告白現場を見てしまったので
この作品は創作です。実在の人物や、団体などとは関係ありません。
職員室に日直のノートを提出して、帰宅しようと下駄箱で外履きに履き替えたとき。
「……ってて! つきあう?」
「ありがとう。よろしくお願いします」
つきあう? 告白現場……?
下駄箱の影から、声がした方を覗き見る。
ホントは気づかないフリして帰るのがいいのかもだけど、好奇心が抑えられない!
そこに居たのは、クラスで人気の西条さんと、いつも花壇の手入れをしている、大人しいけど真面目な黒崎涼也君だった……。
どうしよう、お似合いだ……。私じゃ太刀打ちできない……。
見てしまったことを後悔しながら、二人に気づかれないように校門まで走った。
黒崎君。クラスじゃ目立たないけど、朝早く学校にきて花壇に水をあげているのを知っている。放課後も花壇の雑草をとったりしていて、偉いなって思ってた。
彼を見ていたのは私だけじゃなかったんだ……。
私が西条さんより早く黒崎君に告白していたら、黒崎君は私と付き合ってくれたかな。
考えてもどうしようも無い。
「ただいま」
「おかえり、かなで。今日の夕飯はカレーだよ」
「ありがとうお母さん」
玄関で靴を脱いで、母に返事をしながら二階の部屋にいく。
いつもなら楽しい夕飯の時間も、今日は淀んだ気分で口数も少なく、両親に心配されてしまった……。
寝る前、スマホの画面をみていると、ピロンとメッセージが表示された。
クラスの女子グループのメッセージだ。
「西条さん……」
『今度、黒崎君たちと遊びに行く事になったんだけど、これる子いるー? 男子人数いるから、ワイワイ楽しみたい子、一緒に遊ぼ!』
これは、二人が付き合いだしたの確定かも……。
大勢で遊ぶのは、カモフラージュとか?
途中で二人とも居なくなるつもりなのかな……?
『はるか! もしかして誘えたの!?』
西条さんのメッセージに、クラスの女子が反応する。
見ていられない!
私はスマホの電源を落として、布団にくるまる。
その日から、なんの行動も起こすことができず、日々は過ぎていった。
黒崎君を見かけるたび、西条さんに話しかけられるたびに、私は二人の関係を想像し、苦い気持ちになる。
そんな日々が続いていたある日。
いつものように朝一で教室にきて、花瓶の水を取りかえていた私は、黒崎君に話しかけられた。
「朝霧さんおはよう。毎日、朝早くから学校にきていて凄いね。いつも花瓶の水かえありがとう」
なに、なに、なに!? どういうこと!? なんでいきなり話しかけてきたの?
「そんなことは……。黒崎君こそ、いつも花壇の手入れしてて、偉いね」
無難にその場を切り抜けた私は、女子トイレに駆け込んだ。
個室の壁に背中をあずけ、脱力する。
毎日って言ってた。いつも見られてたのかな……。恥ずかしい、けどなんか嬉しい!
やっぱり何もしないで諦めるなんて無理。
手紙でもなんでもいいから告白して、綺麗さっぱり諦めよう!
私は昼休みにコソコソと手紙を書き、帰り際に黒崎君のロッカーに投入した。
もちろん、誰も居ないことを入念に確認してから、入れてきた!
下駄箱で靴を履き替えて、帰ろうとした瞬間。
「待って! 朝霧さん! ……」
黒崎君が、私の手紙を持って追いかけてきた。
そのあとに続いた黒崎君の言葉。
私の顔には、驚愕と喜びのないまざった表情が浮かんだんじゃないかな。
お読みいただきありがとうございました( . .)"




