15 黄昏と息切れした若葉
春の終わりの公園。
風にあおられたエコバッグが芝生を転がり、少年は思わずそれを追いかけた。
「ありがとうございます」
ベンチに座る老婆は、少し息を切らしながら微笑んだ。
少年は軽く会釈をして立ち去ろうとしたが、なぜか足が止まった。
黄昏の光が、若葉を透かしている。
「君は元気ね。走るのが速いわ」
少年は曖昧に笑った。
「別に……」
しばらく沈黙が落ちる。
やがて少年は、ぽつりとこぼした。
「学校に行ってないんです。……将来、レールから外れたらどうしようって」
老婆は驚かない。
「若いときはね、みんなそう思うものよ。社会のレールから脱落したら終わりだって」
少年は顔を上げる。
「でもね」
老婆はゆっくり続けた。
「歳を取ると分かるのよ。そんなこと、取るに足らないって。
大事なのは、自分で歩けること。ご飯を食べられること。それだけで、ありがたいの」
少年は戸惑った。
「でも……バカにされたり、蔑まれたりするのは嫌です」
老婆は小さく笑った。
「まじめに生きているのにバカにする人がいたら、その人が未熟なのよ。
多くは嫉妬か、自分のやりきれない気持ちをぶつけているだけ」
少年はスマホを握りしめる。
「文字で言われると……堪えます」
「ええ。文字は残るものね。でもね、それはあなたの価値じゃない。
今は不登校も、自分を守る手段よ。昔は熱がなければ学校に行け、心のケアなんてなかった。でも時代は違うの」
風が吹く。
若葉が揺れる。
「才能がなくてもいいのよ」
老婆は空を見上げた。
「才能は天からのギフト。でもね、得意なことがなくても、自分で自分の機嫌をとって、人に親切にできたら、それで十分な人生よ」
少年は黙ったまま、公園の鳩を見つめる。
「成功しても幸せとは限らないわ。妬みもある。
でも、歩けて、ご飯を食べて、今日を生きられれば、それでいいの」
遠くで子どもたちの笑い声がした。
「私が若い頃はね」
老婆は少し懐かしそうに言う。
「テレビの最終回で泣いて、抗議の電話をしたり、アニメの登場人物のお葬式を開いたりしたものよ。みんな本気で感動していた」
少年は少し笑った。
「今は炎上とか、誹謗中傷とか……」
「ええ。でも人の心は昔も今も同じよ。ただ表れ方が違うだけ」
沈黙。
黄昏が濃くなる。
少年はふと思った。
――この人は、学校に行かなくてもいい。
自由だ。
だが老婆は思っていた。
――あの子は健康だ。走れる。未来がある。
互いに、少しだけ羨ましい。
けれど、ほんの少しだけ分かり合った気もした。
少年は立ち上がる。
「……ありがとうございました」
胸の奥の息切れが、わずかに和らいでいる。
社会のレールは、まだ怖い。
けれど、今日を生きることだけなら、できそうな気がした。
黄昏の光の中、若葉はまだ揺れていた。
アイデアを出してAIが書きました。
若い頃の悩みは社会的価値観などが多いでしょうが、
年齢を重ねると健康第一になってきます。
子どもたちや若者は生きづらい時代かも知れないですが、人生何とかなりますよ。




