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天体少女はプラネタリウムの夢を見る

 ★ 静流からのお誘い

 櫻とのおたる水族館デートから数日が経ったある夜、結城のスマホに静流からのメッセージが届いた。


 静流(19:42)

「結城、夏休みまだあるし、札幌のプラネタリウムに一緒に行かない? 星のこと、もっと見たいなって思って」

(星の絵文字と月の絵文字)


 結城がスマホを手に持つ。櫻とのデートが楽しかった記憶がまだ新しい中、静流らしい穏やかな誘いに心が落ち着く。窓の外を見ると、海に映る月が静かに輝いている。ノートに書いた「静流:青方偏移と重力レンズ」を思い出しつつ、彼が返信を打つ。


 結城(19:45)

「いいよ、楽しみだ。プラネタリウムならお前と一緒が一番だな」


 送信後、結城が小さく笑う。


「櫻の赤と静流の青か……どっちも俺には欠かせねぇな」


 櫻との熱い時間が衝動を刺激したなら、静流との穏やかな時間は愛情を深めるかもしれない。観測点を固定する試みが、また一歩進む気がした。


 静流の準備

 一方、静流は自室でデートの準備に余念がなかった。白に薄く水色が入った髪が肩に落ち、机の上には天体望遠鏡の模型と星図が広がっている。彼女はスマホで結城の返信を確認し、ほっと息をつく。


「結城、楽しみだって……良かった」


 静流が立ち上がり、クローゼットを開ける。今度のデートのために買ってきた夏用の服を手に持つ。薄い水色のサマードレスだ。シンプルだけど、胸元に小さな星の刺繍が入っていて、彼女らしい一着。少し考えて、以前買った白いカーディガンも取り出す。


「夜は少し冷えるかもしれないし、これも持って行こうかな」


 鏡の前でドレスを合わせてみる。普段は控えめな静流が、デートのために少し大胆に選んだ服だ。櫻が結城と水族館に行った話を聞いてから、静流の心には小さな火が灯っていた。


「櫻ちゃんの元気、結城を引っ張るよね。私だって、結城にちゃんと見てほしい」


 彼女が鏡に向かって小さく呟く。


「結城と星を見ながら、なんぼか近づけたらいいな」


 櫻への友情は変わらない。でも、結城への想いは静流にとっても譲れないものだった。海での紐ビキニや「みたい?」のからかいが結城をドキッとさせたように、プラネタリウムでも彼女なりの魅力を出したい。

 静流がドレスを畳み、バッグにしまう。準備を終え、窓の外の月を見上げる。


「結城、私のこと、どう思ってるかな……夏休みの終わりまで、気持ちがもっと分かるといいね」


 二人の心境

 結城は海に映る月を眺めながら、静流とのデートを想像する。


「プラネタリウムか……静流と星見てると、なんか落ち着くな。櫻とはまた違う感じで、俺の観測点がまた動くのかも」


 櫻の衝動的な楽しさと静流の穏やかな深さ。どちらも結城の心を揺らし、彼はノートに新たなページを加えるつもりだった。

 静流は月を見ながら、結城と櫻のことを考える。


「櫻ちゃんの楽しさが結城を動かしたなら、私の静けさが結城を包めたらいいな」


 競争心と友情が交錯する中、静流は結城との時間を大切にしようと決意していた。

 夏の夜が更け、結城と静流はそれぞれ札幌でのデートを心待ちにしていた。プラネタリウムの星空が、二人の距離をどう変えるのか――それはまだ見えない未来だった。


 ★ 夏の準備

 静流は自室で、札幌のプラネタリウムデートのための準備を進めていた。薄い水色のサマードレスと白いカーディガンをバッグに詰め、鏡の前で髪を整えている。白に薄く水色が入った髪が柔らかく揺れ、彼女の心は結城との時間を想像して穏やかに弾んでいる。

 そこへ、部屋のドアがノックもなしに開いた。静流の母が顔を覗かせ、手には洗濯物のカゴを持っている。


「あら、静流。準備してるの? デートなら気合い入れなきゃねぇ」


 静流が少し照れながら振り返る。


「おかーさん、入る前に言ってよ……うん、結城とプラネタリウムに行くだけだから、そんな大げさじゃないよ」


 母がニヤリと笑い、カゴを床に置いて近づいてくる。


「ふーん、結城君ねぇ。この前買って来てた下着、あの可愛い水色のやつは付けていかなくて良いの? あんた年頃で、見た目もいいんだから、既成事実作って一気に落としちゃったら?」


 静流の顔が一瞬で真っ赤になる。


「~~~~~っ!! おかーさんっ!!」


 珍しく声を荒げ、手に持っていた髪ブラシをベッドに投げ出す。普段は穏やかな静流が、母のからかい半分の言葉に動揺を隠せなかった。

 母が「うわっ」と笑いながら手を振る。


「冗談だってば! でもさ、櫻ちゃんが水族館で頑張ったみたいだし、あんたも負けてられないでしょ? 結城君、優しい子だけど、ちょっと鈍感そうだしねぇ」


 静流が頬を膨らませ、母を睨む。


「もう……櫻ちゃんの話まで出さなくていいよ。私、結城にそんな押し付けするつもりないから」


 内心、母の言う「既成事実」に一瞬ドキッとしたのは事実だ。海での紐ビキニや日焼け止めの時、結城が顔を赤くしたのを思い出し、静流の心が少し揺れる。


「でも、結城にちゃんと見てほしいのは本当だよ……」


 母が肩をすくめて続ける。


「はいはい、分かったよ。あんたはあんたのペースでいいさ。ただ、夏用の服だけじゃなくて、下着も可愛くしてった方が気分上がるんじゃない?」


 静流が「もういいってば!」と顔を隠す。母が笑いながら部屋を出ていくと、静流はベッドに座り込んでため息をつく。


「……でも、あの下着、確かに可愛かったな」


 クローゼットをちらっと見る。あの水色のレース付きの下着は、デートを意識して買ったものだ。母のちょっかいに動揺しつつも、静流が小さく笑う。


「結城に似合うって思ってくれるかな……いやいや、何考えてんだろ、私」


 窓の外の月を見ながら、静流は準備を再開する。母のからかいが頭に残りつつ、結城とのデートへの期待が彼女の心を温かくしていた。


 静流のデートファッション

 母のちょっかいから一夜明け、静流はデート当日の朝を迎えていた。自室の鏡の前で、彼女は慎重に選んだ服を手に持つ。薄い水色のサマードレス――膝丈で軽やかな生地に、胸元には小さな星の刺繍が施されている。シンプルだけど、静流らしい穏やかさと天文学への愛が感じられる一着だ。


「結城に、星っぽいって思ってほしいな」


 静流が鏡にドレスを合わせてみる。白に薄く水色が入った髪が、ドレスの色と自然に調和する。普段は控えめな彼女が、デートのために少しだけ大胆に選んだ服だ。

 母の言葉を思い出し、彼女がクローゼットを覗く。あの水色のレース付きの下着――淡い色合いと繊細なデザインが、確かに可愛い。静流が頬を赤らめながら呟く。


「おかーさんの言う通り、気分上がるかも……結城には見せないけど」


 結局、下着もデート用に合わせてみることにした。自分に自信を持つための小さな一歩だ。

 仕上げに、白いカーディガンを羽織る。夏の夜は冷えるかもしれないし、プラネタリウムの冷房対策にもなる。足元は白いサンダルをチョイスし、全体を爽やかにまとめる。最後に、小さな星形のピアスを耳に付ける。


「これなら、なんぼか結城に似合うって思ってもらえるかな」


 静流がバッグにスマホと財布を入れ、鏡の前で一回転する。サマードレスがふわりと揺れ、彼女の心も軽く弾む。櫻の水族館デートの話を聞いてから、静流は結城に自分の魅力をちゃんと見せたいと思っていた。


「櫻ちゃんの元気もいいけど、私の静けさも結城に届くといいな」


 結城のデートファッション

 同じ朝、結城は自室で準備をしていた。櫻との水族館デートがカジュアルだったのに対し、静流とのデートは少し落ち着いた雰囲気になりそうだ。彼がクローゼットから選んだのは、白い半袖シャツと薄いグレーのチノパン。シンプルだけど、清潔感があって静流に合う気がした。


「プラネタリウムなら、こんな感じでいいか」


 結城が鏡の前でシャツの袖を軽くまくる。櫻とのデートでは動きやすさを優先したが、今日は静流の穏やかさに合わせたファッションだ。足元は黒いスニーカーで、気軽さと少しのきちんと感を両立させる。

 櫻の「赤方偏移」と静流の「青方偏移」を思い出しながら、彼が呟く。


「櫻の勢いも楽しかったけど、静流と星見るのも楽しみだな……観測点、固定できるか?」


 ノートに書いた分析を頭に浮かべつつ、結城は静流との時間を想像する。彼女の優しさが自分をどう動かすのか、確かめたい気持ちがあった。

 最後に、腕時計を付けて準備完了。窓の外を見ると、夏の陽光がリンゴ畑を照らしている。結城が小さく笑う。


「静流の服、星っぽい感じだったら面白いな」


 二人の心境

 静流はバッグを肩にかけ、母に「行ってくるね」と声をかけると、家を出る。薄い水色のサマードレスが風に揺れ、彼女の心は結城とのデートに静かに高鳴っていた。


「結城と星を見ながら、なんぼか近づけたらいいな」


 結城は駅に向かいながら、静流のことを考える。櫻との熱い時間とは違う、穏やかな青い時間が待っている気がした。


「櫻と静流、どっちも大事だ……でも、今日は静流とちゃんと向き合うか」



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