夏の終わりの……
★ 夏の終わり
余市の海辺での再会
夏休みが終わりを迎える8月下旬、結城、櫻、静流は余市の海辺で落ち合った。櫻と静流のメッセージでの約束が実現し、三人で過ごす時間がやってきたのだ。夕暮れ時の海風が涼しく、波の音が穏やかに響く。
結城は白いTシャツにデニムを履き、砂浜に座って海を眺めている。櫻は白に薄い桜色の髪をポニーテールにまとめ、黄色いサマーシャツとショートパンツで元気に走り回る。静流は薄い水色のワンピースを着て、白いカーディガンを肩にかけ、静かに波打ち際を歩いていた。
櫻が結城に近づき、勢いよく言う。
「ゆーき、なんぼか久しぶりべさ! 夏休み、楽しかったね~!」
彼女が砂を蹴って笑うと、結城が「お前はいつも元気だな」と笑い返す。
静流が二人に近づき、穏やかに言う。
「結城、櫻ちゃん、こうやって三人で会うの、なんぼか嬉しいよ。夏休み、色々あったね」
彼女が砂浜に座り、白に薄く水色の髪が風に揺れる。
振り返りと友情の成長
結城が二人を見ながら言う。
「そうだな。櫻と水族館行って、静流とプラネタリウム行って……どっちも楽しかったよ。お前らのおかげで、夏休みが特別になったな」
ノートに書いた「赤方偏移」と「青方偏移」を思い出しつつ、彼は観測点を固定しようと焦っていた自分を振り返る。西行寺先輩の助言通り、楽しむことで自然と三人の絆が深まった気がした。
櫻が砂に座り込んで続ける。
「ボク、ゆーきと水族館でイルカ見たの、なんぼか楽しかったべさ! 濡れちゃったけど、ゆーきが助けてくれたのも嬉しかったよ」
彼女が「えへへ~」と笑うと、静流が頷く。
「櫻ちゃんの話、聞いてて楽しそうだったよ。私も結城と星見て、パフェ食べて……手を握ったのも、なんぼか大事な思い出だよ」
結城が少し照れながら言う。
「お前ら、どっちも大事だよ。櫻の元気と静流の穏やかさ、俺には欠かせねぇなって分かった。夏休みでそれがはっきりした」
櫻との衝動的な楽しさと静流との静かな温かさが、彼の中でバランスを取っていた。
櫻が目を輝かせて言う。
「ゆーき、なんか優しいべさ! ボク、しずるちゃんとゆーきと三人でいると、幸せだよ」
静流が櫻を見て笑う。
「私もだよ、櫻ちゃん。結城と櫻ちゃんがいてくれるから、夏がこんなに楽しかったんだね」
三人の絆と未来への願い
夕陽が海に沈む頃、三人は砂浜に並んで座った。櫻が砂に指でハートを描きながら言う。
「ボク、ゆーきとしずるちゃんと、もっと遊びたいべさ。夏休み終わるけど、これからも三人でいようね!」
静流が星形を砂に描き加える。
「うん、私もそう思うよ。櫻ちゃんの元気と結城の優しさ、大好きだから。これからも一緒にいたいな」
結城が二人の描いたハートと星を見て笑う。
「お前ららしいな。俺も、これからも三人で楽しみたいよ。夏休みは終わるけど、友情は終わんねぇだろ」
彼が海に目を向けると、櫻と静流が「うん!」「うん」と声を揃える。
波が寄せては返す中、三人は夕陽を見ながら静かに笑い合った。水族館での櫻の笑顔、プラネタリウムでの静流の手の温もり、そして今この海辺での三人の時間――夏休みを通じて、結城、櫻、静流の友情は確かに成長していた。
櫻が立ち上がり、勢いよく言う。
「じゃあ、次はどこ行くべさ! ゆーき、しずるちゃん、決めるべさ!」
静流が「三人で決めようね」と笑い、結城が「お前らならどこでもいいよ」と返す。
夏の終わりを迎えた余市の海辺で、三人の友情は新たな一歩を踏み出そうとしていた。
★星の三角形
余市の海辺で、夕陽が沈む中、結城と櫻が砂浜を駆け回っている。櫻が「ゆーき、こっち来てみて!」と笑いながら手を振ると、結城が「待てよ!」と追いかける。二人の楽しそうな姿を、静流は波打ち際から静かに見つめていた。薄い水色のワンピースが風に揺れ、白に薄く水色の髪が夕陽に映える。
「結城がアルタイルで、櫻ちゃんがベガ、私はプロキシマ……」
静流が心の中で呟く。天の川を挟んで輝く彦星と織姫を見守るデネブのように、遠くから眺めるだけの存在にはなりたくない。彼女は櫻に並び立ち、結城に選ばれる側でいたいと願っていた。
「櫻ちゃんの明るさはベガみたいに眩しいよ。私、プロキシマみたいに近くて静かな星だけど、結城に届く光でいたいな」
プラネタリウムで手を握った温もりや、パフェでの間接キスのドキドキを思い出し、静流の心に小さな決意が芽生える。櫻との友情は大切だけど、結城への想いは譲れない。
「競争になるけど、櫻ちゃんと一緒に結城に選んでもらうんだ」
彼女が砂に星形を描きながら、穏やかに微笑む。
★負けない気持ち
櫻は結城と砂浜を走り回り、波に足を浸しては笑っていた。黄色いサマーシャツが風に揺れ、白に薄い桜色のポニーテールが跳ねる。ふと静流の方を見て、彼女に大きく手を振る。
「しずるちゃん、見てるべさ! ボクとゆーき、なまら楽しいよ!」
結城が「櫻、足速すぎだろ!」と息を切らしながら笑う中、櫻が内心で思う。
(しずるちゃんは、ボクの持ってないもの、欲しいもの、全部持ってるべさ。穏やかで優しくて、ゆーきを落ち着かせる何か)
水族館での勢いある自分と、プラネタリウムでの静流の穏やかさを比べると、少しだけ不安が湧く。でも、櫻はすぐに気持ちを切り替える。
(でも、ボクだってしずるちゃんの足りないもの、持ってるはずだべ! 元気と笑顔で、ゆーきを引っ張れるのはボクだよ。初めから負けるつもりで、競争する気なんてないんだから!)
イルカショーでびしょ濡れになった時、結城がタオルを渡してくれた優しさを思い出し、櫻の心が熱くなる。静流に負けたくないけど、三人でいる幸せも守りたい。
彼女が砂にハートを描き、笑顔で結城と静流を見た。
★揺れの収束
結城は櫻と走り回った後、砂浜に座って息を整える。櫻が波と戯れ、静流が静かに星空を見上げる姿を交互に見つめる。夏休みの初めは、櫻の「赤方偏移」と静流の「青方偏移」の間で揺れていた心が、今は少しずつ固まりつつあるのを感じていた。
(櫻と静流、どっちも大事だな。でも、その揺れが小さくなってきてる)
水族館での櫻の笑顔、プラネタリウムでの静流の手の温もり、そして今この海辺での三人の時間。ノートに書いた観測点が、欲望や分析を超えて、純粋な友情と愛情に落ち着き始めていた。
(櫻の勢いが俺を熱くして、静流の穏やかさが俺を包む。どっちか選ぶんじゃなくて、どっちも俺の足元を固めてくれてるんだ)
西行寺先輩の「楽しむ事を忘れちゃだめだよ」が、ここで実を結んだ気がした。揺れが小さくなったのは、彼の心が二人を受け入れる土台を作り始めた証明だ。
結城が立ち上がり、櫻と静流に近づく。
「なぁ、お前ら。次どこ行くか決めようぜ」
櫻が「なんぼか楽しいとこ行くべさ!」と跳ね、静流が「三人で決めようね」と笑う。
★三人の未来
夕陽が完全に沈み、星空が広がる中、三人は砂浜に並んで立った。静流は結城と櫻に並び立つ決意を、櫻は負けない気持ちと友情を、結城は揺れの収束と二人への信頼を感じていた。
櫻が「ゆーき、しずるちゃん、これからも三人だべさ!」と笑うと、静流が「うん」と頷く。結城が「おう、これからもな」と返す。
夏の終わりを迎えた余市の海辺で、三人の友情は競争心を越えて成長し、新たな未来へと繋がっていた。




