櫻の恋色イチゴ飴
★ いちご飴のドタバタ
夕方の居間で「いちご飴」のアイデアが決まった後、櫻が「今すぐ作るべさ!」と勢いよく立ち上がり、結城と静流をキッチンに引っ張っていった。テーブルの上には収穫したばかりのイチゴのカゴが置かれ、櫻の母親が「お砂糖ならここにあるよぉ!」と笑顔で砂糖袋を渡す。
櫻がエプロンを手に目を輝かせる。
「いちご飴、なまらめんこいべさ! ボク、作るの楽しみだよぉ!」
結城がキッチンの隅で腕を組む。
「楽しみなのはいいけど、どうやって作るんだよ? 飴って簡単にできるもんなのか?」
静流がノートを開きながら言う。
「簡単だよ。砂糖を溶かしてイチゴに絡めるだけだから、火傷に気をつければ大丈夫」
櫻が勢いよく鍋を手に持つ。
「そーだべさ! ゆーきも手伝えよね、旦那様なんだから!」
結城が渋々エプロンを手に取る。
「分かったよ。でも、お前が暴走しないように見張るからな」
イチゴ飴の作り方スタート
ステップ1:砂糖を溶かす
静流が鍋に砂糖と少量の水を入れ、火にかける。
「弱火でゆっくり溶かすよ。焦げないようにね」
櫻が鍋を覗き込んで興奮する。
「なんか甘い匂いがしてきたべさ!」
だが、勢い余ってスプーンでかき混ぜようとし、結城が慌てて止める。
「お前、混ぜすぎると固まるだろ! 静流がゆっくりって言ってるんだから待てよ」
櫻が「むぅ~!」と膨れる。
「ゆーき、うるさいべさ! ボクだって分かってるよぉ!」
ステップ2:イチゴを串に刺す
砂糖が溶けて透明なシロップになると、櫻がイチゴを竹串に刺し始める。
「これ、めんこいべさ! なまら可愛くなるよぉ!」
だが、勢いよく刺しすぎてイチゴを潰してしまい、手がべたべたに。
「うわっ、また潰れちゃったべさ!」
結城が隣で丁寧に串に刺しながら言う。
「お前、収穫の時も潰してたよな。力加減考えろよ」
静流がクスッと笑う。
「櫻ちゃん、急ぎすぎだよ。私が刺した串もあるから、それ使ってね」
ステップ3:飴を絡める
砂糖シロップが少し茶色っぽくなると、静流が火を止める。
「これでいいよ。熱いから、気をつけて絡めてね」
櫻が串に刺したイチゴをシロップにドボンと入れる。
「わっ、熱っ!」
だが、勢い余ってシロップが飛び散り、結城のエプロンにベタッと付く。
結城が呆れた顔で言う。
「お前、飛び散らすなよ! 俺のエプロン汚れただろ」
櫻が慌てて謝る。
「ごめんねぇ、ゆーき!」
静流が穏やかにフォローする。
「大丈夫だよ、結城。拭けば取れるから。櫻ちゃん、次はゆっくりね」
ステップ4:冷ます
飴を絡めたイチゴをクッキングシートの上に並べ、冷ます。櫻が目を輝かせて言う。
「見てみてぇ、ゆーき! なんぼかキラキラしてるべさ!」
結城が一つ手に取って眺める。
「確かにキラキラしてるな。見た目も悪くないよ」
静流が試食用に一つ差し出す。
「食べてみて。甘くて美味しいよ」
結城が一口かじると、飴のシャリっとした食感とイチゴの甘酸っぱさが広がる。
「うん、美味いな。道の駅にこれがあったら売れるんじゃないか?」
櫻が勢いよく立ち上がり、結城に絡む。
「そーだべさ! ゆーき、天才だべさ! いちご飴で勝つよぉ!」
結城が苦笑する。
「勝つってほどじゃないだろ。お前が飛び散らせなきゃもっと楽だったけどな」
静流が穏やかに締める。
「みんなで作ったいちご飴、なまら楽しいよね。初夏の余市にぴったりだよ」
キッチンにイチゴと飴の甘い匂いが漂い、結城は内心で思う。
ドタバタばっかりだけど……いちご飴、悪くないな
★ 恋色イチゴ飴
イチゴ飴を作った数日後、結城、櫻、静流の3人は「怖いもの見たさ」で道の駅へと足を運んだ。櫻の母親が「いちご飴、道の駅で売るべさ!」と張り切って準備を進めていたため、商品がどんな風に売られているのか、そして以前撮った写真がどう使われているのか気になっていたのだ。
道の駅に着くと、初夏の陽光が駐車場を照らし、観光客や地元民で賑わっている。櫻が少し緊張した顔で言う。
「なまらこわいべさ……ボクの写真、どうなってるか分からないよぉ……」
結城が肩をすくめる。
「まぁ、見てみないと分からないだろ。怖いもの見たさで来たんだから、覚悟しろよ」
静流が穏やかに笑う。
「櫻ちゃん、なんも大丈夫だよ。リンゴジャムの時も評判良かったしね」
3人が物産コーナーに近づくと、棚に並んだ商品が目に入る。そこには「恋色いちご飴」と名付けられた商品がずらりと並んでいた。透明な袋に包まれたイチゴ飴には、櫻の照れた表情がでかでかと印刷されたプリントが封入されている。写真は以前の撮影で撮ったもので、櫻がイチゴジャムの瓶を持って少し赤い顔で笑う姿が、なぜか「恋色」というテーマに仕立て上げられていた。
櫻がそれを見て、声にならない悲鳴を上げる。
「……ひぃっ!」
次の瞬間、顔を真っ赤にして逃げ出し、棚の裏に隠れてしまう。
結城が呆れた顔で商品を手に取る。
「『恋色いちご飴』って何だよこれ。お前のでかい顔がプリントされてるぞ」
静流が袋を手にクスッと笑う。
「櫻ちゃんの照れた顔、なまらめんこいね。恋色って名前も可愛いよ」
櫻が棚の裏から顔を出し、喚く。
「しずるちゃん、めんこいとか言わないでよぉ! なまら恥ずかしいべさ! かーさん、勝手にこんなの作ったんだよぉ!」
結城が袋を眺めて言う。
「まぁ、確かに目立つな。観光客が買ってくれてるみたいだし、売れてるんじゃないか?」
見ると、観光客の親子が「恋色いちご飴」を手に取って笑っている。お母さんが「可愛いパッケージね」と言い、子供が「イチゴ飴食べたい!」とねだる様子が見える。
櫻が棚の裏から這うように戻り、結城に絡む。
「ゆーき、助けてよね! ボクの顔がでかでか載ってるなんて、なんぼかこわいべさ!」
結城が苦笑する。
「助けるって言っても、もう売られてるんだから仕方ないだろ。売れてるならいいじゃないか」
静流が穏やかに言う。
「櫻ちゃん、恥ずかしいかもしれないけど、リンゴジャムの時みたいに評判良さそうだよ」
櫻が「むぅ~!」と膨れながら呟く。
「評判良くても、ボクの照れた顔が恋色とか……ふつ~にやべぇべさ……」
結城が棚を見渡す。
「リンゴジャムのチラシも置いてあるな。あの時の写真も使われてるよ。お前、モデル慣れしてきたんじゃないか?」
櫻が「慣れてないよぉ!」と叫び、再び棚の裏に隠れる。静流が笑いながら言う。
「櫻ちゃん、逃げ足速いね。でも、いちご飴売れてるから、余市の初夏に貢献してるよ」
観光客が次々と「恋色いちご飴」を手に取り、櫻の照れた顔が印刷された袋が減っていく。結城が内心で思う。
恥ずかしがってるけど……売れてるなら悪くないな。恋色って名前、変だけど
櫻が棚の裏から顔を出し、小声で言う。
「ゆーき、余市好きになってくれたべさ? ボクの恥ずかしい顔見ても」
結城が少し笑って答える。
「まだ好きってほどじゃないけど……まぁ、嫌いじゃないよ」
道の駅の賑わいの中で、櫻の悲鳴と静流の笑い声が響き合い、結城は余市の初夏がまた一つ賑やかになったのを楽しんでいた。




