―黄昏時の夢・現代1―
〈現代〜妃於瑠Side〜〉 朝は大方体調が悪い妃於瑠は起きたもののまだベットの上にいた。 夢についての考えをまとめようとするも、あやふやで無理だった。
その時下、つまりは一階にいる兄、紀於瑠が階段を 昇ってきつつ聞いてきた。
「おい、妃於瑠!起きた?今日は朝食、食べるか?」 それに答えるように言う。「うん。起きたよ、朝食も食べる。」
ドア越しに聞こえる安らぎのため息。
「そっか。準備しとくよ」 「有難う、紀於兄」
十歳歳上の兄には心配ばかりかけている、と考えつつ夢について考えて悩んでいると窓の外から声がした。
「はよう、妃於。今日は割と調子良いんだ?」
急いで窓を開けると屋根上ベランダで繋がる向こうの窓から遥斗が顔を出した。「あぁ、うん。…、今日は起きるの早いんだな…遥、いつも遅刻ギリギリだろ?起きるのは」
そういうと遥斗は悪い笑顔を浮かべて言う。
「覚えてない?副部長さん…バスケ部は今日から朝練でーす。部長が遅刻とかは出来ないじゃん?」
暫くの間、沈黙。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!忘れてた!!どうりで!!遥が着替えてる訳だよっ!急いで準備するから!」 「ちょっ、おま…そん、」
妃於瑠は焦って…こけた。
5分程度で準備を整えて、階下に降りると階段に背を向ける姿の紀於瑠が台所で料理をしていた。
「おはよぅ、紀於兄!」
「…、…、……、……。」 沈黙。 あれ?聞こえなかったか? 近付き声をかける
「おはよぅ!!!」
「聞こえてる。声が大きくなってるから気を付けて?挨拶、返しただろ?」
首を横に振りつつ、否定。
「聴こえなかったけど?」
「ん…?…!あぁ、左側で後ろ向きだったんだな!!そりゃ聴こえるはずないわ…悪かったな、おはよ。」
「…あ、そっか。おはよ」
「大丈夫か?顔色が…」
「大丈夫、それより……、左側の音、もぅ、二度と…聞き取れないし、拾えないのかな?」 「妃於瑠…」
「ごめん、…心配ばかりさせる事、言っちゃって。」
「それは別に構わないよ」空気が少し悪くなったので妃於瑠は軽く話題を変更。「わ、今日はエッグベネディクトとサラダ、スープにフレンチトーストか。今日ゴーカだね…。張り切ってくれたの?紀於兄さん?」 「…。///ひ、久し振りに妃於が、食べたいって…、言ったから…。だって…、朝食食べるの3ヶ月ぶりだし、頑張ったんだよ…。」
「うん。有難う、紀於兄」「…どういたしまして。」
俺達は二人で笑った。