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第32話 パートナーと創作の日々

 バイスのネームに、僕の投じた下らないツッコミが消化され、予定より若干の遅れをともないつつも、投稿第2作目の設計図はそれから数日を待たずに完成した。

 あとはこれを紙の上に削り込んでいくだけだ。

 もちろんここからが大変なわけで、しんしんと雪などが降り、座っているだけでも体が冷めていく厳寒の中、部屋に密かに持ち込んだ電気ストーブを挟んで、僕ら2人は早朝登校しては描き、昼休みに集まっては描き、放課後は閉門ギリギリまで描き、という、漫画大学校受験前夜のような勢いでただただ漫画を描いていた。

「なかなか悪くない」

 バイスは平然とした顔の下、驚異的なスピードで膨大な手作業をこなしながらそうこぼした。

 まあ確かにバイスはそうであろう、と僕は彼の数分の一の作業量をかなり低いクオリティで必死に続けながら心の中でそう思った。

 バイスにとっては、このような状況はもって望んだものであり、実際思わず言葉が漏れてしまうほどに心身みなぎっているのであろう。

 僕はどちらかと言うと、不安やプレッシャーで心身が満たされがちであったが。

「……けど、これ間に合うかな?」

 僕が自分の狭い心からこぼれてしまったものを吐露してしまうと、

「間に合うさ」

とバイスは少し楽しそうに言った。

 すでに締め切りまでは一ヶ月ほどとなった。

 全20ページで構成される投稿作品は、主線は埋まりつつあるもののまだ大半が白いままであった。

 ここから背景を描き、ベタを入れて修正をしてスクリーントーンを貼って、などと羅列するのもうんざりするほどの作業工程がまだまだ続くのだ。

「バイスがもう一人くらい必要な気がするんだけど」

 嫌味や謙遜や願望や妄想ではない。

 僕としては本当にそれくらいのことがないと、とてもではないがこの白色のすべてを期日までに埋め立てることは不可能に思われるのだ。

 しかし、バイスは例によってからりと笑い飛ばす。

「私の計算を信じろ」

 バイスはさわやかにそう言ってのけた。

「私のペースとタケオのペースは日々上がっている。成長しているんだ。私の計算では締め切りまでに必ず完成する。長く感じられるかもしれないが、終わってみれば、あっという間さ」

 どこかで聞いたようなセリフに思わず悲鳴がこみ上げる。

 しかし、バイスの計算には僕は一目どころか、手持ちの石を全部置かせていただきたいくらいに屈服しているので、彼がそこまで言うのならきっと間に合うのだろう、と思い直すのであった。

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