第十四話 中国
やっぱバトルはチマチマしちゃダメですね。
ビルとか街とか常識とか、そういう物ぶち壊しながら書かないとダメなんすよ。
桜子は、目の前にいる戟を持った女——黒いマンダリンドレスに身を包み、団子2つに纏めた髪の毛が特徴的な相手——梅に対し、刀を抜く様子は愚か、戦意すら見せずに立つ。
その様に、梅は強い苛立ちを隠す事なく走り出した。強く地面を踏み込み、戟を振るう為に腰を捻った。
自身と戦闘への愚弄。彼女にとって、相手が本気を出さずに戦う事は軽蔑行為でしかなく、桜子が刀を抜かないと宣告したその瞬間に、梅の思考は一色に染まっていた。
『この女に、刀を抜かせる』。
振りかぶる戟の風切り音が、両者の耳に入る。桜子は目の前に来た梅を見て、ようやく刀の柄を手に取った。
梅はその瞬間に、口角を高く上げる。彼女の手の動きは、刀を抜く予備動作であった為である。不足がないと判じ、梅は戟を振り下ろした。
桜子は振り被られた相手の戟を認めると、手にしていた柄を握り込んで、柄を抜いた。
その瞬間、梅の思考は数秒止まる。目の前に現れたのは、刀の切先ではなく槍の穂先であった。振り被ったはずの戟の柄は鞘で弾かれ、銀に輝く穂先がやけに緩やかに走っていた。
「ギッ……!」
防ぐ術もなく梅の肩に突き刺さった穂先を、桜子は思い切り力を込めて振り下ろす。
マンダリンドレスの一部が裂け、そこから留め具の部分が赤黒く染まっていった。胸を抑えると、生温かい血が激しく流れている。
「ッ……!お前ッ……!!」
梅が凄まじい形相で、桜子の方を睨み付ける。桜子はその視線に眉1つ動かす事なく、ただ黙って地に伏せる梅を見つめていた。
——桜子の『暈』の一つである雲絶は、可変型の刀である。一般的には仕込み刀と呼ばれる物であるが、その仕組みがまるで異なっており、鍔を回す事によって、その用途を刀か短槍かに切り替える事が出来る。短槍とは言うものの、その長さは刀と同じ——柄から鐺までしかない為、槍としての運用すら厳しいものである。
無論、本来桜子は刀を使う『天使』である為、槍として雲絶を運用する場合、その力は刀より数段劣る。
それを理解した上で、桜子は『刀を抜かない』選択をした。それが桜子なりの、最後まで戦ったマルゲリータに対する手向けであり、人の尊厳を踏み躙って相手を殺した梅に対する敵意の向け方であった。
梅は初めて桜子から向けられた、歴とした具体的な殺意——10年前、普く『天使』に刀と殺意を向けていた桜子からは、向けられる事のなかった、『自分』という個人に対する敵意と殺意——に、思わず戟の握る手を強くする。
何故なら。死への恐怖、それを乗り越えて敵を殺す事が、梅号にとっての戦争であるから。死と相対し、その末に生を勝ち取る事が、彼女の遊戯であるから。
桜子は深い溜息と共に歩き出し、刀の持ち方を変えた。この戦いでは刀を抜かない。であるなら、打刀としての持ち方ではなく、太刀の持ち方である方が、槍として動かすには適している。
梅は地に伏した状態から戟を手にして飛び上がり、そのまま振り被る。梅の動きは早かった。彼女は侮辱に加え、与えられた傷が合わさり、凄まじい怒りを抱いていた。桜子という最強格の『天使』を目の前に、闘える悦びではなく、侮られた怒りをぶつけている。煮えたぎる怒りを示すように、歯を食い縛りながら戟を振るった。
桜子は振るわれた戟を、鍔の僅かな突起で跳ね除けると、手の内で刀を回しながら穂先を脇腹に入れ、引いて斬り裂いた。桜子は足を踏み込んで腰を捻り、梅の脇腹へ回し蹴りを喰らわせる。
脚力で瞬間的に弾き飛ばされた梅は、その場から柱と衝突した。強く叩き付けられた梅は、柱を破壊しながら地面に着弾する。
「グッ……!クソがッ!!」
黒い髪とマンダリンドレスに付いた砂埃と共に、梅は建物の中からゆっくりと出てくる。目の前には、赤い視線を自分に向けるセーラー服の少女が立っていた。
梅はその風貌に、無性に怒りを抱いた。
「何故ッ……刀を抜かない!!」
その質問に対して、桜子は深い溜息を吐いた後、ゆっくりと視線を逸らしながら嘲笑を含んだ声色で告げる。
「はーあ……馬鹿な女ね。何で私が貴女なんかに刀を抜いてあげないといけないのよ」
桜子はそう言って、長い髪を邪魔臭そうに掻き上げる。そのまま垂れてきた艶のある黒髪を耳に掛ける。
「……はァ?」
梅は青筋を立てて桜子に問い返す。桜子は親指の爪を掻きながら呟き始める。
「私が刀を抜くのは、真っ当に戦おうとする人だけ。それとも何? 私に本気を出してもらえるとでも思ったの?」
桜子はそう言うと、刀の柄であった部分の穂先を向け、梅に告げた。
「生憎、戦を愚弄する奴に抜く刀はない」
梅はその言葉を耳にした瞬間、桜子への殺意が一気に膨れ上がった。
「……杀你。樱花」
梅は黄金の瞳を爛々と輝かせ、戟を構える。次の瞬間。梅はその場に足を踏み込むと、そのまま前傾の姿勢となり、桜子の方へ突進した。
弾丸となったその黒い塊は、持っていた戟を振り翳し、目の前の桜子へ思い切りぶつける。
桜子はそれを鍔で受け止めるが、その膂力に押し負け、上へと弾き飛ばされてしまった。辺り一帯に広がる、砂埃と重低音。物体が凄まじい勢いで吹き飛ばされた時に生じる風圧と音が、廃墟である九龍城砦全体に響いた。
梅は飛ばされた桜子を認めると、すぐに同高度にまで飛翔し、追撃せんと戟を振り被る。桜子は飛ばされながら、こちらに向けて戟を振り翳す梅を視認し、思い出した。
(そうね。貴女の2つ名は、その凄まじい身体能力から来てる……。狂い咲く花、『狂梅花』——)
傷跡がくっきりと見える中で、自分を殺そうと必死になっている表情を浮かべた哀れな戦闘狂。死と隣り合わせの戦闘でしか、自分の生と喜びを見出せなかった、狂った『天使』に、桜子は静かに顔を顰めた。
「——だから嫌いなのよ」
振り翳された戟を受け止めると同時に、下へ叩き付けられる。廃ビルの方へ弾き飛ばされた桜子は、壁を突き破りビル内部へと突っ込んだ。
梅は吹き飛ばした桜子を確認する為、そのビルに着地する——それと同時に、黒い影が自身の目の前を横切った。
その瞬間。足を置いていた筈のその場所から、自分が空中へ放り出された事を理解した。
「はっ?」
梅は自分が突き飛ばされたのだと理解すると同時に、上から武器を振り被る桜子が見えた。咄嗟に戟を構え、衝撃に備える。
黒く麗しい髪が、扇形に広がっている。その隙間から太陽の光が緩やかに降り注いでいる。
——瞬間。自分の身体が叩き付けられたのを理解すると同時に、壁を突き破って建物の中に入った事を理解した。建物こそ違えど、状況は桜子のそれと全く同じであった。
壁にぶち当たり、自身の速度が止まったと同時に、自分の入ってきた入口から桜子が歩いて来ているのを見た。
「受け身も取れないの? 本当に考えてないのね」
「ッ!黙れ!!」
梅は桜子へ戟を振り翳す。桜子は刀の鐺と鍔を持ち、槍と同じように構えた。振り翳された戟の穂先を弾き返し、腰を捻りながら鐺を振い、梅の頬へぶつける。桜子はそのまま梅の胸倉を掴むと少しだけ上に持ち上げた。僅かな浮遊の後、桜子は刀を回して梅の腹部に槍の持ち手——刀の鞘を叩き付ける。
風圧と共に、梅の身体は吹き飛ばされた。再びビルの壁を突き破り、隣のビルにまで到達する。
「グッ……!」
地面に叩き付けられた梅が身体を起こそうとしたその瞬間、天井が突き破られた。天井の瓦礫と共に降ってきたのは、刀を持ったセーラー服の少女——桜子であった。
そのまま、鐺を梅の腹部へ突き立てる形で落ちてきた桜子と共に、ビルの床はその加圧に耐え切れず底が抜ける。そのまま数階層分落ち切り、両者の動きは止まる。
その瞬間、梅は充血させた目を限界まで開くと、手に置いていた戟を握り込み、そのまま膂力で振り切った。桜子はそれを見て戟の一撃を受け止めるも、その力任せな戟による反動で僅かに体勢が崩れる。
桜子が体勢を整える為に、姿勢を低くすると、梅は戟を構えて走り出した。桜子は雲絶を強く握り込んで構えると同時に、飛んで来た梅の戟を穂先と鍔で受け止める。
その勢いで壁に追い込まれた桜子は、そのまま壁を蹴って梅の背後を取った。梅もまたそれに気付き、戟を振りながら腰を捻って身を翻す。
身体の翻しと同時に振り切られた戟を、桜子は受け止める。穂先で受け止めた事による、鈍い金属音と振動が手に伝わると同時に、梅は石突を桜子に向けて距離を取らせる。
その隙を突いて、梅は自身の身体の流れを使いながら戟を振い始めた。桜子はそれを目で追いながら、槍の構えを崩す事なく弾いて受け流す。
脚と身をこなしながら、流れるように戟を振るう最中で、彼女は脚力で飛び上がって半円状に戟を桜子に向けて振り翳した。遠心力と加重に耐え切れず、桜子の体勢は腰から倒れ込むように著しく下がる。
その瞬間に、梅は脚を思い切り上に上げ、桜子の頭目掛けて踵を落とした。
——桜子はそれに舌打ちをしながら、直前で隣に倒れ込んで受け身を取ると、穂先で膝裏に一太刀入れた。
斬る動作の勢いに任せて、桜子は転がりながら距離を取る。そのまま立ち上がり、膝裏から血を流す梅と対峙した。
「……あら」
鋭さ故に斬られた事に気付かなかった梅は、足裏に伝う血の流れから、あの状況で反撃を喰らった事に気付く。
桜子は膝に付いた砂を叩き落とすと共に、梅に視線を合わせた。両者は一言も言葉を交わさず、その場で武器を構え始める。
梅は手の内で戟を回し、柄を背に付ける形で構える。桜子は鍔を指に掛け、鐺を掴んで穂先を梅に向けた。
両者が構え、数秒経った瞬間。梅と桜子はその場で踏み込み、接近と同時に構えていた武器を振り翳した。
梅の戟が桜子の上から振り下されるのを視認しながら桜子はそれを受け止める。受け止めた状態から、切り返すように戟の位置を下に変えると、鍔で戟の柄を固める形で抑え込む。
そのまま鞘を滑らせるように桜子は穂先を梅の腹目掛けて槍を突こうとした——瞬間に、梅は腰を捻ってその突きを躱し、そのまま足の動きで桜子と背中合わせになった。
桜子は背後を取られたと察知するや否や、すぐさまその場から離れる。初めと真逆の位置に置かれた両者は、再び武器を構える。
今度は構えと同時に梅が接近してきた。ある程度接近すると、梅は手の中で戟を回しながら手前で地面に叩き付けるように武器を手放し、そのまま桜子の方へ足を進める。桜子はその意図を察すると、鐺の持ち手を変えた。
梅は桜子の手前まで来ると、叩き付けの跳ね返りで空中にあった戟を手に取り、その勢いのまま地面を蹴って身体を捻り、それを桜子へ叩き付けた。
桜子は流れと共に繰り出されたその飛翔の一撃を鍔で受け止めて弾き返す。そのまま桜子は、梅の喉元目掛けて持っていた鐺を動かした。梅はそれを躱す為、桜子の鳩尾に蹴りを一発入れた。
足指を握り込むように丸めそのまま勢い良く出されたそれは桜子を直撃して、彼女を突き飛ばした事で両者の距離を確保した。桜子は蹴りを入れられた鳩尾がまだ痛む事に気付き、そこに触れる。
(……折れてる。他国の拳法は分からないから厄介ね……)
桜子は動けない程ではないと判じ、攻撃の受け方を考え始める。
(力の集中が一点に集まってた……打撃系は受けない方が無難ね)
桜子は梅の方を見ながら、雲絶を骨折した鳩尾を守るように構える。
再び対峙した梅は脚を踏み込むと同時に、かなりの前傾姿勢で桜子の方へと突進してきた。
接近の最中で手の中で戟を回しながら、下半分を持つ事で遠心力を利用し、長柄のそれを振り翳す。
風切り音と共に飛んで来た穂先を桜子が弾き返すと、梅はその反動を利用して柄の石突を彼女に向けて振るった。逆の方から飛んでくる石突を、鞘で受け止めてしまった事に気付いた桜子は、受け止めた柄を鍔と手で固定すると、そのまま鐺で梅の顎を叩き割った。
梅がその衝撃で怯んだ事を視認すると、桜子は梅の胸倉を掴み、ビルの窓目掛けて彼女の身体をぶん投げる。
「割れてないわよね……!?」
硝子の割れる音と共に、梅の叫び声が響くビルの中で、桜子は雲絶の状態を確認する。割れてはいなかったが、今までのダメージを考えると、この戦いで鞘が壊れる可能性が高いと察した桜子は、割れた窓硝子を見る。溜息と共に下に落ちた梅の後を追う為に、そこから飛び降りた。
着地と同時に目に見えたのは、戟を支えにしながら起き上がる途中の梅であり、桜子はそれを見て深呼吸をしながら悪態を吐く。……悪人であろうとも人を踏み躙る事に慣れていない、彼女らしい仕草であった。
「……落ちる時の風で頭が冷えたかしら」
よろめきながら立ち上がる梅に、桜子は着地の時に乱れた髪の毛を整えながら、嘲笑する口調で言葉を続ける。
「まだ立てる元気はあるのね……それとも執念、というか貴女の性癖?」
桜子はそう言いながら、梅の方を見る。覚束ない立ち方ながらも、その目にはまだ闘志があった。
梅は胸と腹に感じる痛みを呼吸で押さえ込みながら、桜子を視界に捉える。そうして、突如口角を上げて笑い声を漏らす。
「フフ、ハハッ!そうよネェ、ウチは『これ』を求めてたのヨ。……やっぱり貴女は特別ネ」
梅は金の瞳を爛々と輝かせながら、桜子に戟を向ける。次の瞬間、地面を蹴って桜子に接近し、彼女に向けて戟を振り翳す。
桜子はそれを認めると、雲絶を構えて戟の穂先を受け止めた。それと同時に、凶暴な牙から梅が言葉を紡いだ。
「ウチは貴女の首を刎ねる。……そう、これでウチがアンタを殺した時、どれだけ気持ち良くなれるか楽しみよ!樱花!!」
充血した目に、荒々しく短い息。脳の血管がはち切れそうな程に興奮しているであろう梅の言動は、正しくあるべき『天使』の姿であり——仮にもこれと同じである事に、桜子は強い嫌悪感を抱き、聞こえない程度の声量で一言呟いた。
「……馬鹿な女」
桜子はそう言って受け止めた戟を弾くと、梅とは全く異なる静かな瞳を彼女に向けながら言い放つ。
「……ならお望み通り、戦って殺してあげるわ」
赤く輝き、重圧を放つそれは、見る者の恐怖と闘争を煽る——『鬼』の瞳であった。
梅は向けられたその視線に、思わず背筋が冷たくなった。死の匂いが、自分のすぐ隣で香っている。
***
国防省の次官室にて、左を始めとした4人の官僚が室長である常磐の席を囲んでいた。
印刷した書類を読み合いながら、左が初めの頁に戻って常磐に告げる。
「——報告は以上です」
そこから、溜息を吐いてから手に持っていたそれの中で最も重要な情報を繰り返した。
「梅号による損壊、漂着させられたマルゲリータ号を、桜子号が介錯した一連の流れですが、ナチスが噛み付いてますね」
左がそう言うと、その場にいる官僚は皆頭を抱えた。しかし、各々抱える理由は異なっていた。特に園咲と桐生は何かを考えるかのようにぶつぶつと言葉を吐きながら頭を抱えている。
呟く後輩2人を見ながら、左は常磐へ言葉を続ける。
「ナチスも桜子号の行いを理解しています。ただ、体裁だけ見れば我々は同盟を裏切った……」
左がそこまで言うと、園咲がやや大きな独り言を呟いた。
「その口実を使って、宣戦布告をする……んでしょうね」
静かになった室内に気まずくなったのか、園咲は頭を下げる。左はそれを一瞥し、言葉を続ける。
「ナチスの目的はアジア全土です。コルンブルメ号とパトソールチニチク号の因縁は、個人間も去ることながら、国家間でもありますので……」
左がそこまで言うと、彼は溜息と共に言葉を続けた。
「このままであれば、ナチスは確実にロシアとの戦争をします。その為にアジアの領土が必要になる」
そう言い切ると同時に、その場にいた官僚は険しい顔をしながら、その言葉の意味を咀嚼する。
「いずれにしろ、ナチスドイツ——コルンブルメ号とは戦う事になると……」
常磐がそう呟きながら資料を置くと、左を始めとした他の4人も資料を置いた。それと同時に、左は腕に付けていた時計を確認しながら常磐に話を続ける。
「それと、火野についてですが——」
——左が言葉を発したその時である。次官室に、蝶番の音が響いた。その音に、次官を囲んでいた官僚の面々が一斉にその方向へ視線を遣る。
その視線の先には、スーツを着た4人組が立っていた。そのまま先頭にいた壮年の男は、入口から最も直線上に居る相手——常磐に対して銃弾を放った。
常磐は銃口が自分に向けられた事を悟ると、すぐに首を動かして弾丸を避けた。壁に埋め込まれた鉛玉を気にしつつ、常磐は再び入口へ向き直る。
先程発砲した壮年の男は、低い声で言い放つ。
「動くな、官僚共」
それに対し、常磐は眼鏡を直しながらしばしば考えるように目を動かすと、溜息を吐いて答えた。
「……君達の目的は概ね理解した。だが、この場において有利なのは我々である事を忘れるなよ」
常磐の周りに居た官僚は、皆背広の内に隠していた銃を手に取っており、いつでも抜き撃つ事が出来ると威嚇している。
報告会であった筈のこの場が、一瞬にして殺伐とした恐ろしい緊張の舞台へと様変わりした。
「それで、何の用かな。——『中国共産党』の諸君」
常磐がそう言うと、先頭の男は銃のグリップを強く握り込みながら静かに答えた。
「見て分からないか? お前達を殺しに来た」
緊迫した空間の中に、答えが投じられる。しかし官僚達はその答えに動じる事なく、腕に力を込めた。
次官室にいる全員の表情が、冷たさを帯びていった。
今更ですが、梅の『暈』の名前は棍が『春暁』、戟が『桃花源記』です。
どうしてもタイミングがなかったのでここに残しておきます。




