返信
祭り…
夏葉は、彼氏と行ったんだよね?
もしかして…
葉山とユリさんがより戻した?
…
「おーい、莉央人ー‼︎」
バイト仲間から危うくはぐれてしまうところだった。
お祭りではぐれるのは、なかなか危険です。
だって、電波が悪くてなかなか連絡つかないし、電話つながっても聞こえが悪かったりするからね。
さっきオレが見たのは…ユリさんで間違いない。
でも、一緒にいた相手は…たぶん葉山じゃないだろう。
…
そう言い聞かせて、お祭りを堪能した。
お祭りというか、出店を堪能したとでも言おうか。
おかげさまで、本日バイトした分の時給をすべて、屋台の食い物に使い果たしてしまった…。
いや、むしろ今日働いた分以上のお金を使ってしまった。
なんなら、別に食べたくもないフルーツ飴まで、二本も買ってしまった。
…
オレ、あんまり甘いの食わないけどね…
うかれたよね。
そんな祭りで浮かれたオレは、帰り道信号待ちをしながら、自転車のカゴからフルーツ飴を一本だして、無意味にフルフル飴を踊らせた。
フルフルフルフル
…つまらん。
そんなつまらないことをしていたら、ふと視線をどこからともなく感じた。
⁉︎
えっ…?
視線の方を見ると…
夏葉⁉︎
「…あっ、おっす」
「どうもー…、ずいぶん楽しそうですねー」
と、冷たい視線を浴びせてくる夏葉。
冷たい視線をこんなに浴びたことが、これまでありました?ってくらい浴び浴びです。
紫外線より強い気がするんですけど…
夏葉は、オレの知らないところで…またすごい技を取得していたようです。
必殺、冷たい視線攻撃‼︎
みたいな。
…
オレは…防御もなんにもしていなかったので、おおいにくらった。
これからは、オレも何か必殺技を身につけようか…
いや、その前にこの冷たい視線攻撃をどう打破するべきか…
「あの、よかったらフルーツ飴…食べる?」
「いらない。二人の甘い思い出の品なんて絶対いらない。じゃ」
と、夏葉は信号が青になると同時に行ってしまった。
甘い思い出の品?
ってか…二人?
オレと夏葉⁇
…
それとも…
…
だれっ?
二人…
「…え、待って‼︎夏葉、今日お祭り行ったー⁉︎」
夜の静かなまちにオレの声が響いた。
すると夏葉は振り返り、
「行くわけないっ‼︎」
っ少しプチ怒りでいい、行ってしまった。
二人…?
オレはユリさんがだれとお祭りに行ったのか気になった。
だから葉山に連絡してみた。
(祭り行った?)
って。
そしたら、まさかの…
(もしかして、ヤキモチ?)
ってきた。
祭り行った?って聞いてるのに…
(今、だれといる?)
…
返信がまたパタリととまった。
そして二時間後…
(ひとりだけど?)
ってきた。
…いまさら
葉山もユリさんも、なんかおかしい…
もしかして二人って、まだ付き合ってんじゃね?
夏葉…大丈夫かな。
(葉山って、夏葉と付き合ってるんだよね?ユリさんは、どうなったの?)
思いきって質問するもまた音信不通…
そして次の日の昼過ぎに
(付き合ってるけど)
ってきた。
タイムランが過ぎる…
てか、ユリさんは?
質問の半分が返ってこない。
葉山と直接対談したい。
(今日よる電話していい?)
なんとか休み時間が終わる前に返事が欲しかったが、やっぱり返事は…来なかった。
かと思えば、休み時間が終わるギリギリに
(わりぃ。メンテナンス中かも…)
ってきた。
メンテナンス…
意味がわからないんだよ…って悶々としていると、まさかの夜…葉山から電話がきた。
「あ、メンテナンス中断したけど、電話の要件は?」
と、いきなり言われて…プチパニック
「えと、夏葉は…」
「…やっぱり夏葉ちゃん気になる?どうして?」
「いや、だって…」
「幼馴染だから?それだけ?それはあんまりだよ?オレさ、あんまりおしゃべりじゃないけど、ひとつ忠告ね。それは、あかん。じゃ、メンテナンス再開するから切るよ?大丈夫そう?」
「えと…ユリさんって、どうなったの」
「あー、ユリは…オレの大切な人」
「じゃあ、夏葉は⁈」
「…オレの大切な人。なぁ莉央人、オレ莉央人も大切な人だから。後悔しないようによく考えなよ?じゃ」
と、電話が切られた…
大切な人…
もしかして、葉山はだれを聞いても大切な人って答えそう。
じゃあ、
そこのアリは?見えないダニは?
って聞いたら、
…たぶん大切な宝とか言いそう…
…
てか、後悔しないようってなに?
葉山に、電話や質問をすればするほど頭がこんがらがる…
そもそも、こんがらがるって言葉すら絡まる…
なんだよ⁉︎
難しい難題…
だれか答えを教えてください。
ギブアップ過ぎる…
どうしたらいいんだよー…
あ、うどん食えばすべて解決…するわけねーよなー…
いや、待て‼︎
うどんって、あんなに沢山の紐が入っているのに、からまらなくね⁈
夜食に、うどんでも食べて頭を整理しよう…
…
続く。