―黄昏に小さな夢を―
エルドの生きた証の話。
〈幻夢〜エルドSide〜〉
昔からわかっていた事だ。
若い内に消えてしまう命、それを引き延ばして無理に生きている、命なんだと。
小さい時、身体が急に重くなって一ヶ月寝込んだら、医者と父王が私が眠って、いると思っていたのか…、私の身体について話し合いをしていた。
「そんな…では、あの子が死ぬ迄、黙って見るしか、ないのですか?方法が…、あの子を救う方法があるのなら全て試したいのです」
「王のお命を半分頂ければ…寿命は延びて、おそらく五十歳迄は生きていられるかとは思われますが…。」
私は耳を疑った。父様の命を半分貰うだと?そんなの冗談じゃない。父様が早く死んでしまうではないか。
「父…様、私は命など…、いりません。父様に生きて頂きたいのです…。」
「エルド、気にはするな、お前は生きてくれよ…!」
「父様!?何したんです、父様の身体から力が抜けて私の身体に消えていく…」
「私の力をお前にあげたのだよ。…ただ、これでは、どれだけ生きられるか判らない。生きられるだけを、生きてくれ、エルドよ。」
「そんなっ…!う?うぁ、うぁぁぁあぁあぁぁぁあぁ…力がっ、逆流しようと…私に抗っているみたいだ。助けて、助けてくれ誰か」
「王…私はこれで。」
「まて!こんなに苦しんでいるエルドを置いたままで帰ると言うのか!お前は」
「大丈夫ですよ…息子が、これからずっと…死ぬまでエルド様に仕えますから」
「息子…とは?」
「ヒーリング一家初の…、一番能力者で御座います」
「ほぅ…それは頼もしい、エルドの身体を直ぐに楽にしてくれないか?このままと言うのはとても辛い。」
「わかりました。…リズ」
「はい…何でしょうか?」
「お前の主を、直ぐ楽にして差し上げなさい…。」
「はい…畏まりました。」
「うぅ…」苦しんでいる、エルドの身体に手を置いてリズダは呪文を唱える。
「私はこちらに居られる、エルド様に仕えます僕…。我の言葉を聞き入れ、我の主の身体を助けよ!力を主に授けよ!」
すうぅっと痛みが引いて、エルドの顔色は随分と良くなった。
「良かった…。エルド」
「お休みなさいませ…主」
十五年後。
「主…エドワード様がまた城を脱け出そうとしているようです。」
「またか…あいつは学習をしないのか。リズダ捕まえて来てくれ、あの馬鹿を」
「はい、主。」
と、その時ある手紙が舞い込んで来た。
「…?」
それは西軍に悪魔が入り、西軍が東軍の人間を三十人殺戮することを予告した、殺戮リストだった。
「予定変更だ、リズダ!!エドワードの部屋に行って来る。」
「…畏まりました。主。」
「…愛して…だよ。」
「だって…気がして。」
やっぱり、またも村人を、自分の部屋に入れている。
コンコン。
ノックして約15秒掛かりエドワードが返事した。
「誰だ…ガサドか?」
「私だよ…エドワード。」
「どうしたんですかエルド兄さん」
こいつは…反省と言う言葉なんて知らないんだろうな
「ふーんドアを開ける許可が降りるまで約15秒、といった所か。何か…!!…まあ、いい。それよりこれを見てみろよエドワード」
紙束を受け取りエドワードは読み上げつつリストを、読む。
「西軍による、東軍…殺戮リスト?バルト・シトリン・ネルラドとバルト・シトリン・ロイド兄妹…カリドス家なんて一家皆殺しじゃないか!!ハイザス・トパーズ・カルティ……あのカルティか!王立軍一番隊隊長で私と同い年のカルティまでも…そして後は殆ど、知らないな…」
当たり前だ。私は覚えたがそれは五年間掛かったんだ
「無理もない。後に書いてあるのは村人だから…、「!!…兄さん、これは本物のリスト!?」」
「残念だが本物だ。―直ぐに戦が始まる。」
エルドはエドワードに近づいて呟いた。
「―大事な奴なんだろう。命に替えても守れよ、そのハイリと言う奴を。」
東国島に悪魔が入り、戦が始まった。私も戦の準備をする。
「主…今、戦場に行けば、お命をすり減らします!」
「しかし行かねばなるまいそうだろ、リズダ?」
「…しかしっ!!」
リズダが感情を剥き出しにするのは珍しい。
「行って来るよ…リズダ!ちゃんと戻って来る。で、無理はしない。具合が悪くなったらすぐ戻るから。」
戦いは自分には確かに酷、そう、思い直す前にだいぶ怪我をしてしまった。
「くっ…!戻るか…な。」
ガクッと身体から力が抜けたが、それを支えるものが居た。
「エルド様…本当に無茶をしますよ!大丈夫ですか」
「ん……」
もう言葉を出すのも面倒。「!!ひとまず帰りますよエルド様…」
「た…のむ、リズダ…」
リズダに治療してもらって悪い状態からは脱出したが暫く安静と言う、一歩でも動いたら殺すぞ的な目で、リズダに睨まれた。
約束するとリズダは毛布を取りに出た。何でも、今、身体を暖め、治療に専念をしないと絶対に治らない、怪我があるらしい。
リズダが言うなら本当だと思うが、生憎休むと言う、概念は私にはない。
書類に目を通すぐらいならと、机の上の書類を取る。
読み始めて暫くすると目の前が微かに歪み、大きく、広くなり気分が悪くなった
「こんなに…ダメージが、酷かったのか。…そりゃ、リズダも怒るはずだわ」
ごめん…リズダ、ごめん。忠告、利けば良かったな。
「毛布持っ…エルド!?」
ドサッと毛布が落ちる音が微かに聞こえた。
「馬鹿っ!あれほど動くなと言った筈だ!なにやってんだ、エルド…馬鹿…!」
「ごめ…ん。忠告、利けば良かった。ごめんリズダ」
「もう喋るな治療する!」
リズダは頑張ってくれた。もうありがとうは言えないけれど。
ありがとう、今まで毎日。ありがとうなリズダ…。




