えっ…
オレは、夏葉がなぜオレを避けているのかが気になって仕方なかった。
でも、夏葉には聞けないから葉山に携帯で聞いてみた。
(葉山って束縛系?)
と。
すると今回は、早い返事がきた。
(んなわけない)
と。
…
だとすると、単にオレが避けられてる…?
なので思い切って、今度夏葉にあったら聞いてみよう!と、探検隊リーダーの勢いでいってみることにした。
朝は…絶対会わないから、帰宅時間を狙った。
…
なんかオレって…ヤバいやつなのでは?
こっそり夏葉の帰りを待つって…
でも、冒険家は恐れない!突き進むのだ‼︎おー‼︎
と、一人探検隊のオレが息巻いていたら…
夏葉が帰ってきたー‼︎
ずーっと片目あけて、外を覗き見るところみてた甲斐がありました。
目…疲れたけどね。
まぁ…ウインクの練習には、なったかな。
どこで実践するのか知らんけど。
で…
手汗を握り、いざ‼︎
ガチャっとドアをあけると、いきなりオレが家から登場したから驚いて、ビクッとする夏葉。
そしてオレをみるなり、足早に自分家に立ち去ろうとするもんだから、オレは必死に
「夏葉!オレなんかした?」
って聞いたんですよ。
そしたら…
「名前…呼び捨てにしないで‼︎汚らわしい」
って言われて…夏葉は、家に入ってしまった。
…
汚らわしい?
汚いと?
…
オレ…毎日風呂入ってる…よ⁇
…
わけのわからないこたえが返ってきてしまい…オレは、言葉の大打撃を受けた。
この衝撃で、頭が真っ白になって…それ以上なにを言おうとしていたのかわからないくらい、すべてがどこかへ吹っ飛んだ。
夏葉は、すごいワザをいつのまにか取得していたみたいだ…。
夏葉からくらった言葉の威力で、オレは完全にやる気を失った。
でも、どんなに落ち込んでも…辛くても、次の日は容赦なくやってくる。
寝ても落ち込み具合は、変わらないのに…日曜日の次は、月曜日と…これまた変わらないのだ。
変わったのは、オレと夏葉の関係性…だけ。
そここそ、変わらなくてよかったのにっ‼︎
なんで世の中は、こんなにも理不尽なのだろう。
…
こんな世の中で、オレはたった一人の夏葉のことばかり考えている毎日だ。
あまりに考えすぎて、バイト終わり向かいのうどん屋さんで夏葉みたいな人を見かけた。
それからも、よく夏葉みたいな人をよくみる。
…てか、夏葉じゃね⁉︎
夏葉って、結構うどん屋さんから出てくるね?
どんだけ、うどん好きだよ?
…そんなにうどん好きだったなんて知らんかったな。
夏葉…絵まだ描いてるのかな?
…
オレは、また夏葉の言葉を思い出して落ち込んだ。
汚らわしいって…なんだよ…夏葉。
オレは、夏葉にこれ以上嫌われたくなかったから、服装とか見た目に気をつけるように心がけた。
爽やかなブルーのシャツをきたりしてさ。
そしたら、一緒にバイト上がりの佐藤さんが自転車置き場まで一緒だったんだけど、
「その服の色好きー」
っておっしゃってくれた。
「あー…、はは。ありがとう」
褒められるのは…嬉しいけど、今まで夏葉がそれをしてくれていたから…ずっとオレのそばにいてくれたから…なんだか涙が出そうになった。
いや、涙がポタリとたれた。
ポタポタポタポタポタポタポタポタ
ザー
⁉︎
こ、これは涙にしては…多すぎん⁉︎
…
てか…頭の上からも降り注いでるよね?
…
「あ、土砂降りー。カッパ着なきゃだ」
佐藤さんがバッグからカッパを出していた。
「偉いね。オレは帰るだけだから、このまま帰るね、じゃ」
と、ビシャビシャのまま全力で帰った。
あれって…さっきのって…
オレ泣いたんかな?
涙か、雨か…わからなかったけど…
でも、どっちにしても佐藤さんにバレなくてよかった。
洋服褒められて、泣かれたらびっくりされちゃうもんね。
ビシャビシャのまま帰宅すると、偶然夏葉もビシャビシャだった。
「あ、夏葉…」
夏葉は、オレを睨んで
「外でそんなことしない方がいいんじゃない?」
と言い放ち家に入っていった。
どんなこと…?
ビシャビシャってこと?
いや、それいうなら夏葉だって雨に降られてたよね⁉︎
…
オレ…外でどんなことしてた?
自転車乗ったから?
…
いや、自転車って…普通外で乗るよね?
…
わからない。
最近、わからないことだらけで溢れていた。
とりあえず寒いから、風呂に入ることにいたします。
…
続く。