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怪狩り  作者: 大和煮の甘辛炒め
8/11

救援

 空矢は鳴村を引き寄せた。


いきなり強い力で引き寄せられた鳴村は驚いたが、そのまま技を繰り出す。


「高雷仁迅・滅速!」


空矢の矢印に引っ張られたことによって、上乗せされたスピードの滅速が空矢に迫る。


空矢み技を繰り出す。


「空波・神我!」


圧倒的な力とスピードの拳と圧倒的なスピードと的確さの剣戟が衝突する。


眩い光が出久達を照らす。


「くっ」


出久達は思わず顔を覆った。


土煙がもうもうと立ち込めている。


「どうなったんだ?」


土煙が晴れると、衝撃の光景が広がっていた。


「ここまでやるとは.....」


空矢の右肩から先が消えていた。


血がダラダラと垂れている。


鳴村の剣も真ん中辺りでポッキリ折れている。


「引き分けとは.....俺の見込みどうりだ」


空矢が鳴村に語りかける。


「貴様は才能の原石だ、磨かずしてその輝き、怪狩りには持て余す!あの方に接見し、貴様も怪使いに転向しろ!」


空矢の熱烈な勧誘を鳴村はバッサリ切り捨てた。


「ならねーよ、ちょっと考えりゃわかるだろ」


そう言ってまた滅速の構えに入る。


「高雷仁迅.....」


空矢も技を構える。


「空波・絶撃.....」


鳴村が地を蹴った。


「滅速・亜型!」


通常の滅速よりも速く剣を払う。


空矢も迎え撃つ。


その時、巨大な炎の龍が鳴村を追い越した。


「無理しない」


そんな言葉が鳴村の耳に囁かれる。


空矢は面食らったが、すぐに標的を炎の龍に変更した。


「羅怒!」


物凄い衝撃波が炎の龍を打ちのめした。


その刹那、途切れた炎の隙間から、自身の拳を紙一重で避けた女の姿を目に焼き付ける。


女は慌てる様子もなく、不敵な笑みを浮かべている。


焼けるような痛みと鋭痛が空矢を貫く。


⭐️⭐️⭐️


炎輪と始怪の斬り合いは続いていた。


炎輪は傷だらけになり、死にそうなぐらい疲れているが決して腕を止めず、なんとか食らいついていく。


対して始怪は涼しげな顔をして炎桜を軽々と受け止める。


炎輪を吹き飛ばし、壁に叩きつける。


「うぐぅぅ!」


炎輪が苦痛に呻く。


身体が動かない。


肋骨が数本、脚の骨も折れているだろう。


「くそ.....が」


死に物狂いで顔を上げて始怪の憎たらしいほどに涼しげで均整のとれた顔を睨む。


「大した脅威では無さそうだな。だが、忌々しいあの『意』を使ったことは紛れもない事実。事実に目を背けては遠からず自分の首を締めることになる」


始怪が刀を振り上げる。


「始末したら供養してやるよ。貴様のその忌々しい『意』が巡らぬようにな.....!」


その瞬間、始怪の腹を二本の刀が突き破った。


「がふっ!」


吐血とともにいつぶりかも分からぬ緊張が始怪に走る。


直ぐに波のようにうねっている青い刀と炎の模様が刀身に入っている刀を引き抜いて投げ捨てる。


「はあ、はあ、油断したか.....!」


始怪が攻撃の主を探す。


「あら、致命傷にはなりませんでしたか」


右目が赤、左目が青のこれまた端正な美女が両手に始怪の腹を貫いた刀を携えている。


『コイツは.....』


始怪の腹の傷が全快する。


「治っちゃいましたね、羨ましい再生力です。人間の範疇であろうとする私たちには無い能力ですから」


「貴様、三つ柱だな」


始怪が警戒しながら尋ねる。


「会話出来るんですね。びっくりです」


女がおどけて見せる。


始怪が消える。


甲高い金属音が響く。


始怪と女が鍔迫り合っている。


「図に乗るなよ」


「これだから怪使いは」


始怪が刀を振り抜いて女を吹っ飛ばす。


女は直ぐに体勢を整えて、始怪の追撃を弾いた。


女の頬を汗がつたる。


『時間稼ぎとはいえ煽り過ぎましたかね?コイツは恐らく始怪無慈、一人で相手するのは得策ではない』


チラ、と視線を炎輪の方に向ける。


炎輪は七支刀を杖がわりにして立ち上がっていた。


『始怪を相手にしつつあの子を離脱させるのは不可能に近い.....いや』


視界の端が明るく光る。


始怪が振り返る。


「次から次へと」


炎遠理が炎輪を抱えていた。


炎遠理が女にアイコンタクトを送る。


女が小さく頷く。


「逃すと思うか?」


始怪が技を繰り出そうとした時、とてつもない爆発が一帯を消し飛ばした。


「なんだとっ!」


始怪がひるむ。


その先に炎輪を担いだ炎遠理と女が全速力でホバークラフトのもとへ走っていた。


「あれなんですか?てかいきなり水蒸気爆発させるのびっくりするんでやめてください」


「始怪よ」


「え!?」


「他の子たちは?」


「全員旗艦に戻しました。残ってるのは私たちだけです」


「分かった。この子だけでも返してあげないと、覚悟しなきゃね」


二人がホバークラフトに飛び乗る。


ホバークラフトが動き出す。


それを空高く飛び上がっていた始怪が見逃すはずもなかった。


「逃がさんと言ったはずだ」


始怪が刀を振るう。


巨大な斬撃がホバークラフトに襲いかかる。


「うわぁぁ!水火さん、後ろ後ろ!」


炎遠理が焦る。


水火と呼ばれた女が振り返る。


そしてグッと脚に力を込める。


「はぁぁ!」


一瞬で飛び上がり、斬撃を受け止める。


ホバークラフトが大きく沈み込む。


『なんて威力!耐えられないかもしれない』


水火が焦る。


「うぉぉぉぉ!」


炎遠理も飛び上がってサーベルを斬撃に打ち付ける。


「炎ちゃん、耐え切るわよ」


「勿論!」

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