岩場での少しのハプニング
★ 岩場と静流の茶目っ気
日焼け止めを塗り終えた後、四人はなんとなく櫻に続いて岩場の近くへ向かい、生き物探しを始めていた。櫻と酉城が競うようにカニや小魚を捕まえては「これなんぼかすごいべさ!」「俺の方がでかいぞ!」と騒ぐ中、静流と結城はタイドプールに取り残された魚や水生生物を観察していた。
とはいえ、結城の意識はほとんど櫻と静流に奪われていた。水着姿の二人がすぐそばで動き回るのだから、それをどうこう言うのは野暮というものだ。櫻の背中のスリットが波に濡れて光り、静流のビキニが 岩場の影で揺れる。結城は目を逸らそうと努力するが、無理だった。
静流がいつものノリで結城のすぐそばにしゃがみ込む。白い髪に薄く水色が入った毛先が海水で少し湿り、彼女がタイドプールの中を覗き込むたびに「あ、小さい魚だよ」と喜ぶ。結城は膝を軽くかがめて観察に加わるが、その視界に、至極はっきりと強調された静流の胸が飛び込んできた。布少なめなビキニのリングが谷間を際立たせ、結城が慌てて目をそらす。
だが、気になって視線が戻り、また慌ててそらす。その繰り返しで、彼の動きは少々挙動不審になっていた。静流がふと気づき、胸元を隠すように腕を寄せて、若干ジト目で結城を見る。
「結城……」
「あ、いやごめんその……」
結城が慌てて言い訳しようとすると、静流が彼の焦った様子を見て軽く笑う。そして、突然ぎゅっと結城に身を寄せる。
「……みたい?」
「へ?」
どきん。
結城の心臓が派手に鳴るのを自覚し、さらに慌てる。彼の顔が真っ赤になるのを見て、静流が心底面白そうに笑う。
「冗談だよ……えっち!」
「なっ……こらっ」
結城が反撃しようと手を伸ばすと、静流が「きゃ~」と小さく叫んで逃げる。普段の穏やかで控えめな彼女からは想像できない茶目っ気に、結城はずっとドキドキさせられ続けていた。
遠くで櫻がカニを手に持って叫ぶ。
「ゆーき、しずるちゃん! これ見てみて! なまら可愛いよ!」
酉城が波間から浮上して笑う。
「櫻、お前それ食えねぇべ! 俺の魚の方がすごいぞ!」
静流が結城の腕を軽くつまんで笑う。
「結城、顔赤いよ……大丈夫?」
結城がため息をつく。
「お前らのせいで心臓が持たねぇよ……」
静流がクスクス笑いながらタイドプールに戻る中、結城は彼女の意外な一面に驚きつつも、どこか嬉しさを感じていた。櫻の明るさと静流の茶目っ気が、海辺での時間をさらに賑やかにしていた。
★ 櫻の水着とハプニング
櫻は運動神経が良い方だ。岩場のような足場の悪い場所でも、まるで水を得た魚のよう。白に薄い桜色が混じる髪を揺らし、すいすいと進んでいく。彼女にとってはコンプレックスの原因でもある小柄な体形が、高い運動性と機動力を担保していた。
「お、タコ!」
櫻が水面に動く小さなタコを発見し、よく見ようと顔を近づける。ぐいと上半身を下げ、腰を上げる姿勢で、白に薄い桜色の髪が岩場に流れ落ちる。背中の大きく空いたワンピース水着が、彼女の動きに合わせて揺れる。
「おい櫻、あんまり夢中になると危な……」
結城が声をかけようとした瞬間、言葉が止まった。櫻の背中のスリットの下側で、彼女のお尻がかなりはっきり分かるほど露出していた。水着の構造のおかげで致命的な部分は隠れているが、静流のビキニとは比べ物にならない範囲が視界に飛び込んでくる。小柄ながらも弾力のあるラインが、結城の目を釘付けにした。
彼は目をそらすこともできずに硬直する。櫻の動きがあまりにも自然で、無防備で、結城の心臓がまたしても限界を迎えそうだった。
「も少し……わ! わわ!!?」
その時、櫻が岩の上でバランスを崩し、転びかけた。
「さくらっ!!」
結城が即座に反応する。岩場での転倒は思わぬ怪我に繋がる可能性が高い。彼は櫻に駆け寄り、適当に体を掴むと、自分の側にぐいと引っ張った。男子高校生の膂力があれば、小柄な櫻を引き戻すのはわけもない。
「あ、ありがと、ゆーき、助かったよ~」
櫻がほっとした表情で礼を言う。結城が彼女の額を軽くつんと突く。
「全く、気を付けろよ?」
「えへへ~」と照れ笑いする櫻だったが、すぐに何かに気づき、頬を赤らめて目をそらす。
「あ、あの……ゆーき……」
「ん?」
急変した雰囲気に、結城は疑問符を浮かべたまま次の言葉を待つ。
「その……手、お尻に……」
結城がハッとする。初めて意識した手の中の柔らかい感触。よく「桃のよう」と表現される部位の割には弾力に満ちていて――。
「ご、ごめん櫻! その……!」
慌てて手を離そうとするが、焦りで逆に少し動いてしまう。
「ひゃんっ!? ゆ、ゆーき! 手ぇ動かしちゃだめぇ!!」
櫻が甲高い声を上げ、二人が大騒ぎになる。結城が「悪気はないんだって!」と叫び、櫻が「なまら恥ずかしいべさ!」と顔を隠す。
遠くで静流がタイドプールから顔を上げ、呆れたように声をかける。
「結城、櫻ちゃん、もう……少し落ち着いてよ」
櫻が結城から離れ、赤い顔で笑う。
「ゆーき、えっちだべさ!」
結城が頭を抱える。
「お前らの水着が悪いんだよ……!」
騒ぎが収まる頃、酉城が沖から戻ってきて「何だべ、楽しそうだな!」と笑う。四人の海辺での時間は、櫻の機動力とハプニングでさらに賑やかになっていた。結城は櫻の柔らかい感触と彼女の照れた笑顔に、ドキドキが止まらないままだった。




