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青少年にはありがちな一幕

 ★ 自宅にて~妄想、彼との一夜は~

 札幌での買い物を終え、静流が自宅に戻ったのは夕暮れ時だった。リンゴ畑の上に月が昇り始め、白い髪に薄く水色が入った毛先が部屋の柔らかな灯りに映える。彼女はデパートの紙袋を机に置き、中からそっと取り出したのは、下着売り場でこっそりカゴに忍ばせたアイテム――薄い水色のシルクに繊細なレースがあしらわれた、少し大胆なデザインの下着だ。

 静流が袋を見つめながら小さく呟く。


「なんぼか勇気出したんだから……試してみようかな」


 普段ならシンプルな白やパステルカラーの下着しか選ばない彼女にとって、これは大きな一歩だった。櫻と「男の子には言えない」と笑い合った秘密が、今、現実になろうとしている。静流が部屋のドアを閉め、カーテンを引く。窓から入る夏の夜風が、白い髪に水色のニュアンスを揺らす。

 下着を手に持つと、静流は深呼吸して着替える。シルクの滑らかな感触が肌に触れ、レースが胸元と腰を飾る。鏡の前に立つと、白い髪に薄い水色が混じる姿が、下着の淡い色と調和し、まるで星の光をまとったようだ。彼女の頬がみるみる赤くなる。


「これ……なんか大胆すぎるよ……でも、綺麗かな?」


 鏡に映る自分を見つめながら、静流の心が加速する。結城に「綺麗」と思われたい気持ちが、この下着を選ばせた。そして、ふと、頭に浮かんだのは――彼との一夜の妄想だった。

 静流の想像の中、結城と二人きりの夜。薄暗い部屋で、彼が彼女の手を取る。


「静流、綺麗だな……」


 結城の声が耳元で響き、静流が恥ずかしそうに目を伏せる。彼女がこの大胆な下着を身に着けていることを、彼が気づく瞬間。結城の瞳が驚きと優しさで揺れ、静流が「なんか恥ずかしいよ……」と呟く。だが、彼がそっと抱き寄せると、静流の心はプロキシマ・ケンタウリへのロケットのように打ち上がる。  星空の下、二人が寄り添い、静流の白い髪に水色が混じる毛先が彼の指に絡まる――。


「はっ!」


 静流が我に返り、頭を振って妄想を追い払う。鏡の前で顔を真っ赤にした彼女が、慌てて呟く。


「なん、なんか変なこと考えちゃったよ……!」


 下着を脱いで元の部屋着に戻ると、静流はベッドに座り込む。心臓がまだドキドキしている。櫻には

「こういうので結城に迫ったら」なんて冗談で笑ったけど、自分がこんな妄想に浸るとは思っていなかった。

 机の上に置かれた天体望遠鏡が目に入る。静流が小さく笑う。


「結城と一緒に、しずるぼしに行けたら……こんな夜も、夢じゃないよね」


 大胆な下着は、引き出しの奥にそっとしまわれた。でも、静流の心の中では、結城との一夜の妄想が、星の光のように輝き続けていた。窓の外で、リンゴ畑を照らす月が、彼女の乙女心を見守るように静かに浮かんでいた。


 ★ それは、ほんの少し桜色の……

 札幌から帰宅した櫻は、自室でデパートの紙袋を机に置いた。夕暮れがリンゴ畑をオレンジに染め、白に薄い桜色が混じる髪が部屋の灯りに照らされる。彼女が袋からそっと取り出したのは、下着売り場でこっそりカゴに忍ばせたアイテム――ピンクのシルクに繊細なレースがあしらわれた、少しセクシーな下着だ。静流と「男の子には言えない」と笑い合った秘密が、今、櫻の手の中にある。

 櫻が下着を手に持つと、小さく呟く。


「なんかドキドキするべさ……試してみるか!」


 普段はシンプルな白や明るい色の下着しか選ばない櫻にとって、これは大胆な選択だった。彼女がドアを閉め、窓のカーテンを引く。夏の夜風が少しだけ部屋に入り、白に薄い桜色の髪を揺らす。深呼吸して着替えると、ピンクのシルクが肌に馴染み、レースが胸元と腰を飾る。

 鏡の前に立つ櫻。白に薄い桜色が混じる髪が、ピンクの下着と相まって、まるで太陽に桜の花びらが舞うようだ。彼女が鏡を見て頬を赤らめる。


「おぉ、なんか可愛いべさ! ……でも、ちょっと恥ずかしいなぁ」


 小柄な体でも、レースのデザインが意外と大人っぽく見えることにドキドキする。静流には「こういうので結城に迫ったら」と冗談で言ったけど、まさか自分がこんな気分になるとは。櫻の心が弾むと同時に、ふと、結城との一夜の妄想が頭に浮かんだ。

 櫻の想像の中、リンゴ畑の近くの小さな部屋。結城と二人きりで、夜が更ける。櫻が勢いよく彼に近づく。


「ゆーき、これ見てみて!」


 結城が目を丸くして「櫻……可愛いな」と呟く。櫻がこのピンクのレース下着を身に着けていることを彼が気づき、驚いた顔で彼女を見つめる。櫻が「なんか恥ずかしいべさ!」と笑うと、結城が「いや、めっちゃ似合ってる」と優しく返す。彼女が勢いよく抱きつくと、結城が照れながらも受け止める。白に薄い桜色の髪が彼の肩に流れ、二人が笑い合いながら寄り添う。リンゴ畑の外で月が輝き、櫻の明るさが部屋を温かく照らす――。


「うわっ!」


 櫻が我に返り、鏡の前で顔を真っ赤にして叫ぶ。


「なん、なんか変なこと考えちゃったべさ!」


 慌てて下着を脱ぎ、いつものタンクトップとショートパンツに着替えると、櫻はベッドに飛び込む。心臓がバクバクしている。静流と笑いものにした妄想が、自分にも当てはまるとは思わなかった。

 机の上に置かれたハートのリンゴを見つめる。櫻が小さく笑う。


「ゆーきと一緒にいたいべさ……こんな夜、ほんとになったらいいなぁ」


 ピンクのレース下着は、引き出しの奥にそっとしまわれた。でも、櫻の心の中では、結城との一夜の妄想が、太陽の光のように熱く燃え続けていた。窓の外で、リンゴ畑を照らす月が、彼女の乙女心を優しく見守っていた。


 ★ 限りなく重なる欲求と欲望

 その夜、結城は夢を見た。それは健常な男子高校生なら誰もが見るような夢であり、今の彼にとっては罪悪感しか感じさせないようなものだった。

 結城がいかに鈍感でも、男は男だ。櫻と静流――見目麗しい二人の女子に、立て続けに告白され、ぐいぐいと気持ちを向けられれば、意識しないはずがない。普段はそれを理性で押さえつけ、心の奥に押し込んでいる。櫻の「ゆーき、ボクのこと好きになってよね!」という明るい笑顔も、静流の「あなたが好き、日野結城という人を愛してる」という真っ直ぐな瞳も、結城の中で波を立てる。でも、彼はそれを「選べない」「傷つけたくない」という思いで押し潰してきた。

 だが、寝ている間までその拘束を維持するのは、いささか荷が勝ちすぎていたようだ。夢の中では、理性の鎖が解かれ、抑えていた欲望が溢れ出していた。

 夢の中で、結城は静流を組み敷いていた。白い髪に薄く水色が入った毛先が乱れ、彼女の綺麗な肌が上気してほのかに赤く染まる。閉じた口から漏れ出る小さな喘ぎ声が耳に届き、静流が「結城……」と呟く。彼女の穏やかな瞳が潤み、彼を見つめる。結城の手が彼女の肌に触れ、欲望が静流の中へ――。

 場面が変わり、今度は櫻を押し倒していた。白に薄い桜色が混じる髪が広がり、彼女の小さな体が彼の下で震える。櫻の頬がリンゴのようになり、「ゆーき、なんか恥ずかしいべさ……」と笑う声が響く。彼女の明るさが欲望を煽り、結城がさらに近づくと、櫻の腕が彼の背中に回る。二人の息が重なり合い、結城の理性が溶けていく――。


「うわっ!」


 結城が目覚め、全身汗だくで上半身を力づくで起こす。悲鳴を飲み込んだ代償として、息が派手に荒れていた。暗い自室で、彼が布団を握り潰す。時計を見ると、まだ夜中の3時。窓の外では、リンゴ畑が月光に静かに照らされている。


「何だよ、これ……」


 小さく呟きながら、結城が額の汗を拭う。夢の内容があまりにも鮮明で、櫻と静流の声や肌の感触まで思い出せる。それが余計に罪悪感を募らせた。

 彼女たちを傷つけたくないと願う一方で、こんな夢を見てしまう自分に嫌気が差す。櫻の明るさと静流の優しさが、彼の心を揺さぶり続けている証拠だ。だが、夢の中の結城は、どちらかを選ぶどころか、二人ともを欲望のままに求めていた。


「俺、最低だな……」


 結城が頭を抱え、ベッドに倒れ込む。理性では抑えていても、無意識がそれを裏切る。櫻と静流からの告白が、彼の心に深く根を張り、制御できない領域まで侵食していることを思い知らされた。

 窓から見える月が、まるで結城の葛藤を見透かすように輝いている。彼が目を閉じても、夢の中の櫻と静流の姿が頭から離れなかった。



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