湖藍の蝶の死骸
【代償】
僕は醜い
僕が君の悲しみに
涙を流したとしても
それは決して
君のためじゃない
その証拠に僕は今まで君に薄っぺらい言葉しか
かけてこなかった
楽な方ばかりを選んで
このざまだ
君は先に行ってくれ
僕の屍を踏みしだき
躊躇わずに行ってくれ
それが君の糧となることを願っている
【白昼夢】
夢を見たんだ
目が覚めたとき
暖かい涙が頬を伝っていた
ひどく幸せな夢だった
これ以上ないほど 幸せな
取り返しのつかない
場所にある夢だった
【兄】
二年と九ヶ月
先に生まれただけのくせに
いつだってそうだ
彼は
人好きのする笑顔
嘘のない性格
非のつけようのない人柄
誰にだって優しい
弟にだって 優しい
なのに何故か
俺は あんたが
好きになれない
【区分】
男とか 女とか
大人とか 子供とか
白人とか 黒人とか
考えた奴は誰だ
俺は絶対に 死んだって
そんなことはしない
奴らがするのは
差別何かじゃない
狩だ
考えた奴らだけじゃない見ていただけのお前等も
何も出来なかった俺も
同罪だ
お前等の目は
暖かい日溜まりの中で
心地良さげに細まり
お前等の腕は
歓喜の声を上げながら
嬰児を抱きとめるだろう
変わらないんだ
お前等が見過ごした奴も
よく笑って
小さな幸せを噛みしめてた
確かに 違う部分もあっただがその溝を 何とかして埋めようと
していただろう
本当は分かってる
こんなものは
自分が何も
出来なかったことに対する
言い訳にすぎないんだ、て