男の子には言えない事
★男の子には言えない事~恋する乙女の買い物事情~
次の休日、櫻と静流は札幌まで足を伸ばしていた。普段は余市で身の回りのもので間に合わせる二人だが、専門的なコスメ用品やケアグッズとなると、どうしても地方では限界がある。通販で買うのも手だけど、試供品や体験で試してみないと分からないことも多い。それに、二人には「男の子には言えない」理由があった――結城に「綺麗」と思われたい、もっと好きになってほしいという、恋する乙女の気持ちだ。
札幌駅に併設されたデパートに着くと、二人はさっそくコスメフロアへ向かう。櫻が白に薄い桜色が混じる髪を揺らし、目を輝かせる。
「うわっ、なまらすごいべさ! こんなにいっぱいあるなんて!」
静流が白い髪に薄く水色が入った毛先を軽く指で整えながら笑う。
「うん、迷っちゃうね……どこから見ようか」
まずはスキンケアコーナーへ。櫻が化粧水のテスターを手に取る。
「これ、しずるちゃんが使ってるやつに似てるべさ! ボクも試してみていい?」
スプレーを手にシュッと吹きかけると、櫻が「おぉ、気持ちいい!」と笑う。
静流が隣で別のボトルを手に持つ。
「私はこれ、結構保湿がいいみたいだよ……櫻ちゃんも試してみる?」
二人が顔を見合わせて試供品を手に塗り合うと、櫻が「しずるちゃんの手、なまら柔らかいべさ!」と騒ぐ。静流が照れながら「言いすぎだよ」と返す。
次にヘアケアコーナーへ移動。櫻がヘアオイルの棚を見て目を丸くする。
「これ、ボクの髪にも合うかな? 桜色もっと可愛くならんかなぁ」
テスターを手に取って毛先に馴染ませると、白に薄い桜色が混じる髪がほのかに輝き出す。櫻が鏡を見て満足げに頷く。
「うん、なんぼかいい感じだべさ! ゆーきに可愛いって言われたいなぁ」
静流も別のオイルを手に取る。
「私も、白い髪に水色が映えるのがいいな……結城に、綺麗って思われたいよ」
オイルを毛先に馴染ませると、薄い水色のニュアンスが星の光のように際立つ。櫻が「しずるちゃん、なんぼか星みたいだべさ!」と褒めると、静流が「櫻ちゃんこそ、太陽みたいだよ」と笑う。
二人はコスメ用品を手に持って歩き回り、香水コーナーで試したり、リップの色を比べたり。櫻が「ボク、リップとか似合わないべさ」と照れると、静流が「なんぼか薄い色なら可愛いよ」と優しく提案する。結局、櫻は淡いピンクを、静流は透明感のあるベージュを選んで試してみることに。
長い時間をかけて歩き回った後、二人はデパートの休憩スペースでソフトクリームを手に座る。櫻がソフトクリームを舐めながら言う。
「なぁ、しずるちゃん、ボクたち、ゆーきに好きになってほしいべさ……こういうの、男の子には言えないよね」
静流がソフトクリームを一口食べて頷く。
「うん、恥ずかしいけど……でも、一緒に頑張れるのが嬉しいよ」
櫻が笑う。
「そだね、ボクたち、負けないべさ!」
静流が微笑む。
「負けないよ、櫻ちゃん」
夏の札幌で、二人は恋する乙女の買い物事情を楽しみながら、結城への想いを胸に秘めていた。白に薄い桜色の髪と、白に薄く水色が入った髪が、ソフトクリームの冷たさに負けない熱を帯びていた。
★ 夏の準備
札幌駅のデパートの水着コーナーで、櫻と静流は試着室のカーテンを引いたり開けたりしながら、賑やかに水着選びを進めていた。二人とも結城に「可愛い」「綺麗」と思われたい気持ちを胸に秘めつつ、普段なら手に取らないようなデザインにも目を向けていた。男の子には言えない、恋する乙女の小さな冒険だ。
静流の水着選び
静流は棚の奥に目をやる。白い髪に薄く水色が入った毛先が、彼女の動きに合わせて軽く揺れる。普段なら淡いブルーのワンピース水着や、シンプルなビキニを選ぶ彼女だが、この日は少し違う。
「少し大人っぽく……結城に、ドキッとしてほしいな」
心の中で呟きながら、手に取ったのは少し布の少なめなビキニだ。薄い水色のベースに、白いレースがあしらわれたデザインで、サイドが紐で結ぶタイプ。布面積が控えめで、胸元と腰のラインが強調される。
試着室に入り、鏡の前で着てみる。白い髪に水色のニュアンスが、水着の淡い色と調和して、まるで星空の輝きをまとったようだ。静流が鏡を見ながら頬を赤らめる。
「これ、大胆すぎるかな……でも、結城に見てほしいかも」
彼女のスタイルが映えるデザインに、普段の穏やかさとは違う自分を感じる。櫻には「可愛い系でいいよ」と言った手前、少し恥ずかしくて見せられない。
試着室から出て、他の水着を手に持つふりをして、こっそりそのビキニをカゴに忍ばせる。櫻に気づかれないよう、平静を装って「これもいいね」と別のワンピースを手に持つ。内心では、結城が海でこの水着を見た時の反応を想像してドキドキしていた。
櫻の水着選び
一方、櫻は白に薄い桜色が混じる髪を揺らし、水着棚を物色していた。小柄な体格ゆえに、どうしても可愛らしいデザインが中心になることに不満を感じつつも、諦めるつもりはない。
「ボクだって、なんぼか大人っぽく見せたいべさ! ゆーきに、びっくりしてほしいよ!」
櫻が目を付けたのは、ワンピースタイプの水着だ。一見シンプルなピンクベースだが、背中が大きく空いたデザインで、肩から腰まで大胆に肌が見える。フリルが胸元にあしらわれ、可愛らしさと少しの色っぽさが共存している。
試着室で着てみると、白に薄い桜色の髪が背中の開いた部分に流れ、太陽のような明るさにアクセントを加える。櫻が鏡を見て小さく笑う。
「おぉ、なんぼか背伸びした感じだべさ! ゆーき、これ見てどう思うかな?」
小柄な体でも、背中のラインが意外と綺麗に見えることに満足する。でも、静流に「可愛い系しか似合わない」と言われた気がして、ちょっと恥ずかしい。
試着室から出ると、櫻は別のフリル付きビキニを手に持つふりをして、こっそり背中の空いたワンピースをカゴに滑り込ませる。静流に「これ可愛いべさ!」と別の水着を見せながら、内心では結城が海で驚く顔を想像してニヤニヤしていた。
二人の秘密
試着を終え、二人がカゴを持ってレジに向かう。櫻が静流をチラッと見て言う。
「しずるちゃん、なんぼか大人っぽいの選んだべさ?」
静流が笑って返す。
「櫻ちゃんも、なんぼか可愛いだけじゃないの選んだでしょ?」
二人が目を合わせて「言わないでよね!」「なんも、秘密だよ」と同時に呟き、くすくす笑う。静流の少し布の少なめなビキニと、櫻の背中の大きく空いたワンピースは、それぞれのカゴの中で他の服に隠されていた。
レジで袋に詰めながら、櫻が言う。
「なぁ、しずるちゃん、海でゆーきにびっくりさせたいべさ」
静流が頷く。
「うん、私も……なんぼかドキッとしてほしいよ」
★これはほんとに男の子は連れて行けない……
物の次いでと、二人は下着売り場へ移動する。男性用下着と同じく、女性用下着も消耗品だ。定期的に買い揃える必要があることは、二人とも十分承知していた。普段ならシンプルな白やパステルカラーを選んで終わりだったが、この日はふと、以前なら気にも留めなかった、少しセクシーなデザインに目が行く。
櫻がレース付きのピンクの下着を手に持つ。
(こういうのを付けて、ゆーきと……)
静流が薄い水色のシルクの下着を見つめる。
(こういうので結城に迫ったら……)
数秒後、二人は同時に「はっ」と我に返り、頭をぶんぶん振って妄想を追い払う。櫻が慌てて言う。
「なん、なんでもないべさ! ボク、こんなの買わないよ!」
静流も頬を赤らめて返す。
「うん、私も……なんぼか見間違いだよ」
だが、櫻がこっそりピンクのレースを、静流が薄い水色のシルクをカゴに忍ばせる様子を、互いに見逃していなかった。二人が目を合わせて「言わないでよね!」と笑い合う。
買い物を終え、デパートの出口で荷物を手に持つ。櫻が言う。
「なぁ、しずるちゃん、こういうのってほんと、男の子には言えないべさ」
静流が頷く。
「うん、恥ずかしいけど……結城に、ちょっとドキッとしてほしいよね」
櫻が笑う。
「そだべさ! ボク、ゆーきに負けないよ!」
静流が微笑む。
「私も、負けないよ」
夏の札幌で、二人は見えない所のおしゃれを楽しみながら、結城への想いをさらに熱くしていた。白に薄い桜色の髪と、白に薄く水色が入った髪が、デパートの光の中で輝き合っていた。




