔の竜也が、快理を見つめ、にこやかに笑いながら言う。
「はいよ、おはようさん。はよ、顔を洗ってきぃや」
「はいよ」と素直に従う。
顔を洗ってキッチンで兄の手伝いをしているところでガタン!とドアが開いて、大学生で次男の広大が家に帰って来た。
「!おはようさん広兄!」快理が声をかけると広大は「ちっ!」と舌打ちして。完璧に快理を無視した。
そこへ弟二人の空気をどう察したのか竜也が来て。
「広大!快理はちゃんと…挨拶したんだから…」
そう言うと広大はぶすっとした顔で、「…おはよう」と関西弁ではなく標準語で答えた。
「はい、おはよう。広大…朝は?」
「いらねぇ。」
毎朝の光景に快理は溜め息をついた。