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AIの本棚 本当はやめろよ!と言いたいけど他  作者: 村松希美


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3 転校生ひかり、神様の秘密





1 転校生はひかり






 小学5年生の教室のドアがガラリと開き、新しい風が吹き込んできた。転校生がやってきたのだ。彼女の名前はひかり。三つ編みにした長い髪は少しボサボサで、着ている服はどこかお下がりのようにくたびれていた。先生が「ひかりさんは勉強も運動も得意です」と紹介しても、クラスのみんなの反応は鈍かった。和也は、そんなひかりの姿をじっと見ていた。彼女は決して周りを気にする様子もなく、ただ静かに微笑んでいる。


ひかりは確かに勉強ができた。クラスの誰も解けない算数の問題を、すらすらと解いてみせる。だが、その頭脳とは裏腹に、彼女の見た目はからかいの対象となった。「ひかりん、今日もその服?」「三つ編み、重そうだね」。心ない言葉が教室に飛び交う。和也は居心地が悪かった。けれど、彼には分かっていた。ひかりは悪い子なんかじゃない。なぜなら、彼女は飼育係として、いつも動物たちに囲まれていたからだ。うさぎやモルモットは、ひかりが来ると嬉しそうに駆け寄り、彼女の指を甘噛みする。動物たちは、ひかりの心の優しさを知っていた。








2 飼育小屋での秘密の時間






 放課後、クラスの誰もいなくなった校庭で、和也は飼育小屋へと向かった。そこには、ひかりが一人、動物たちと戯れていた。和也は「卑怯だ」と自分を責める。なぜなら、こうして誰もいない場所でしか、ひかりに話しかけることができないからだ。


「ひかりさん、また動物たちと遊んでるんだね」


和也の声に、ひかりは振り向いてにっこり笑った。その笑顔は、教室で見せる静かな微笑みとは違い、とても生き生きとしていた。「うん。動物たちは嘘をつかないから、安心するの」。ひかりの言葉に、和也は胸が締め付けられた。ひかりは、人の心が読めるのかもしれない。和也の心の中の「卑怯だ」という葛藤も、すべてお見通しなのだろう。でも、ひかりは何も言わない。ただただ優しく、動物たちの毛を撫でていた。和也は、もっと堂々と彼女と話せる勇気がほしいと強く願った。








3 教室での出来事






 ある日の休み時間、数人の男子がひかりの机を囲んで、また面白がって悪口を言っていた。「ひかりんって、なんか臭くない?」「貧乏くさくて近寄れないよ」。心臓がドクンと鳴った。和也は何も言えなかった。反論したいのに、言葉が出ない。ひかりは俯いたまま、ただじっと耐えていた。


休み時間が終わり、男子たちが去った後、和也はひかりに駆け寄った。「どうして何も言い返さないの?」。和也の問いかけに、ひかりは顔を上げ、少し寂しそうに微笑んだ。「だって、本当に大切なものは、目に見えないものでしょう?」。その言葉は、和也の心に深く突き刺さった。








4 和也の決意






 その夜、和也は眠れなかった。ひかりの言葉が頭から離れない。本当に大切なものは、目に見えないもの。そうだ、ひかりの優しさや、動物たちを愛する心は、誰にも見えないのだ。それなのに、みんなは服や髪といった、目に見えるものだけで彼女を判断している。もう逃げない。もう自分を卑怯だなんて思わない。


次の日、和也は勇気を出した。授業が終わって、男子たちがまたひかりをからかい始めたとき、和也は立ち上がって大声で叫んだ。「やめろよ!ひかりはそんなんじゃない!」。クラスのみんなが驚いて和也を見た。中には冷たい視線もあった。けれど、和也はひるまなかった。


「ひかりは、僕たちが気づかない心の優しさを持ってるんだ。動物たちだって、ひかりのことが大好きだ。そういう大事なこと、なんで見てあげないんだよ!」。


クラスは静まり返った。和也の言葉は、みんなの心に何かを響かせたようだった。ひかりは、和也のまっすぐな眼差しをじっと見つめ、そして、初めて教室で満面の笑みを見せた。








5 ひかりの別れ






 それから、ひかりをからかう声は聞こえなくなった。和也は毎日、堂々とひかりと話をした。クラスの中には、少しずつひかりに話しかける子も出てきた。和也は、自分が見つけたひかりの優しさが、少しずつみんなに伝わっていくのが嬉しかった。


しかし、ある朝、ひかりが学校に来なかった。先生は「家族の都合で急に転校することになりました」と告げた。あまりにも突然のことに、和也は呆然とした。ひかりの机には、彼女がいつも持ち歩いていた、和也が可愛がっていたモルモットの絵が描かれた小さなスケッチブックと、和也の名前が書かれた封筒が置かれていた。


手紙には、ひかりの美しい文字でこう書かれていた。


『和也くん、あなたと出会えて、私は本当に嬉しかった。あなたのおかげで、私は次の場所に旅立つことができました。今までありがとう。』








6 ひかりの真実と和也の成長






 その手紙の最後には、こう記されていた。


『P.S. 私はね、人の心の奥底にある「優しさ」を育むために地上に降りてきた、小さな神様だったんだよ。目に見えるものに惑わされず、大切な心を見つけてくれる、和也のような子を探していたの。』


和也は、手紙を何度も読み返した。信じられない気持ちと、納得する気持ちが同時に押し寄せてきた。ひかりは神様だった。だから、人の心を見抜くことができたのだ。そして、自分を卑怯だと責めていた和也の心の中に、確かな光を見つけてくれたのだ。


ひかりはいなくなった。けれど、和也の心の中には、永遠に消えないひかりの光が灯っている。もう卑怯な自分ではない。胸を張って、目に見えるものに囚われず、大切なものを見つけられる自分になった。


ひかりは今、またどこかの街で、傷ついた心を持つ子に優しさを育んでいるのかもしれない。そして、いつかその優しさが、新しい光となって広がっていくことを、和也は信じている。







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