かわいそ?
オレには関係のないことだからと割り切って、しばらく夏葉と葉山のことは、そっと見守ろうと思う。
そしてオレは、勉強とバイトを無心に頑張ろうと決めて、バイト先へと向かって自転車置き場で自転車をとめていた。
そしたらちょうど佐藤さんも来て、元気よくオレに挨拶してくれたから、オレも挨拶をかえして、たわいもない会話をしていたら、ゲームの話へとかわった。
最近ハマってるゲームがあるらしくて、自分の絵がキャラクターとして活躍するんだとかで、すごく絵の上手い女の子と出会ったって教えてくれた。
「えっ、どんな絵⁉︎」
オレは思わず佐藤さんの両肩をおさえて、がっつり向き合った。
「えと…てか急にどうした…の?」
佐藤さんがめっちゃ困っていた。
「あ、ごめん…つい」
「ううん。ゲーム興味あるんだ?今度詳しく教えてあげる。それより遅刻しちゃう」
「えっ、あーごめん…急ごう。」
オレたちは、慌ただしくバイトへ向かった。
絵の上手い女の子って…
夏葉かな?って、一瞬思ってしまった。
絵の上手い人なんて、たくさんいるのに…
夏葉のことは、そっとしておこうって決めた矢先なのに…
てか、次の日…
オレは見てしまった、、
朝、葉山とユリさんが電車に一緒に乗っているところを…
やっぱり二人って…
夏葉って…このこと知ってるのかな。
後々、修羅場になるくらいなら…
今日は学校だったけど、バイトが休みだったので夏葉の帰りを待っていた。
玄関での待ち伏せは、夏葉がビビるから夏葉の自転車がとまっているのを確認してから、夏葉の家に行くことにした。
しばらくすると、自転車の音がガシャんとしたので、夏葉がご帰宅ですね。
夏葉宅のチャイムをならそうとしたら、いきなり夏葉が玄関から登場した。
「おぅ、今そっち行こうとしてたんだ」
「なんで?」
「あのさ、オレ…今朝みたんだよ…」
「……そ、そんな話、聞きたくない‼︎わざわざそんなこと言うのってどうなの⁉︎帰ってよ‼︎」
夏葉は、家に戻ってしまった。
夏葉…
もしかして葉山とユリさんのこと、気づいているんじゃ…
なのでオレは、葉山に連絡した。
電話は、あいにく繋がらなかったので文字で伝えた。
(二股は、よくないよね?)
って。
すると葉山は、意外と返信が早く
(当たり前でしょ)
ってきた。
当たり前…
葉山は、どういうつもりでこんなことをしているのだろう。
(こんなこと言ったら、ユリに怒られるかもだけど…莉央人欲張りすぎだよね)
ってきた。
欲張り…?
いや、二股してる葉山の方が欲張りやん…
(それは、葉山じゃん)
(オレは、ひとすじだよ?)
…
あー、葉山はユリさんとよりを戻したんじゃなくて、友達に戻ったってことか?
オレ…勘違いしてたんだな。
さっき、夏葉にいらんこと言わなくてよかったー…。
(そっか。ごめん)
(いいよ、それより莉央人もよく考えなよー。じゃあねーん)
って、終了した。
オレは…またやってしまった。
よく考えなよって…
幼馴染のこと、つけ回し過ぎって忠告だよね?
葉山くん…ごめんなさい。
元カノといたからって、浮気だの二股だのって勘違いいたしました。
別れても友達ってこと、あるもんね…。
夏葉に言わなくてほんとよかったわー。
それからよく、葉山とユリさんが一緒にいるところを見かけるようになった。
まぁ、友達なら一緒にいてもね…変じゃないけど…
でも、夏葉と葉山が一緒にいるのって…あんまり見かけない。
ってか、基本…夏葉がうどん屋から出てくるのを頻繁に見かける…。
夏葉は、うどんと付き合ってるのか⁉︎ってな勢いです。
当然そんなこと、あるわけないけど、、
でもさ、やっぱり葉山とユリさんって一緒にいすぎな気がする…。
って思っていたある日…
二人が駅で手を繋いでいたんだ。
だからオレは思わず、
「あのさ、二人って…そういうことだよね」
って後ろから声をかけた。
すると二人は、慌てて手を離して…
「なに?」
ってユリさんが一瞬オレを睨んだあと…
「あー、久しぶりだねー」
って微笑んだ。
でも、ユリさん…目が笑ってないってオレは一瞬でわかったよ。
葉山は、オロオロしてた。
「あー…莉央人…」
「やっぱり二人ってそういうこと?」
オレの質問にユリさんは、
「あのさ、そんなにうちらが気になる?ってか、莉央人くんは、うちらの仲よりも夏葉が気になって仕方ないって感じがするけど、どうなの?」
と、オレを睨んだ。
「そうだよ‼︎夏葉が心配なんだよ‼︎二人の目的は、なんだよ⁉︎」
「へー、夏葉のことそんなに気になるんだ?かわいそ」
…かわいそ?
だれが?なんで?
「それってどういう意味?」
「おい…ユリ…言い過ぎ…」
となりで葉山くんは、オロオロするばかりだった。
「夏葉が‼︎夏葉は、ふびんだよねって意味‼︎以上。じゃ」
ユリさんがツカツカと行ってしまった。
それを追うように葉山もついていき、一旦オレの方を葉山が向いて、
「あとで、すべて話すから…だからごめんな!」
と、手を合わせてユリさんのところへ行ってしまった。
…
え、なに?
続く。