静夜に沈む夜想曲
【魅力】
君に贈るものを
選んでいたんだ
君はとても我儘で
融通が利かないから
気に入らなかったら
捨ててしまうだろう
それほど
仲の良くない友人は
苦笑した
彼の恋人は
慎ましやかなひとで
僕の言う君のようなひとが想像もつかないらしい
でもね
彼の首に巻かれた
赤いマフラーは
はっきり言って頂けない
彼は間抜けなサンタ
みたいで
君にも見せてやりたかった
慎ましやかなひとには
魅力を感じないよ
君も
間抜けなサンタより
贈りものに頭を抱える
僕の方が魅力的だろ
【兄弟喧嘩】
どちらが悪いかなんて
決まっている
悪いのは
いつだって俺
いや これは俺が
捻くれているわけじゃなく実際そうなんだ
奴は呆れるほど
真面目人間だから
自分勝手なことなんて
出来るはずもなく
大体俺がふっかけてる
まあ 奴が怒っても
恐くはない
元々垂れ目だしな
それなのに
負けるんだよな
何故か 毎回
言っとくけど
俺が弱いわけじゃないぜ
奴以外には
負けたことなんて
ないからな
【だからね】
あのね
もうやめるんだ
彼女は
すまなささと 気不味さが半々の微笑みで
だからね
今まで ありがとうね
待って
意味が分からないよ
だから、て何が
説明になってないよ
もうやめた後なんて
そんなの知らなかった
ああ そっか
あなたとはそれほど
仲良くは
なかったんだね
【砂】
灼熱の太陽
何処までも続く路
緑地まであと少しだ
隊商の内の一人が呟く
ふと青い空を見上げると
黒い馬が翔んでいた
見事なもんだ
誰かが呟き
ありゃあ黒檀製に違いねぇ誰かが付け加えた
今日の夢は
また一段と変だな
と考える