無惨な赤い翅
【ある日】
ある日 ふと
思ったんだ
君は僕の何処が
好きなんだろう、て
僕は君の何処が
好きなんだろう、て
その時 気づいたんだ
僕は君を好きなはずで
君は僕を好きなはずなのに
どうしてか
どうでもよくなっていた
君が嫌いになったわけじゃない
他に大切なひとが
出来たわけでもない
君のことは
他人よりも 身近に感じる
でも 大切なひととの
距離感じゃ
なくなっていたんだ
ある日の昼下がり
気づいてしまった僕は
でも他人よりも
君を愛している僕は
君がそれに気づくまで
待っていることにする
【瞬間】
ひとは タイミングで
恋をする
運命で決められた
相手なんていなくて
誰も彼もが
適当な相手を引っ掛けて
恋をしてる
胡散臭い笑顔で 奴は
嘯いた
だからさ
俺にしなよ
君は俺の運命の相手
なんだからさ
大人しく引っ掛かって
くれないと困るんだ
いないと言った口で
何をほざくか
いや
そんな単語の羅列より先に言う言葉が あるはずだ
手厳しいね
ヤツはひどく楽しげに
笑いかけてきた
【赤い】
空に赤い色が 零れていた
友人としての
好きなのか
家族に対する慈愛に似た
好きなのか
人間として 尊敬出来る
好きなのか
少なくとも
最後のはないかな
と思う