―黄昏時の夢・現代4―
〈現代〜遥斗Side〜〉
―。消エテヨ、目障リ。―
(響く。)
―。消エテヨメイデル。―
(頭の奥。)
―消エテヨオ願イダカラ―
(何かに。)
―消エロヨ!オ前ナンカ―
(共鳴する。)
「うわぁぁぁ!……何だ、夢か。」
それにしてはやけにリアルですぐにでも。―――――殺されてしまいかねない、妙な殺気を含む声で。
「大丈夫か!遥斗!?」
駆けつけてくれた優しい、長兄の瑞希を見て少しだけ安心した。
「何事ですか?遥斗さん、まだ朝の4時ですよ?」
おっとりとした次兄悠斗。
「何なんだ、この騒ぎは…遥?熱でも?」
「イヤ…違うけど………」
冷静な口調の三男、静希に心配され少し落ち着いた。
「ん、だよ!朝っぱらから発狂してんじゃねー!!」
バタンと音をさせて入って来たのは口の悪い四男海斗
何故か、兄弟が全員揃っていることにいつも以上の、安心を覚えた。 だから。
だから思わず、遥斗は…。泣いてしまったのだろう、と思う。
急に泣き出した遥斗を見て4人の兄は驚いた。
「うわ!どうした遥斗!」
「いきなり泣かれては私達状況が判りませんよ!?」
「…どうしたよ、遥斗?」
「!!ったく、あいっかわらず泣き虫な!お前は…」
「ごっ、ごめっ、…夢で、…夢の中の言葉と声をさ、聞いたら今にも…殺されてしまいそうで…怖かった」
そう言って4人の兄達は、口々に言った。
「たかが夢、だろ?」
「忘れてしまいなさいな」
二つの励ましと、
「夢なんか気にした方の、負けだぞ、遥斗」
一つの一般論と、
「お前馬鹿?馬鹿遥斗」
一つの悪口を。
「ん…。でも、」
「「気にすんなよな遥斗、笑顔、笑顔」」
「悩んでるなんてお前らしくねぇよ、遥斗」
「俺達はお前の味方だ。」
にっこりと優しく微笑んだ4人の兄を見て遥斗はもう一度寝ようとして…………諦めた。
「…目が覚めちゃったよ、兄貴…このまま朝ごはんを食べてでかけよ?」
「そうするか、なぁ皆?」
「愛美さんに美味しくて、栄養のあるものを作って、頂きましょうよ」
「…異議なし」
「いよっしゃー!」
五人は笑顔でリビングと、キッチンのある一階へと、降りて行った。